続・サンフランシスコ周辺のブルワリーを巡る旅
2022年に続き(前回の記事)、今年も米国西海岸のベイエリアを訪れ、地元のブルワリーを巡る機会があった。今回の訪問先は、サンフランシスコ湾の東岸に位置するオークランドである。少し治安面での不安はあったが昼間のオークランドは静かな雰囲気で心配は無用だった。また、そんな不安をかき消すほどの素晴らしいブルワリーに出会えたことも大きかった。今回は1日で4箇所のブルワリー(一部はバーのみ)を巡ったので、サンフランシスコ周辺でブルワリー巡りをする際、参考にして欲しい。
目次
ミッション地区のカフェに集合(11:00 AM)
今回の旅先案内人は、前回のブルワリー巡りでも登場したSilviu(以下、Sil)である。
この日は朝11:00にサンフランシスコのミッション地区にあるカフェSPROで待ち合わせた。訪問するブルワリーは、Silとその友達Richによって選んでくれたもので、冒頭でも述べたように今回はオークランドのブルワリー巡りをするようだ。軽く朝食をとり、Richが登場したところで、オークランドへ向かった。サンフランシスコのミッション地区から車で約30分程度、目的地のGhost Town Brewingに到着した。
Ghost Town Brewing – 1軒目(11:55 AM)
一軒目に訪れたのは、ウエストオークランドにあるGhost Town Brewing。この日は12時Openであったが、少し早く着いたので、入り口で待ってから入店した。店内は広々としていて、同じ建物内に醸造所とTaproomが併設されている。また、店内の装飾や流れている音楽はメタル系のもので、所々に置かれた骸骨や棺桶のオブジェなど、まさにゴーストタウン的な雰囲気である。ビールの種類は豊富で、この日は20種類以上が樽に繋がっていた。
多くの種類を飲みたかったので4種類のテイスティングセットを2つ頼み、以下の8種類を選んだ。
Locust (ABV:6.8%)
Citra、Moaic、Ekuanotホップを使用したウェストコーストIPA。
Chalice (ABV:6.8%)
Strata、Citraホップを使用し、ラズベリー、ハニーデュー、オレンジ等を入れたNew England IPA。
Torture Garden(ABV:5.3%)
とてもクリーンでキレのあるピルスナー。
Bottom Feed (ABV:5.9%)
シトラスなホップの香り・アロマとピルスナーを融合させた新たなビール体験。
Dark foundations(ABV:11.9%)
重量感のあるインペリアルスタウト。
Veriust (ABV:5.4%)
香ばしく飲みやすいダークラガー。
Tomb Spawn (ABV:6%)
燻製された小麦とさまざまなモルトで醸造したサワーエール。
Livor Mortis(ABV:6%)
最後の5ヶ月はスイカとペパーミントで仕上げられたバレルエイジ。
SilとRichによると、ここ数年ベイエリアでは人気のあったNew England/Hazyに飽きている人々が多いそうだ。そのような人たちに最近人気なのが、Westcast Pilsnerと呼ばれる新しいビールだそうだ。今回テイスティングしたBottom Feedはこのスタイルである。Hazyと違ってピルスナーは軽くて飲みやすい。更に通常のピルスナーよりもHoppyでIPAのようにホップのアロマと苦味を体験できるとあって願ったりというところなのだろう。1時間強の滞在後、次のSante Adairius Rustic Alesへ移動した。移動距離は2.7kmほどなので車移動をお勧めする(5-10分程度)。
Sante Adairius Rustic Ales Oakland Arbor – 2軒目(13:30 PM)
Sante Adairius Rustic Alesの醸造所は、サンフランシスコから南へ120kmに位置するサンタクルーズという街にあり、オークランドではバーのみ営業している。ビール作りについてはベルギーの伝統に強く影響を受けているが、少しずつビアスタイルの限界に挑戦する世界中の醸造家と同調しながらビールの進化・新たなビールづくりを目指しているそうだ。Silによると、Sante Adairius Rustic Alesでは「Saison Bernice」というFarmhouse Aleが一押しなのだそうだ。さっそく飲んでみると、この一杯を求めて、このバーへきたのがわかる特徴的な柑橘系の香り、フルーティな味わい、酸味とスパイシーが程よく交わったセゾンである。これは美味い!
