[コラム]2024.1.20

ベルギービールとハーブ(薬草)について(その2)

はじめに

ベルギービールによく使われるハーブ(薬草)についてどの様な効能があるか数回に分けて紹介したいと思います。
今回はホワイトビールビール等に多く使用されているコリアンダー(コリアンダーシードを含む)とオレンジピールについて調べてみました。

コリアンダー(コリアンダーシードを含む)の効能と成分

上はコリアンダーの乾燥葉
下はコリアンダーシード

コリアンダー(コリアンダーシードを含む)とは

【コリアンダー(コリアンダーシードを含む)以下コリアンダーと表記します。】の別名はパクチー(タイ語)で前者は英語です。和名はカメムシソウと言われてます。
一般的に商品としてはパクチーは葉の部分をさすことが多く、コリアンダーはシード(種)をさす場合が多いようです。
日本ではエスニック料理としてサラダや春巻き、スープの薬味としてコリアンダーの葉の部分を食べます。最も香りが独特なため好き嫌いがはっきりする食材です。但し、これは生食の場合であり、乾燥させたコリアンダーはレモンとセージを合わせたような爽やかな香りへと変化します。
シード(種)は粉にしてカレーのスパイスやハンバーグやミートボールのスパイスとして使用します。独特の強い香りを持つ葉に比べて、種子には甘くスパイシーな香りがあります。 ビールに使用した際の効果は防腐効果とビールの色を明るくする効果があります。

コリアンダーの効能と成分

コリアンダーの代表的な効能3つを紹介します。

1・胃の健康を保つ効果

コリアンダーは消化器に働きかけるハーブであり、胃の健康を保つ効果が期待できます。
また、消化を促進したり、腸内のガスを出させる駆風(くふう)剤(駆風剤とは、腸管内にたまったガスを排出させる作用のある薬剤のことです。)の役割を果たすほか、食欲不振にも効果があるといわれています。
研究文献
胃上皮細胞を用いて、コリアンダーを含むパキスタン原産薬草の機能性を評価したところ、コリアンダーはピロリ菌による活性酸素の産生を抑制したことから、コリアンダーは胃保護作用を持つと考えられています。

2・口臭を予防する効果

コリアンダーは精神を安定させる効果、胃の中の異常発酵による口臭を防ぐといわれており、口臭予防の薬としても利用されています。
研究文献
歯周病患者から採取した口腔カンジダ菌を用いて、コリアンダー精油を投与したところ、口腔カンジダ菌のバイオフィルム形成が阻害されたことから、コリアンダーはデンタルケアに役立つと考えられています。

3・精神を安定させる効果

コリアンダーが心理的な疲労感を取り去り、気分を前向きにさせる効果があるとして、アロマセラピーにも用いられています。
研究文献
コリアンダーは伝統的に消化器疾患や循環器系疾患に使用されてきました。さらにウサギやモルモットを用いた試験では、コリアンダーに血管拡張作用や利尿作用ならびに鎮痙作用を持つことがわかり、コリアンダーの高い機能性が注目されています。
※わかさ生活ウェブサイトより引用

コリアンダーは個人的にはハーブよりも野菜として食する時が多いです。
人によってはカメムシの香りがするから食べないと言う人がいますが私自身は苦になりません。良く肉と一緒に食べる事が多く肉やタマネギ等食した後の臭いの予防や肉の油の消化が良い事は実際に食べてみて感じます。しかし、精神を安定させる効果については不明です。

オレンジピールの効能と成分

オレンジピール(チンピ)

オレンジピール(チンピ)

 

オレンジピールとは

オレンジの果皮、またはそれを乾燥させたもの又はオレンジの果皮を砂糖水で煮詰めて乾燥させドライフルーツとしたもので製菓材料となります。特にオレンジの皮を乾燥させたものを漢方薬で陳皮(チンピ)と言います。また、アロマやハーブティーとして利用されます。
ベルギービールを含めビールを造るの際の投入状態は、オレンジピールが生の状態か乾燥した状態かドライフルーツの状態か不明です。ただ、どの状態でもオレンジの皮には漢方薬と同じ様な効能があります。

オレンジピールの効能と成分

オレンジピールの代表的な効能9つを紹介します。

1・血流を改善し体を温める効果

​オレンジピールには、血流を改善する効果があります。
​血流は毛細血管などが縮むことで悪くなり、末梢まで血液が運ばれなくなることで冷えが生じます。血液は酸素や栄養だけでなく、温度を運ぶ役割も担っているためです。
オレンジピールはリモネンやヘスペリジンが含まれているため、毛細血管を広げ、血液が流れやすいよう働きかけ、温度を末梢血管まで運ぶため、体を温める効果があるといえます。
研究文献
ヘスペリジン(HES)およびグルコシルヘスペリジン(GHES)が高血圧自然発症ラット(SHR)に対してどのような作用を及ぼすかについて検討しました。SHRに30mg/kg/日のHESまたはGHESを25週間与えたところ、血管の直径は大きくなり、また平均血圧が改善されました。さらに血中HDLコレステロールは増加することがわかりました。これらのことからGHESおよびHESの摂取は、血圧を下げる働きがあることがわかりました。

2・美肌効果

オレンジピールは、紫外線によって皮膚コラーゲンが分解されることを抑制する働きが知られています。あわせて、オレンジピールに含まれるヘスペリジンにはコラーゲン合成促進効果も報告されており、肌の健康を保つ効果が期待されています。
研究文献
オレンジピールはフラボノイドの一種ヘスペリジンを含んでいることが知られており、ヒトの皮膚細胞(真皮繊維芽細胞)にオレンジピール抽出物を投与すると、コラーゲン分解酵素コラゲナーゼが紫外線によって活性化されることを抑制しました。合わせて、オレンジピールに含まれるヘスペリジンはコラーゲンの合成を促進することも知られており、オレンジピールは皮膚保護作用を持つことが示唆されました。

