【ビールを通して感じる韓国⑰】~旧マッコリ醸造所で味わうクラフトビール~ DAEDO BREWING@大邱(テグ)
大邱(대구・Daegu)は、韓国東南部の内陸にある人口約240万人の広域市で、ソウル、釜山に次ぐ韓国第3の都市と言われています。ソウルを東京、釜山を大阪にたとえることがありますが、それでいくと大邱は名古屋に当たると思います。山に囲まれた盆地であるため、夏は暑く冬は寒いことでも知られています。
*大邱については、以前紹介したこちら(【ビールを通して感じる韓国⑧】野球観戦でビールを飲む@大邱サムソンライオンズパーク)も参考にしていただけると嬉しいです。
私の先月の旅の滞在先は釜山でしたが、気になるブルワリーがあり日帰りで大邱へも行ってきました。
釜山から大邱へ
前回は釜山から高速バスに乗り、1時間半ほどかけて東大邱駅に隣接しているバスターミナルへ行きました。それよりも少し料金は高くなるもののかかる時間が短いので、今回は釜山駅からKTX(韓国高速鉄道・Korea Train Express)に乗車。17100ウォン(約1880円)、46分で東大邱駅に到着しました。
ちなみにソウル駅からKTXに乗った場合は、2時間弱で東大邱駅に着きます。
大邱広域市中区
大邱の移動手段は都市鉄道(地下鉄)かバス。バスよりも都市鉄道のほうがハードルは低いと思います。
大邱の地下鉄は、ソウル・釜山に続いて3番目の1997年に1号線が開通しました。現在3号線までありますが、2015年に開通した3号線は地下ではなく、地上を走行するモノレールになっています。そのため、今の路線図を見ると「地下鉄」という言葉はなく、「都市鉄道」と表記されています。
中区の街歩き
大邱は7つの区と2つの郡で構成される広域市です。その中心部にあるのが中区。面積は7㎢ほどですが、デパート、歴史的な建築物、博物館、市場など人が集まる場所や見どころが多く集まっています。
大通りから少し入ると昔の面影を残した路地もあり、あちこちにオブジェも出来ています。街歩きの地図も配られていて、歩き回るのにもよい感じです。
薬令市
400年の歴史がある大邱の薬令市も中区にあり、韓国三大漢方専門市場のひとつです。メインストリートには漢方薬局や漢方薬剤卸売店などが並んでいます。薬令市の歴史や漢方について学ぶことができる大邱薬令市韓医薬博物館もあり、入場無料です。
DAEDO BREWING(대도양조장)
今回気になって訪問したのはDAEDO BREWING(テドブルーイング)。韓国語の대도양조장(テドヤンジョジャン)はテド醸造場という意味になります。
2019年に設立されたブルワリーで、中区のキム・グァンソク(김광석・Kim Kwang-Seok)通りと呼ばれる、若者に人気のある場所にあります。
ちなみに、キム・グァンソクは若くしてこの世を去った韓国の1980年代を代表する大邱出身のフォークシンガー。通りにはキム・グァンソクを題材にした壁画やオブジェが約350mに渡って並んでいます。
地下鉄2号線の慶大病院(경대병원)駅の3番出口を出て、徒歩10分程度で到着します。
DAEDO BREWINGの建物は、マッコリ醸造所として1953年に建てられたものをリニューアルしたものです。”DAEDO”という名前も旧マッコリ醸造所と同じ名前。名前と建物のふたつを引き継いでできたブルワリーです。
外装にレンガが使われた2階建の建物で、外にもテーブルがあり、合わせると150席あるとのことです。
私が訪問したのは日曜の午後。通りはけっこう人が歩いていましたが、冬ということもあってか店内は空いていました。
注文はタッチパネルで。残念ながら言語切り替えはできないようでした。
画像で内容を想像できることもあるのはタッチパネルのいいところですが、特に外国語だと何だか焦ってしまうのは私だけでしょうか。
この日のビールはすべて自家製で13種類。DAILY、HOPPY、SPECIALに分かれていて、それぞれ6種類、2種類、5種類でした。
まずはテドヴァイツェンを選びました。アルコール分4.8%、IBU18。8000ウォン(約880円)でした。最初にバナナの香りがしっかりと感じられる、穏やかな味わいのヴァイツェンでした。
おつまみのクラッカーは無料です。
続いて頼んだのは テドゴールデンエール。アルコール分4.1%、IBU18なので、冷静にメニューが読めれば、こちらを最初のビールにしたかもしれません。7000ウォン(約770円)でした。
微かに柑橘系の味わいがあり、後味はすっきりとしたビールでした。
おなかが空いていたので、ちょっと食べることに。ピザ、ステーキなどボリュームがありそうなものばかりの中から、トマトクリームソースのパスタを選んでみました。
これがとても美味しくてびっくりしました。ビールが飲めないときがあっても、これだけは食べたいと思えるほどでした。
最後に選んだビールは、テドピルスナーラガー。アルコール分5.1%、IBU28。8000ウォン(約880円)でした。
結局、この日は冒険せず、すべてDAILYの中から選んでしまいました。サンプラー(飲み比べセット)も3パターンあったので、次回があれば利用していろいろ味わってみたいと思います。
飲んで一番気に入ったヴァイツェンと、飲めなったヘレスは缶で購入して、DAEDO BREWINGを後にしました。
◎DAEDO BREWING所在地:대구광역시 중구 동덕로14길 47(47 Dongdeok-ro 14-gil, Jung-gu, Daegu)
営業時間:平日15:00~24:00(金曜は~1:00) 土曜13:00~01:00 日曜13:00~23:00
大邱はソウルや釜山ほど知られてはいませんが、コンパクトにまとまっていてほどよく都会。近隣には自然あふれる山や公園などがある恵まれた場所です。ほとんどの都市から日帰りも十分可能なので、韓国に滞在して1日でも空き時間ができたら、クラフトビールを飲みに行き、合わせてちょっと観光も楽しんでみてはいかがでしょうか。
*参考文献:「CRAFT BEER KOREA(KOREAN CRAFT BREWERY GUIDE BOOK 2020)」BEER POST PUBLISHING
*100ウォンを約11円として換算しています
*写真はすべて2024年2月に撮影しています
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。