[イベント,コラム]2023.10.16

ひまわりビールで『つながり』を!医師がチャレンジするあたらしい地域交流

「お酒は身体に良くないから控えて下さい。」
健康診断や病院で、そんな風に言われた経験はありませんか?

その一方で、「酒は百薬の長」ということわざもあります。

ひまわりビール

現役の医師はお酒について、どんな風に考えているのか?

地域医療の新たなアプローチとして、ビールづくりに取り組んでいる医師がいると聞き、掛川東病院の宮地院長を取材しました。

どうして病院長がビールづくり?

最初に、病院長がビールづくりを行っている理由について質問すると、

「ビールづくりは、『つながり』で地域の暮らしを豊かにすることを目的に行っています。

病院スタッフの他に、企業や行政、思いをともにする人達が集まった任意団体『たわわ』で、病院の枠組みを超えた自由な発想で地域交流を考える中、ビールづくりのプロジェクトが生まれました。

ビールが生み出す『つながり』には、健康に関するヒントがあるんですよ。」

と、話してくれました。

寿命に影響をあたえる大きな要因とは

「ビールが誕生したと言われる古代メソポタミアでも、人が集まるところにビールがありました。
その後も、中世ヨーロッパのパブ文化などビールはローカルに根づき、人と人とのつながりを促進する役割を担ってきた歴史があります。

世界では高齢化が進み、この『つながり』があるかどうかが、運動や喫煙よりも寿命に大きく影響するという報告があります。
(図参照)

もちろん、過度な飲酒が健康に影響を及ぼすことは事実なのですが、ローカルネットワークのハブとなってきたビールには、つながりで健康寿命を延伸する可能性を大きく秘めていると感じています。」

寿命に影響をあたえる大きな要因

内閣府「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」

図: Social relationships and mortality risk: a meta-analytic review
J Holt-Lunstad, – PLoS medicine, 2010 改変

宮地院長は、医学的な見地から飲酒による健康被害を伝えるだけでなく、このビールプロジェクトを通して、より広い観点から健康や豊かな人生について発信をしたいと、活動を行っています。

地域交流を生みだすビールのちから

たわわビールプロジェクト

ひまわりビールは、地域住民が育てたひまわりの花びらを少しずつ集めて、ビールの副原料に活用しているそうです。

醸造は病院がある掛川市のKakegawa Farm Brewingに依頼。ビールのラベルは、地元出身の学生がデザインを担当するなど、ビールをつくる過程で多くの人が関わり『つながり』が生まれるように、アイデア出し~企画・実行中です。

高校生ビールラベルデザイナー

今年の9月には、病院主催で(飲食・娯楽ブース、はしご車消防訓練、病院ツアーやお祭りコーナーなど)大きなマルシェイベントを開催し、なんと2200人以上の来場があったと言います。

掛川東病院

『カケガワトーク』、『美尻フェスタ』、『かけがわPOTLUCK』など、他にも様々な角度から地域との接点づくりを精力的に取り組む宮地院長。

ひまわりビール

「病気になった方を治療するだけでなく、住民同士が支え合い、自分たちの力で健康を保っていく、そんな地域医療を目指しています。
ビールづくりはそんなコミュニティづくりのきっかけになったら嬉しいです。」

・カケガワトーク
掛川市と共催で、まちを健康にするアイデア出しをYouTube公開配信。業種の垣根を超えて自由に意見を交わし、ひまわりビールもこの企画から誕生。

・美尻フェスタ
いつまでも健康な体でいるために運動を!カリスマ美尻トレーナーを招いて、掛川を日本一美尻の街にするイベントを開催。

・かけがわPOTLUCK 
POTLUCKは持ち寄りパーティの意味。食べ物だけでなく得意なことや困っていることも持ち寄って、みんなでつながっていく駅前のストリートでのイベント。

たわわビールプロジェクトと地域医療の未来

ひまわりビール

「人生100年時代を迎え、病院のあり方も変わってきました。

病気や怪我をしたら行く場所から、地域の豊かな生活を支える場所であることが求められるようになってきています。病院と地域との『つながり』が、ますます重要になっていくでしょう。

ひまわりビールは、住民の思いがこもった特別なビールです。
一人で飲んでも美味しいですが、是非大切な仲間や家族と一緒に乾杯してください。

これからも気軽に関わることのできる医療を、ときめきとともに届けていきたいです。」

出来上がった『ひまわりビールは』ひまわりの花弁を使ったアメリカンウィート(ABV5.5%、IBU30) 。

11月には、地元の鉄道会社・スーパーマーケット・Kakegawa Farm Brewingと連携した『ビール列車』も企画されているとのこと。

あたらしい地域医療へのチャレンジが今後どう拡がるのか?地域外からの注目も集まっています。

KBT

■たわわビールプロジェクトWEBサイト
https://kakegawa-mirai.com/himawari-beer/
■たわわインスタグラム
https://www.instagram.com/kakegawa.tawawa/?igshid=MjEwN2IyYWYwYw%3D%3D

KAKEGAWA FARM BREWINGthe Port Kakegawaたわわひまわりビールサンゼン天竜浜名湖鉄道掛川

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

アバター画像

この記事を書いたひと

ジャンク板村

ビアジャーナリスト

静岡県在住、広末・松坂世代の髭眼鏡ビアライター。

海外を旅して飲んだビールは数知れず。
アウトドアやフェスで飲む太陽の下でのビールが何よりの好物。
舌は大雑把だが、味以外の魅力を伝える記事と写真で
美味しくビールを傾ける。

好きなビール映画は「ショーシャンクの空に」
好きなビールソングは「夜の盗賊団/ブルーハーツ」

ストップ!20歳未満者の飲酒・飲酒運転。お酒は楽しく適量で。
妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。