[テイスティング,ビアバー]2024.3.10

クリスプサーヴのスーパードライが飲める!「KEEL’S BAR」OPEN

元アサヒビール社員の原田豊氏が、ビールと共に歩んできた40年の集大成として、お茶の水に「KEEL’S BAR」をオープンした。日本一うまいスーパードライをめざす同店では、サクサクと泡が弾ける「クリスプサーヴ」のスーパードライが飲める。

オーナーの原田豊氏

ビアホール文化の継承

現在「新橋DRY-DOCK」も経営する原田豊氏は、元アサヒビールの社員である。2月20日にオープンしたKEEL’S BARは、日本一おいしいスーパードライを飲める店を目指す、スーパードライ愛に燃えたビアホールだ。
元々アサヒビール直営の「お茶の水テラスSUPER DRY」があった場所を原田氏が引き継いだ。

1897年、大阪中之島に開店した「中之島アサヒ軒」は、氷室生ビールと洋食を中心とした、日本初のビアホール業態の店だった。それから一世紀以上、育まれてきたビアホール文化であるが、昨年「アサヒスーパードライ 梅田」が閉店し、アサヒグループホールディングスも外食事業からの撤退を決定した。

「ビールと共に歩んだボクの40数年 しごとの集大成として、ビアホール文化を継承したいと思った。ビールの大先輩たちに敬意をこめて」                (原田豊氏)

<KEELは竜骨>
KEEL(キール)は、船の竜骨の事で、一番大切な部材。船主から船尾まで貫通し、これがブレると船はまっすぐ進む事ができない。数百年前に沈んだ船も竜骨だけは残る。こうありたいという気持ちを込めて、店名となった。

2003年に開店した初代「KEEL’S BAR」は、再開発で立ち退きになり、代わりに「新橋DRY-DOCK」が誕生した。「日本一おいしいスーパードライを目指す店」として今日に至っている。
そして今回、「KEEL’S BAR」はお茶の水で再出航となった。

スーパードライは二系統のビールラインで

樽を3日間低温で安定させ、ビールサーバーの根元は水で冷やし、グラスは0.3℃にキープ、ビールは提供時1.6℃になるよう注出装置を設計。
「有名なビアホールでは1.6℃で出している。提供温度が1.6℃ということは冷蔵庫の中は0℃にしないと出せない。冷たすぎるとおいしくなくなるという事ではない」、と原田氏は語る。

カウンターから見て、右のコックが「クリスプサーヴ」、左が「シャープ注ぎ」で提供される。

クリスプサーヴだっ!

KEEL’S BARに来たら、ぜひとも味わっていただきたいのは、クリスプサーヴで提供されるスーパードライだ。

CRISP(クリスプ)とは

アサヒスーパードライのラベルをよく見ると、CRISP TASTEという表記がある。
CRISPという言葉は、(食品が)パリパリ、サクサクしているとか、(生もの・野菜などが)パリッとしている、シャキッとした、新鮮な、(態度が)きびきびしている、(天気などが)さわやかな、、、などという意味。

クリスプなビールとは、はじけるような爽快な味わいのビール。
「飲んだ瞬間、口の中で炭酸ガスが爽やかにはじけ、おなかがふくれず何杯でも飲める」(原田氏)

クリスプサーヴ

クリスプサーヴによる泡は、昔からヨーロッパで大切にされてきた、シャンクマイスター(注ぎ手)が腕を振るう、軽くてサクサクした泡、花が咲いたような泡だ。
クリスプサーヴは技術が必要で、習得するには時間がかかることもあり、時代の流れで泡付け機で柔らかい泡をつけるシャープ注ぎが主流となっていった。
しかし原田氏は「アサヒスーパードライ 梅田」の閉店、アサヒビールの外食事業からの撤退を受けて、ビアホールの文化を無くしてはいけないと思い、クリスプサーヴの技術を引き継がせた。スタッフは猛特訓を重ねてオープンを迎えた。

他に、クリスプサーヴでおいしいビールを提供するために
・注ぎ口まで2m(通常は12mほど)しかなく、通常より20%太くしたシンプルなビール注出設備を特別に発注。樽から直接出てくるという感覚だ。流速が速く、注ぎ手の技術が求められる。

・ビールグラスも特別にオーダー
スーパードライ専用…菅原工芸硝子製(手吹き工法)
スーパードライショット専用…田島硝子製(手吹き工法)
(—-熟撰も、専用グラスで…菅原工芸硝子製(手吹き工法))

ショットグラスでスーパードライ!