さて、セゾンを満喫したところで三軒目のOriginal Pattnern Brewing Companyへ向かう。Sante Adairiusから1km弱で徒歩圏内ではあるが、車で移動した方が楽で安心だと思う(5分程度)。
Original Pattern Brewing Company – 3軒目(14:15 PM)
続いて三軒目に訪れたのはOriginal Pattern Brewing Company。
このブルワリーは、ここ数年GABF(Great American Beer Festival)、CCBC(California Craft Brewer’s Cup)で様々なビールで賞を受賞し、2023年は雑誌、USA Todayにて米国での新しいブルワリートップ10に入っていたそうだ。今回のブルワリー巡り以外で出会ったビールが好きな人々からも、Original Patternについてよく話題にのぼったので、界隈では注目の実力派ブルワリーのようだ。
Diabolical Mischief(ABV:8.6%)
Rakau、Motuekaといったニュージーランド産のホップとMosaicをふんだんに使用したDouble IPA。
Buglet(ABV:5.9%)
ブラックベリーとパッションフルーツを使ったサワービール。
Country Doctor(ABV:5.4%)
チェコ産のホップを使い、伝統的なチェコスタイルを目指したピルスナー。
Bean Me Up! (ABV:6.6%)
良質のローストされたコーヒー豆を使った飲みやすいポーター。
Marto(ABV:7%)
Somcoe、Chinookホップを使ったインペリアルレッドエール。
All about Nelson(ABV:6.7%)
その名の通りNelsonホップを使った華やかなNew England IPA。
ここでSilとRichに加えて二人のビール仲間が加わる。George(写真右)とWillie(写真右から2番目)。GeorgeはSilと同様にホームブリューを得意とし、定期的にベイエリアでビアテイスティングのイベントを開催している(筆者もGeorge主催のテイスティングに参加したが、また別の機会に紹介したい)。そして、Willieは、Oakland United BeerworksのBeer Tenderとのこと。ビールを注ぐ人のことをビアテンダーと呼ぶそうだ。四軒目ではWillieがビールを注いでくれるそうだ。
さっそく4軒目のOakland United Beerworksへ向かった。
Oakland United Beerworks – 4軒目(15:45 PM)
オークランドはかつてのゴールドラッシュや大陸横断鉄道建設のために集まった労働者向けのビールが醸造される場所で、西のミルウォーキーと呼ばれていたことがあるそうだ。しかし、第二次世界大戦後にそれらのビール醸造所は閉鎖され、かつてのビール醸造の歴史から時の断絶を経て、最初にクラフトビールの醸造をオークランドの地で開始したのが、2009年につくられたOakland United Beerworksの前身のLinden Street Breweryだそうだ。そして2017年に現在の場所に移して現在のOakland United Beerworksとなったそうだ。
Oakland United Beerworksも同一建物内に醸造所とTaproomが併設されていて醸造所の雰囲気の中で新鮮なビールを楽しめる。
さて、既に4軒目の私は、本日最後の一杯としてBeer TenderのWillieに頼んだのが、West Coast Pilsnerの「Seventh Street Blues」である。ピルスナーの喉越し、軽さに加わった柑橘系のホップの香と苦味。New England/Hazyに少し飽きてきた人だけでなく、普段ピルスナーしか飲まない人々にも人気が出そうなビアスタイルである。
現地解散 – 16:30 PM
今回は、Silと彼のビール仲間と巡る4軒のブルワリーであったが、どのブルワリーもそれぞれの情熱とこだわりがあり、時間を空けて改めて訪問してみたいと思ううところばかりであった。ブルワリーを選んでくれたSilとRichには感謝したい。
<ブルワリー & 店舗情報>
住所:1960 Adeline St.Oakland, CA 94607.
地図&行き方
電話:510-926-6728
Email:info@ghosttownbrewing.com
公式ホームページ
住所:460 8th St Oakland, CA 94607.
地図&行き方
公式ホームページ
住所:292 4th Street Oakland, CA 94607.
地図&行き方
電話:510-844-4833
Email:info@originalpatternbeer.com
公式ホームページ
住所:262 2nd Street Oakland, CA 94607.
地図&行き方
電話:510-251-8898
Emailinfo@oaklandunitedbeerworks.com
公式ホームページ
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。