[イベント,コラム]2024.5.3

韓国のビールEXPO「KOREA INTERNATIONAL BEER EXPO(KIBEX)」に行ってきました<後編>

韓国では2019年からビアEXPOが開催されており、今年も第6回になるビアEXPOが4月11日から3日間開催されました。開催は3日間ですが、1日目はBusiness Dayとなっており、入れるのはVIPやバイヤーなどの入場PASSを持った人だけで一般の方は入れません。

その日の様子は、韓国のビールEXPO「KOREA INTERNATIONAL BEER EXPO(KIBEX)」に行ってきました<前編>(2024.4.30)でまとめています。

後編では、Business Day+Public Dayとして開催された3日目の様子を紹介します。

KIBEX3日目(Business Day+Public Day)

入口付近の様子

一般の方が入場できる日の様子を見たくて、もう一度KIBEXへ向かったのは3日目(土曜日)の午前11時頃。入口周辺には待ち合わせをしているらしい人たちがいます。購入したものの持ち帰り用らしいキャリーを持ってきている方の姿も見かけました。

入場には登録が必要で、その登録をもとにして機械で入場パスになるリストバンドが発行される仕組みになっているようです。入口の反対側にある機械には、順番待ちの列ができていました。


特に会場に明記はなかったのですが、KIBEXのホームページには、一般の方の登録入場料は1名20000ウォン(約2200円)と載っていました。早期登録しておくと、割引もあるようです。
入場時にバッグと会場で使用するプラコップが配られていました。バッグは初日も見かけましたが、プラコップは初めて見ました。午後に見たときはなくなっていたので、それほど多めに用意しているわけではなかったのかもしれません。

会場内の様子

会場内は、1日目に比べるとかなり人が増えています。人気と思われるブルワリーのブースには長い列ができていました。それでも歩き回るのには支障はなく、程よく混んでいるという状態でした。
来場者は20~30代の方がほとんどで、男女比は少し男性のほうが多いようでした。ひとりで来ている方や大人数のグループはほとんど見かけず、2~4人で来ている方が多かったです。これは韓国での「クラフトビールを飲むのは若い人」「ひとり飲みする人はほとんどいない」という普段の状況がそのまま反映されていると感じました。



同じ会場のDRINK SEOULのほうも状況は同じでした。


今日の来場者は一般の方がほとんどなのでさすがに試飲中心ではないのかと思っていましたが、やはりほとんどの方は試飲で楽しんでいました。
座ってじっくり飲食するというよりも立ったまま少しずつ試飲を味わう方が多かったため、DRINK LOUNGEのテーブルはほぼ埋まっていましたが、相席ならまだまだ座れそうでした。このあたりは普通のビアフェスとは少し違っていたと思います。

会場の入口で配布していたプラコップを洗うところも用意されていましたが、各ブースで試飲用カップに入れてくれたので、私は結局使わないままでした。

一番長い列に並んでみた

1日目に立ち寄らなかったブルワリーのビールを数カ所で試したあと、入ったときから気になっていた韓国のあるブルワリーの列に並んでみました。勉強不足で初めて知ったブルワリーでしたが、明らかに他より列が長くなっていて、ざっと40人ほどが並んでいました。

どのくらいで自分の番がくるのかと思っていたら、注いでもらえるまで20分程度。見ていると最初の1杯をその場でさっと味わい、次を頼んで場所をすっと次に譲る方が多かったので、私もそれに倣いました。ビールについてのやり取りはちゃんとありますが長々と話をする方はなく、来場者も注ぎ手もいい意味でスマートだと感じました。
缶ビールの購入は、その隣で別の方が担当していました。(余談ですが、ここで初めて「日本語でも大丈夫です」と言われました…)

KIBEXに行って感じたこと

今回KIBEXに2日間行って感じたことや気になったことを、ここで4つほどあげておきます。

①来場者の年齢層はやっぱり若い
韓国でクラフトビールのタップルームに行くと、場所にもよりますが来ているのはほぼ30代までの方。KIBEXも同じような客層でした。
韓国の場合、今のクラフトビール愛飲者がそのままずっとクラフトビールが好きだとしたら、10年後、20年後もまだまだ飲める年齢で安泰と思われますが、果たして今後どうなるでしょうか…

②海外ビールが意外と多い
KIBEXはKOREA INTERNATIONAL BEER EXPOなので海外ビール関係の出展があるのは不思議ではないのですが、もう少し韓国のクラフトビールを中心としたEXPOなのかと思っていました。
私はそれでも、韓国のクラフトビールのブースだけを回っても十分楽しめました。

③グッズはほとんどない
私の見た限り、KIBEXのブースでパンフレットやステッカーの無料配布をしているところはありましたが、グッズを売っているブルワリーはないようでした。来場者のほうも、日本だとビールイベントにブルワリーなどのビールTシャツを着て参加する方も多いですが、KIBEXでは皆無でした。
そもそも韓国のタップルームでは、グラスなどを売っていることはありますが全体的にグッズの取り扱いは日本に比べるとかなり少なめ。特にTシャツの販売はほとんどないように思います。好きなブルワリーはあっても、関係者以外がそれを外にアピールするということがあまりなく、需要が少ないのかもしれません。
ブルワリーのグッズとは少し違いますが、私はビール関連本の販売をかなり期待していましたがそれがなかったのは残念でした。

④とにかく試飲ができる
一番驚いて印象に残ったのは、とにかく試飲がいくらでもできたことです。会場に入ったあとは、お土産として瓶・缶のビールを買う以外はビールにお金がかかることはありませんでした。
この場は出展者にとって、そこでビールを売って儲けるというよりもあくまでのPRの場なのだと思います。来場者のほうも、その場でビールを大量に飲むことよりも、いろいろなビールを知ることを楽しむほうに主眼を置いているようでした。
私自身を例にすると、KIBEXで親切にしていただきビールも美味しかったブルワリーのタップルームが気になり、ソウル滞在期間中に改めて訪問してきました。(この話は後日紹介したいと思います。)また、地方なので今回は無理でしたが、次回以降改めて訪問したいと思ったブルワリーもありました。PR効果、ちゃんとあると思います。

参考(数字で見るKIBEXと韓国クラフトビール市場)

最後になりましたが、KIBEXと韓国クラフトビール市場に関する簡単な数字をあげておきたいと思います。

KIBEXについて

まだ今年の数字は公表されていないようなので、前年の数字をあげておきます。前年も同じ会場で同じように4月の木曜から土曜までの開催と同条件なので、参考になると思います。
参加国数:10か国
出展者:189者
ブース数:300個
参加人数:18161人

韓国クラフトビール市場について


韓国のクラフトビールメーカーは、2014年の54か所から2021年には163か所へと7年間で約3倍増となっています。売上高も、2013年の93億ウォンから2021年に1520億ウォンへと跳ねあがって。8年で15倍以上の成長を記録しています。
少し前の数字になりますが、韓国クラフトビール市場は、大企業のビールや輸入ビールとの激しい競争がありながらも大幅に拡大しているのは確かです。

KIBEX韓国クラフトビール

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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