【東北で出会うビールの世界⑫】青森・OIRASE BEER Brewery & Restaurantで飲みたい! 列車とバスで行ってみました
「車でなかったら飲めるのに」…そういう思いをされたことはありますか?
車での移動が当たり前になっている地方では、せっかく美味しいビールが提供されていても、車で行くことが前提になっていて「ここでどうやったら飲めるのだろう?」と思ってしまう場所があります。運転してくれる方がいれば行って飲めますが、ひとりでふらっと行くことはできません。
「でもせっかくなら現地でビールを飲みたい!」人の助けを借りずに何とか飲みに行けないか…前回は、ローカル線の鉄道駅から道の駅「遠野風の丘」まで歩いてみました。
詳しくはこちら(【ビールのある風景in岩手㉛】道の駅「遠野風の丘」で飲みたい! JR釜石線を使って歩いてみました)から…
道の駅「遠野風の丘」に続いて、今回車の運転なしで向かうことにしたのは、青森県十和田市にあるOIRASE BEER Brewery & Restaurant。今までに2回行ったことはありますが、いずれも車の運転をしていたため飲むことはできませんでした。鉄道駅からは遠く、バス便も限られています。宿泊場所も近くにはありません。
でもこんなやり方なら行けた…という例を、今回はご紹介したいと思います。
目次
青森県十和田市
OIRASE BEER Brewery & Restaurantは、青森県十和田市にある「道の駅奥入瀬」(愛称:奥入瀬ろまんパーク)にあります。
青森県十和田市とは…
青森県の南部地方、内陸部に位置し、市西部にある十和田湖や奥入瀬渓流といった景勝地で知られています。
奥入瀬渓谷(2023年9月撮影)人口は約58,000人。青森市、八戸市、弘前市に次いで青森県内では第4位の人口です。
市の中心部は近代都市計画のルーツといわれる整然と区画された町並みで、十和田市現代美術館を拠点とした「アートの街」としても知られるようになっています。
十和田市現代美術館(2020年11月撮影)
「道の駅奥入瀬」へ向かう
「道の駅奥入瀬」へ向かうためには、行きは10時八戸駅西口発のJR東北バス十和田湖行き「おいらせ21号」一択。これに乗ると1時間あまりで「道の駅奥入瀬」に到着し、OIRASE BEER Brewery & Restaurantの11時開店にちょうど合います。
10月半ばのある平日、このバスに乗るために、私は盛岡駅8:50発のはやぶさ1号に乗りました。ちなみに東京駅からだと6:32発になります。
八戸駅には9:21に到着。西口は、大きな建物もお店もなく静かです。
十和田湖行きのバスが出る1番乗り場に行ってみると思いがけない落とし穴が。「おいらせ号」は「紅葉時期混雑による予約制(9/25~11/5)」の時期に当たってしまっていて、予約がないと乗れない可能性があると書いてあります。出足からつまずきかけましたが、それでも平日だから空席があるだろうとそのまま早めに並んで待っていました。
やってきたのは臨時便を含む2台のバス。予約人数が1台分プラス2名だったようで、無事臨時便の空いている席に座ることができました。
この日バスに乗ったのはほとんどが外国からの旅行者。紅葉の時期を狙ってきているので、ほとんどの方がちゃんと予約を入れてきたようです。自分が紅葉を見に行くという意識がなく、バスの予約制も知らなかったのですが、この時期は平日でも予約しておいたほうがよさそうです。
ちなみに「おいらせ号」は1日2本のみ。次の23号は14:40発になってしまいます。
道の駅奥入瀬(奥入瀬ろまんパーク)
「道の駅奥入瀬」があるのは、十和田湖・奥入瀬渓流へ向かう国道102号沿い。「おいらせ号」のトイレ休憩場所にもなっており、11時過ぎに到着しました。バス代は1800円でした。
奥入瀬渓流からは20キロ以上、十和田市の中心部からでも10キロ弱あります。
敷地はかなり広く、OIRASE BEER Brewery & Restaurantのほかに、青森県内の名産品などが買える観光物産館「四季彩館」、青森りんごの焼き菓子を作っている「あら、りんご。青森ファクトリー」、地元で生産される生乳を使って乳製品を作っている「手作りハウス味楽工房」などが点在しています。
敷地内にある停留所からでもOIRASE BEER Brewery & Restaurantまでは少し歩くことになります。
OIRASE BEER Brewery & Restaurant
八甲田連峰のぶなの森から長い年月をかけて湧き出す奥入瀬の源流水を使った奥入瀬ビール。製造はここで1997年から始まっていますが、施設は2022年春に、青森の食材を使った石窯料理と奥入瀬ビールを提供するブルワリー直営レストランOIRASE BEER Brewery & Restaurantとして新しくなっています。
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屋外には、夏にBBQメニューを楽しめる場所などもあります。