3・生活習慣病の予防・改善効果

オレンジピールには、コレステロール合成酵素の働きを抑制することが報告されており、高コレステロール血症の予防に役立ちます。また糖尿病の予防効果も報告されており、生活習慣病予防効果があると期待されています。
研究文献
高脂肪食摂取ラットに陳皮の有効成分ヘスペリジンとナリンギニンを0.5% 含む餌を42日間摂取させたところ、高脂肪食摂取による肝臓中のコレステロールやトリグリセリドの増加が抑制されました。

4・肝機能を高める効果

オレンジピールにはC型肝炎の感染を予防する働きが報告されており、肝臓保護効果を持つと考えられています。
研究文献
上記3・生活習慣病の予防・改善効果と同じです。

5・アレルギー症状を緩和する効果

オレンジピールには抗炎症作用があり、花粉症をはじめとする種々のアレルギー症状に対する予防効果を持つことが報告されています。
研究文献
100mg/kgのヘスペリジン投与ではデキストラン誘発浮腫を約33%まで抑制することがわかりました。これらの結果から、シトラスから抽出したヘスペリジンはゆるやかな抗炎症作用を有することがわかりました。

6・リラックス効果

オレンジピールに含まれるリモネンなどの香り成分はリラックス効果を持ちます。
香りは大脳に直接働きかけるため、脳をすっきりさせ、ストレスをやわらげるなどのリラックス効果をもたらします。
研究文献
オレンジピールの機能性成分であるヘスペリジンはオピオイド受容体を通し、抗不安作用を有することがわかりました。またこのことから、ベンゾジアピンとともにヘスペリジンを併用し、鎮静作用だけではなく痛みに対する新たな治療方針も考えられました。

7・せきや痰(たん)を抑制する効果

オレンジピールはせきを鎮め、痰を抑える効果があります。そのため、せきや痰などを抑える漢方薬として古くより利用されてきました。
また、オレンジピールにはビタミンCも含まれていることから、体の免疫力を高め、風邪などの予防にも効果があると考えられています。

8・胃腸の機能を高める効果

オレンジピールには、胃腸の調子を整え、食欲不振や吐き気、消化不良などを鎮めてくれる働きがあります。
胃酸過多や下痢の症状にも良いとされ、医薬品の成分としても使われています。

9・むくみを予防・改善する効果

毛細血管は体の組織に栄養や酸素を運ぶ役割を持つため、適度に透過性が保たれている必要があります。毛細血管の透過性は、悪すぎても良すぎても体にとっては悪く、適度に保つことが必要です。
透過性が良くなりすぎるとむくみや高血圧症などの症状を引き起こします。オレンジピールなど柑橘類の皮に多く含まれるヘスペリジンは、この透過性の亢進を抑え、毛細血管を強くする働きがあるため、むくみを予防・改善する効果があるといえます。
※わかさ生活ウェブサイトより引用

私自身オレンジ等の柑橘系が好きで毎日の様に1日3つ以上は食べています。
外皮はレモン以外は食べませんがママレード等で食べることがあります。外皮の方が栄養あると言われています。
おかげ様で、ここ数年インフルエンザやコロナに感染することなく過ごしています。オレンジピールの効果はビタミンCの効果だと思っています。

さいごに

今回は、ホワイトビール等によく使用されるコリアンダーとオレンジピールの効能について調べてみました。
科学や医学的言葉が入って難しく感じる部分があると思いますが、効能だけでも理解しておけば良いと思います。
効能についてのエビデンスも研究されているので自信を持ってビールの説明や自身の知識として活用出来れば幸いです。
次回は、スペシャルビール等に用いられることが多いハーブ(薬草)についてしょうかいします。

 

前回
ベルギービールとハーブ(薬草)について(その1)

参考文献および引用文献

わかさ生活(コリアンダー パクチー)

わかさ生活(オレンジピール チンピ)

 

アビィビールオレンジピールコリアンダースペシャルビールパーテル リーヴェン・ブロンドヒューガルデンベルギービールホワイトビール禁断の果実

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

もりあき(モリテツアキ)

ビアジャーナリスト/ベルギービール・プロフェッショナル

1968年1月福島県で生まれ現在北海道余市郡に在住。ロシア人と国際結婚(妻は現在帰化)。
佛教大学卒業後社会福祉士の資格を取り地元の特別養護老人ホームの管理者を行いながら実家の事業の1つである農業を手伝っている。
ビールはベルギービールを飲むのが主で、たまに道内のクラフトビールやエビスビールを飲む。特にベルギービールは専用グラスで飲むようにしている。
現在の活動は、Facebookで北海道ベルギービール愛好会の立ち上げ、道内でベルギービールが飲める飲食店や購入できるお店や自分の飲んだビールの紹介をしている。
又、産物のハネ品(サクランボ等)からビールを作るプロジェクトを2020年立ち上げ、ハネ品(規格外、交配用、完熟、微量な傷等)を対象にビールの副原料として使い数年かけて検証していく。
今後の取り組みとして現在の活動の他、ベルギービール(道内のクラフトビールを含む)の紹介や考察を書いていきたい。
また、2022年11月23日にベルギービールのランビックビールに特化したフェイスブックを立ち上げた。これは、自身の勉強と今後1つのビールスタイルに愛着を持つ者同士のグループができるとの予測から取り組んでみたいと感じたからである。

北海道ベルギービール愛好会
https://www.facebook.com/groups/1586818794929083
ランビック愛好会
https://www.facebook.com/groups/672595961169437

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