[テイスティング,ビアバー,ブルワー]2023.10.5

【ビールを通して感じる韓国⑪】釜山のブルワリー(4) 温泉とクラフトビール! 虚心庁ブロイ&オシゲクラフトビア@東莱温泉

韓国にも温泉があるということをご存じでしょうか? 
韓国第二の都市である釜山にも市内各所に温泉が湧いていて、ホテル内の高級サウナ、大型スパランド、地元の人が通う昔ながらの銭湯やチムジルバンなど、さまざまなスタイルで楽しまれています。

東莱温泉

釜山の温泉の中でも歴史があるのが、釜山市内の北にある朝鮮時代から続く歴史のある「東莱温泉」です。地下鉄1号線温泉場駅前から金井山の麓に広がる一帯で、地下鉄に乗ると西面から15分ほど、南浦洞からも約30分で着きます。

*西面についてはこちら《【ビールを通して感じる韓国④】釜山のブルワリー(3) ワイルドキャットブルーイング(WILD CAT BREWING)@西面》から…
*南浦洞についてはこちら《【ビールを通して感じる韓国➁】釜山のブルワリー(1) カルメギブルーイング(GALMEGI BREWING)@南浦洞》から…

東莱温泉の施設では、ホテル農心の付帯施設でもある大型温泉施設「虚心庁」が一番有名です。虚心庁は、1300坪、3000名収容と大規模で、大きな天窓からは明るい光が差し込み、洞窟湯や露天風呂など40種以上の浴槽で温泉が楽しめます。
ミニプールとして使える浴槽もあったので、私はかつて子ども連れのときに何度かホテル農心に宿泊し、虚心庁を利用していました。

ホテル農心(左)と虚心庁(右)(2023年4月撮影)

かつては地上を走る地下鉄1号線からでもホテル農心がよく見えるぐらい低層の建物がほとんどでしたが、近年、温泉場エリアは再開発が活発で高層マンションが立ち並び、ほとんど見えなくなってしまいました。このエリアを歩いていると空が狭くなったなあと感じますが、それでもホテル農心の周辺には温泉を利用した露天足場やローカルな市場などもあり、まだ温泉町の風情も少し残されています。

虚心庁ブロイ

虚心庁の1階には、虚心庁ブロイ(허심청브로이・Hurshimchung Brau)があり、ピルス、ヴァイツェン、デュンケルなどのドイツスタイルのクラフトビールを醸造しています。
以前は、600席と広いレストランの中で、バンドの演奏を聴きながらクラフトビールを飲むことができました。

虚心庁ブロイ(2018年12月撮影)

今年も2度訪問してみましたが、イベント準備中の様子だったり、入り口が閉まっていたりで入れていません。以前のように毎日通常営業しているのではなさそうですが、今後のイベントの予告も出ていたので閉店してしまったわけでもなさそうです。今後も動きを追っていきたいと思います。
お店が開いていなくてもビールの醸造は続けられていて、虚心庁の1階のベーカリーで缶ビールを買うことはできます。


(2023年4月撮影)

◎虚心庁ブロイ所在地:부산광역시 동래구 금강공원로20번길 23 (23, Geumganggongwon-ro 20beon-gil, Dongnae-gu , Busan)

オシゲクラフトビア

虚心庁ブロイ以外にも、東莱温泉でクラフトビールを醸造しているところがあります。今回紹介するのは、温泉場駅から徒歩数分のオシゲクラフトビア(오시게 크래프트비어・OSHIGE CRAFT BEER &BAR)です。
オシゲクラフトビアは地下鉄1号線東莱駅と温泉場駅の間の線路に沿って流れる温泉川沿いにあります。温泉川沿いは散歩道にもなっていて、都会の喧噪を感じずに、ゆっくり散策を楽しむ方の姿も見ることができます。



店内はこんな雰囲気で、やや薄暗いけれど温かみを感じます。テーブル席のみで30人ぐらいは入れそうです。

ビールはオリジナルビールが6種類とゲストビールが3種類。すべて8000ウォン(約880円)での提供でした。
私はオリジナルビールの中から、まずはヴァイツェンを選んでみました。アルコール分4.5%。柔らかな味わいで、飲みやすくて美味しかったです。

続いて出てきたのはこちら。「あれ、想像と違うものが出てきた」と思ったら、こちらは無料で出てくるおつまみ。バナナにココナツフレークがかけてあり。意外とビールに合いました。

私が注文したおつまみはこちらのチーズプラッター。大中小とあり、小だと10000ウォン(約1100円)でした。思ったより種類も多く、ボリュームもありました。

ビールはペールエールをお代わり。アルコール分4.8%。いい感じで深みもあり、それでいて飲みやすくバランスのいいビールでした。

この日は土曜日でしたが、賑やかな場所ではないのに次々とお客さんが来ていました。数人で来る若い女性のグループが多かったように思います。地元の若者に人気のある、知る人ぞ知るというお店のようでした。
店員さんも感じよく、ビールも美味しく、食べ物もありきたりではなく、全体としてここならではの温かみを感じました。私は次に釜山を訪問する機会があれば、ぜひ再訪したいと思っています。
せっかくなら観光客が多いところではなく、地元の雰囲気を味わえるところでビールを飲みたいと思う方には、このオシゲクラフトビアはお勧めです!

◎オシゲクラフトビア所在地:부산광역시 동래구 명륜동 온천천로 11-1(11-1, Oncheoncheon-ro, Myeongnyun-dong, Dongnae-gu, Busan)
営業時間 18:00~25:00

金井山城のハイキングを楽しみ、帰りに温泉、お風呂上りにここならではのクラフトビールを楽しむ…そんなまったりとした1日を過ごすことも可能な東莱温泉。もちろん、昼は南浦洞や西面で観光や買い物をしたあとで向かうことも十分可能です。
まだ今ならローカルな景色も少しは残っている東莱温泉へ、日頃のの疲れを癒しに行き、クラフトビールも楽しむのはいかがでしょうか。

*参考文献:「CRAFT BEER KOREA(KOREAN CRAFT BREWERY GUIDE BOOK 2020)」BEER POST PUBLISHING
*100ウォンを約11円として換算しています
*撮影時期の記載のないものは、すべて2023年9月に撮影しています

OSHIGE CRAFT BEER & BARホテル農心温泉場虚心庁虚心庁ブロイ釜山韓国クラフトビール

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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