Antenna America―いまなぜビールなのか?(1)
ビアジャーナリストアカデミー1期生の富江弘幸です。
ここ最近、おいしいビールが飲める店や、国内・海外のクラフトビールを扱う店が増えてきています。そのせいか、なんとなくビール業界に日が当たり始めているように感じますが、そもそもなぜビールの店が増えてきているのでしょうか。どのような理由で店をオープンさせたのでしょうか。
そこで、「なぜビールの店をオープンさせたのか」「なぜ今なのか」といったことをここ1年の間にオープンしたお店に聞き、その傾向を探ってみたいと思います。
初回はビアバーに取材してみようと、 関内駅近くにあるAntenna America(アンテナアメリカ)で話を聞いたのですが、さて。
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ビアバーではなくショールーム
「うちはビアバーじゃないんですよ」と言われて、少々戸惑った。アンテナアメリカは、アメリカのクラフトビールを楽しめるビアバーだと思っていたからだ。ビアバーでなければ何なのか。タップで提供されていた「Maui Brewing La Perouse White」を飲みながら、アンテナアメリカ店長の佐藤健さんに話を聞いた。
「簡単に言うと、ナガノトレーディングのショールームです」
ナガノトレーディングは、グリーンフラッシュやバラストポイントをはじめとするアメリカのクラフトビールを中心に扱っているトレーディング会社だ。同社では、このような店を出す構想は以前からあったのだという。ナガノトレーディングで輸入しているビールはどこで入手できるのか、という問い合わせがあっても、仕入れの状況によって取扱店に必ずそのビールがあるとは限らない。扱っているビールがいつも安定して置かれている店を出したいということが、大きな理由のひとつだった。
近所の酒屋的存在?
佐藤さんが「ビールを中心としたアメリカ専門のボトルショップ」とも言うアンテナアメリカは、関内駅から徒歩3分ほど。金曜日の午後3時にも関わらず、店内に4つある立ち飲みテーブルは30分ほどですべて埋まった。壁一面にずらりと並ぶボトルビールを物色している人も数名。2月のオープンからまだ2カ月ほどしか経っていないが、なかなかの人気のようだ。客層は幅広い。ビール好きも多く訪れるが、何の店だろうと思って来店する近隣の人たちもいるという。珍しいビールを扱っていると知ってここで1杯飲み、ビールを買って帰る。
なるほど、と思った。言ってみれば、この店は近所の酒屋なのかもしれない。そして、店内でビールを飲むということは「角打ち」なのだ。店内にはちょっとした椅子はあるが、みんな立ち飲みテーブルを囲んで飲んでいる。ゆったり座れるスペースもないのに、なぜかついつい長居してしまう。家の近くにこんな店があったら通ってしまいそうだ。
トレーディング会社の新たなビジネスモデル
佐藤さんは、「同じような店をつくりたい、という人がいたら、すぐできますよ」と言う。つまり、アンテナアメリカがひとつのビジネスモデルとなっているのだ。トレーディング会社が運営しているからといって、極端に安い価格設定はしていない。ビールを卸してもらっても、この価格であれば利益が出る、という設定になっている。タップなどの設備や、ビールに合う料理を教えることもできる。コンサルティングのようなことも行うことで、出店へのハードルを下げる役割も果たしている。
そこには、ビール業界をもっと広げていきたいという思いがある。アンテナアメリカはビアバーではないが、ビアバーやボトルショップの出店を後押しするという、トレーディング会社にしかできないビジネスモデルをつくりあげようとしているのだ。そしてその一方で、近隣の人も通う「ビールを主に扱っている酒屋」という顔もある。この店が成功することによって、あなたの街にもビールの店がまたひとつできるかもしれない。
Antenna America(アンテナアメリカ)
【住所】
横浜市中区吉田町5番地4 第6吉田ビル5階
【営業時間】
木・金:15:00〜23:00(22:00 料理のラストオーダー)
土:11:00〜23:00(22:00 料理のラストオーダー)
日・祝日の月曜:11:00〜22:00(21:00 料理のラストオーダー)
定休日:月〜水
【問い合わせ】
TEL: 045-315-5228
Mail: info@antenna-america.com
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