これはおすすめ。
カウンター席限定で、注ぎ手の近くで、ショットグラスでスーパードライが飲める。
ドイツの、ケルシュの立ち飲みの常連客のスタイルを取り入れたものだが、そのグラスは金口で、その席に座るまで10年と言われている。

一番おいしいビールを、一気に飲む。クリスプサーヴに合っているというわけだ。

サクサクとした弾ける泡のクリスプサーヴと柔らかくクリーミーな泡のシャープ注ぎ。
ぜひ飲み比べて違いを味わっていただきたい。

樽生ビール(全9種類)  (税込み価格)
TAP1.2

スーパードライ(クリスプサーヴ・シャープ注ぎ) レギュラー740円/ショット(クリスプサーヴ)420円

TAP3

ピルスナーウルケル ラージ1320円/レギュラー 780円

TAP4

熟撰 レギュラー880円

TAP5

アサヒ生ビール黒生(マルエフ黒)

TAP6~9

ゲストビール4TAP(イベント時は移動式ディスペンサーで+4TAP)

ビールの国の郷土料理

今もヨーロッパで愛され続けている、ビールに合うオーソドックスな料理が揃ったフードメニューも、KEEL’S BARの魅力だ。

中でも、アイスバインは、おすすめ。
ドイツを代表する料理で、豚のスネ肉を長時間塩漬けし、玉ねぎ、セロリなどを加えたマリネ液で丁寧に煮込んだもの。ビアホールでもお馴染みの料理だが、最近では珍しくなってきたかもしれない。

ピザ、フォカッチャ等、ピザ窯で仕上げる料理や、初代KEEL’S BARから受け継がれるチキンバスケットやナポリタン、新橋DRY-DOCK発のポテトサラダなど、ビールがすすむメニューが揃っている。

ランチメニューもある。学生の街・お茶の水に合わせて、ランチタイムは学割も有り。

 

メニューブックの表紙や、椅子やテーブル、半立ち飲み用の腰かけは、アサヒスーパードライ 梅田から譲り受けた。ビアホール文化継承の印だ。丁寧に手入れをしてあり、椅子もテーブルもびくともしない。椅子に刻まれた「AB」の刻印に触れてみた。大阪弁の社交場の賑わいが聞こえてくるような気がした。

`ビールと料理が美味しいだけ`、の「あたりまえのビアホール」が、お茶の水に誕生した。

クリスプサーヴのスーパードライを、ぜひ一度味わっていただきたい。

画像提供 KEEL’S BAR

KEEL’S BAR  https://keelsbar.com/

東京都千代田区神田駿河台2-1-20 お茶の水ユニオンビル1F
JR御茶ノ水駅(御茶ノ水橋口) 徒歩2分
03-5577-7505
[営業時間]
平日11:30 〜 15:00  17:00 〜 22:00
土曜11:30 〜 21:00 定休日・祝

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

順いづみ

ビアジャーナリスト

ミュージシャン(ピアニスト)。ヤマハ音楽教室講師を経てフリーに。指導・ライブ歴40年。タレント、歌手のショー出演多数。ライブハウスで飲むうちにビールに取り憑かれ深みにはまる。横浜・馬車道「ブルーライトバー」レギュラーピアニスト。

一方で小説講座やシナリオ講座で勉強中。一昨年「事実に基づく小論文・エッセー(北野生涯教育振興会主催)」でエッセー「魔法使いの弟子」が二位入賞、作品集「すぐそばにある『世界』」の中に収められ、出版。
2021年2月には小説「OnCue!」を電子書籍(Amazon)にて出版。
歌手・俳優の佐野光洋のコンサートでは毎回演奏&アレンジで参加、朗読作品も提供している。
昨年は小説の同人誌「ササレ!」を発行。
ビール関係では昨年モノマガジン7-16号に記事を書いている。五郎丸歩氏、畠山健介氏へ、ラグビーとビールの関係についてのインタビュー記事などを担当。

その他、演奏スケジュールなどはインスタグラム(毎日発信)、ライブ情報、Twitter、YouTube等々、上のお家マークのリットリンクからご覧ください。

ジュンウエノエンタティメント所属。時々通販番組出演。
熊本県出身東京都在住。ミステリ、都市伝説、ジャズ、ビートルマニア。

CD 「and You」 2012年
「3粒のぶどう家族」(朗読CD付き絵本、CD音楽担当)発行 ブイツーソリューション 2017年・「あの青い糸」(二部合唱曲・作曲) 2020年

日本の世界の、まだ見ぬたくさんのビールとの出会いを楽しみに生きてます。
施設でのボランティアコンサートも定期的に開催。2024年11月は新宿区のデイサービス施設に伺います。

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