ベルギービールとハーブ(薬草)について(その1)
はじめに
妻が元ロシア人のため良くハーブ(薬草)を使うこともありヨーロッパのお酒はハーブ(薬草)入りが多いとの事です。実際にベルギービールにも色々なハーブ(薬草)が入っています。
ベルギービールによく使われるハーブ(薬草)についてどの様な効能があるか数回に分けて紹介したいと思います。
今回はベルギービールを含め、ビールに必要なホップについて調べてみました。
ホップの効能と成分
効能及び成分
ホップの代表的な6つの効能について紹介します。
1・不眠の改善効果
ホップは鎮静作用が優れており、落ち着かない時や不安な時、ストレスを感じている時や眠れない時などに効果を発揮します。
研究文献
不眠症患者184名において、ホップ抽出物41.9mg とバレリアンエキスを187mg を含有する錠剤を就寝前に28日間摂取させたところ、摂取後14日で睡眠指数の改善が見られたことから、ホップとバレリアンには不眠症改善効果が示唆されました。2・生活習慣病の予防・改善効果
ホップ成分には、コレステロール値や中性脂肪値、血糖値の上昇を抑制する作用があることが報告されています。
ホップ抽出物の主成分であるイソフムロン類には、血管の弛緩作用と血糖値の上昇を抑制する作用があることがわかり、高血圧症状および糖尿病を改善する可能性が示されています。また、動脈硬化についても、コレステロールや中性脂肪の蓄積を抑制し、血液中の善玉(HDL)コレステロールを増加させる作用があることが報告されており、動脈硬化の初期症状を抑える効果も認められています。研究文献
糖尿病患者94名において、ホップ有効成分イソフムロンを16, 32, 48mg を12週間摂取させたところ、空腹時血糖値が低下し、糖尿病の指標であるHbA1c が低下し、さらにBMIも低下し、脂肪領域も減少しました。ホップの機能性成分イソフムロンには糖尿病予防効果、抗肥満効果が期待されています。3・花粉症を予防する効果
ホップ成分には、スギ花粉症患者のアレルギー症状を抑制するという報告もされており、花粉症予防効果が期待されています。
研究文献
スギ花粉症患者39名にホップ抽出物100mg を12週間摂取させたところ、4週間後のスギ花粉特異的IgE抗体が増加し、10週間後の症状スコアと薬物療法スコア(symptom medication score)が低下したことから、ホップには花粉症予防効果が期待されています。4・ダイエット効果
ホップ成分のイソフムロン類が肝臓のコレステロールや中性脂肪の蓄積を抑制し、血液中の善玉(HDL)コレステロールを増加させ、肥満を防ぐ効果があることが報告されています。
ただし、ビールに関してですので、おつまみに脂肪分の多いものや食べ過ぎた場合は効果はありませんのでご注意願います。研究文献
高脂肪食摂取マウス及びラットにホップ機能性成分イソフムロンを15日間摂取させたところ、血中トリアシルグリセロールが減少し、糞便中への脂肪排泄量が増加しました。また膵臓リパーゼ活性が抑制されたことから、ホップには抗肥満作用、生活習慣病予防効果が期待されています。5・食欲増進効果
先のダイエット効果と少し矛盾しますが、ホップの持つ鎮静作用が全身の筋肉の緊張をほぐすことによって、痙攣と腸の疝痛(せんつう)をやわらげるため、IBS (過敏性腸症候群) 、憩室炎、神経性消化不良、消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎、ストレス性の消化問題などの良薬として用いられてきました。ホップの苦み成分には消化を助け、肝臓機能を促進する作用があり、胆汁と消化液の分泌が促されることにより、食欲を増進させる効果を持ちます。
6・女性特有の悩みを改善する効果
ホップには、女性ホルモン様物質であるフィストロゲンが含まれており、女性ホルモンと似た働きをします。したがって、加齢により低下していく女性ホルモンをフィストロゲンで補うことができます。このため、女性ホルモンのバランスの乱れから生じる月経前症候群による過度の緊張やイライラ、肩こり、冷え性、肌の老化、生理痛、不安や不眠などの更年期障害の諸症状を緩和する効果があります。
研究文献
閉経後女性67名において、ホップ抽出物を1日あたり300mg 、12週間摂取させたところ、摂取6週間後には、更年期症状のほてり指数の改善が見られたことから、ホップには更年期障害予防効果が示唆されました。
※わかさ生活ウェブサイトより引用
この中で1番目の不眠の改善効果と5番目の食欲効果と6番目の女性特有の悩みを改善する効果についてそして4番目のダイエット効果について述べたいと思います。
1番目の不眠改善効果については、確かに自分自身はビールを飲むとすぐに眠たくなります。ホップの影響ではなく、アルコールの影響かと考えがちですが、ビールよりアルコールの高いワインを飲んだ時にはさほど眠くなりません。
4番目と5番目の効果は相反します。自分自身は食欲旺盛なためと学生時代からビールは食事の水替わりに飲んでいましたので、どちらかと言えば食欲増進の効果が強いと思います。しかし、日本酒にしてもビールにしても食事はほんのおつまみ程度の方は体型の細い方が多いと感じています。ホップの効果かもしれません。
6番目の女性特有の悩みを改善する効果ですが、食欲増進で食べて飲んでさらに女性ホルモンと同じ成分が入っているとなれば自然と体系が丸みを帯びるのは当然です。元ロシア国籍の妻曰く「ロシアではビールは女性の飲み物。男性はウォッカやウィスキーを飲む。もし、もりあきがビールを飲むなら運動や力仕事してから飲んでください。」といつも言われます。ビールに女性ホルモンがあるとは知っていましたが、研究文献でそれが確認されました。
2番目の生活習慣病の予防・改善効果は、飲みすぎ食べ過ぎで糖尿病の一歩手前までの生活を数年前までしていましたので実感はありません。同様に3番目の花粉症を予防する効果も花粉アレルギーが無いため時間できませんでした。
さいごに
個人的には、ホップに女性ホルモンと同じ成分が入ってる研究があったとは正直おどろきました。たしかに、いわれてみれば、福沢諭吉が「其味至って苦いけど、胸膈を開く為に妙なり」と言ったのですが、女性ホルモンの影響かもしれません。
ホップには様々な効果がありますが、実際のところ1本のビールにホップの使用量が不明であることとIPAやトリプルホップ等に使われるホップの量そして、実験で使われたホップの中出液にホップの使用量が不明であるためすぐには効果が出ないかもしれません。また、おつまみも必用以上に摂取すると効果が薄れてしまいます。
しかし、ビールは健康的な飲み物で、特に高齢期を迎える女性にとって大変良い飲み物だと解りました。
次回はビールの副原料として使われるハーブ(薬草)について紹介したいと思います。
参考文献及び引用サイト
わかさ生活 (研究文献もこちらです。)
日本ビール検定公式テキスト
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。