店内に入ると左手には瓶ビールやグッズ、そして醸造タンクが見えます。右側がレストランのスペースになっています。
念願のビールは、まずグラスでヴァイツェンをいただきました。ビールはすべてグラス(300ml)が638円、パイント(480ml)が913円です。
フルーティで優しい味わいでした。
選んだ料理はピザのマルゲリータ(1100円)。レストランに青森県五所川原市の津軽金山焼職人による手作りの石窯があり、薪を使ってやわらかな火の力でピザをもっちりと焼き上げていてとても美味しいです。
ビールは続けて、アンバーラガーのグラス、ダークラガーのパイントと注文しました。アンバーラガーはコクと苦みのバランスがとてもよく、ダークラガーはコクがありながら意外とすっきりと飲める美味しいビールでした。
青森まるごとほたてフライ(4個748円)も追加で頼み、大満足の滞在になりました。
店内は平日にもかかわらず、次々とお客さんが来店していて賑やかでした。ただ見回してみると、ビールを飲んでいるのは少数派で、ランチ目的での利用が多いようでした。
ランチ目的の方に人気があったメニューは、「奥入瀬ストリームプレート」。選べるメイン料理、県産野菜のミニサラダ、おかず5種で1540円。スープ、パン、ライスは自由に取ってくることができます。
十和田バラ焼きの奥入瀬ストリームプレート(2023年9月撮影)
今回は注文しませんでしたが、ビールは4種類(各120ml)の飲み比べをすることもできます。
左からピルスナー、ダークラガー、アンバーラガー、ヴァイツェン(2023年9月撮影)
◎OIRASE BEER Brewery & Restaurant
青森県十和田市奥瀬堰道39-1
レストランの営業時間 11:00-17:00(水曜定休)
どうやって帰ればいいのか…
今回の計画で一番頭を悩ませたのは、「道の駅奥入瀬」からどうやって帰るかです。
行きに乗って来た「おいらせ号」の八戸駅西口へ戻るバスは、11時40分発の後は17時10分発。ビールを味わう時間が30分しかないのも、道の駅で長時間過ごすのも避けたいところです。
ここから出る他のバスも時間的に使えそうになく、十和田市街まで10キロ弱を歩くしかないかと最初は思いました。
一度は諦めかけましたが、「道の駅奥入瀬」の敷地を出た国道102号沿いに別のバス停があるのに気がつき、帰りはこの十鉄バス(十和田線)の奥入瀬ろまんパーク入口バス停を使うことにしました。こちらだけ通るバスも1日6便と少ないですが、幸い13:00発というちょうどいい時間のバスがありました。
これに乗ると、十和田市中央バス停に13:25に到着します。料金は530円でした。
ここまでくれば、この先はいくつかの選択肢があります。例としていくつかあげておきます。
①せっかくなので十和田市現代美術館など市内観光をして一泊
市の中心部であれば、ビジネスホテルなども何軒かあります。
②七戸十和田駅(東北新幹線)に出る
13:33発の七戸十和田駅行きのバスがあり、14:07に駅に到着。上りの新幹線は、14:51発のはやぶさ32号で盛岡駅には15:44に、東京駅には18:04着に到着することができます。
下りの新幹線ならば、はやぶさ21号を利用し14:27発、新青森駅には14:43に到着します。
③三沢駅(青い森鉄道)へ出る
今回、私が実際に選んだのはこの方法でした。
浅虫温泉の蛍火醸造を再訪
青い森鉄道の三沢駅へ出ることを選んだのは、1時間弱列車に乗って浅虫温泉にある蛍火醸造へ行こうと思い立ったからです。
十和田中央バス停を13:47に出発する十鉄バス(十和田三沢線)に乗り、630円で三沢駅に14:19に到着しました。この路線は10年ほど前まであった鉄道の代替路線ということもあってか、1時間に1本程度運行されています。
三沢駅から15:05発の青い森鉄道に乗り、浅虫温泉駅に15:55に到着。16時には駅から徒歩で数分の蛍火醸造でビールを飲んでいました。
この日選んだのはJUICY GOLDEN ALE。アルコール分4.3%、IBU19と何杯か飲んできた後でも美味しく飲める穏やかな味わいのビールでした。
蛍火醸造についてはこちら(【東北で出会うビールの世界⑩】今、青森市のビールが楽しい!(前編) 先月オープンした浅虫温泉の蛍火醸造(KEIKA BREWING)へ行ってきました)もご覧ください。
なお、10月から営業時間が下記の通りに変更になっています。
平日 14:00~21:00(月曜定休)
土曜 12:00~21:00
日曜 12:00~20:00
もうすぐ冬になり、バスによっては運休の期間に入ってしまいます。全国的にもバスの運転手不足による減便のニュースも多い中、今回の方法が来年以降も使えるという保証はありません。でも、今後も美味しいビールを現地で飲むために、楽しみながらいろいろ考えてみようと思っています。
*撮影時期の記載のないものは、すべて2023年10月に撮影しています
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。