[ビアバー]2024.5.9

【ビールを通じて感じる韓国⑳】ソウルとその近郊でクラフトビールを飲む(6) セルフで注げる60タップが並ぶTap Public@汝矣島

「クラフトビールをいろいろ飲んでみたい」「でもそんなに量は飲めなそうにない」…そんな時、どんなお店に行きますか?
「サンプラー」や「ビアフライト」と呼ばれるテイスティングセットのあるお店に行くのもひとつの手ですが、それだとそれぞれのビールの量は決まっているし、種類も選べないことも多いと思います。もう少し自由にビールを飲みたいと思うことはないですか?

ソウルでそんな時にお勧めしたいお店のひとつが、汝矣島にあるTap Publicです。Tap Publicでは、60タップの中から自分が選んだビールをセルフで注ぎ、飲んだ量で料金が決まるという量り売りでビールを飲むことができます。
以前に、【東北で出会うビールの世界⑪】今、青森市のビールが楽しい!(後編) 量り売りでビールを飲むAomori Brew Pub(2023.7.6)で取り上げたのと同じようなシステムです。

汝矣島とは

汝矣島( 여의도・Yeouido・ヨイド)は、韓国のソウルを流れる漢江の中州で、広さは縦3km、横1kmほどです。

韓国の政治、金融、マスコミの中心地とされ、国会議事堂や政府機関が置かれているほか、大手金融機関やメディアの本社なども多く、韓国のマンハッタンとも呼ばれています。
以前は、一時期韓国で最も高いビルだった63ビル(1985年開業)が汝矣島のシンボルでしたが、現在は高層ビルが立ち並んでいるためあまり見えなくなってしまいました。

Tap Public Yeouido

行き方

Tap Public Yeouidoがあるのは、地下鉄5号線・9号線の汝矣島駅の近く。3番出口を出てすぐの交差点を渡ったところにあるO2タワーというビル(下記の写真左手)の2階にあります。

外のエレベーターで2階へ上がれます。

右手にあるのがTap Public Yeouidoです。

店内の雰囲気

店の入り口左手には60種類のビールリストがあります。韓国のクラフトビールはざっと1/3。あとは日本を含む外国のビールでした。

店内は広々としていて、大きな窓から外の光も入り明るい雰囲気です。入って左手の壁にはタップがずらりと並んでいます。


訪問は平日のランチタイム。11時の開店直後を狙ったので空いていましたが、11時半前からどんどんお客さんが増えていきました。周辺はオフィスが多く、飲まないときでもランチを食べるお店として人気があるようです。

ビールを注いでみた

ビールを飲む人には、このタグが渡されます。

タップが並ぶ横に置いてあるグラスを手にして、飲みたいビールを探します。決まったら、ビールの説明と価格表示の下にある”TAG TAP”のところにタグをタッチすると注げる状態になります。

注ぎ終わると、表示が量と料金に変わります。

この日私が注いだのはすべて韓国のクラフトビール。ビールの価格は、10mlあたり一番安いものが210ウォン(約23円)、一番高いものが310ウォン(約34円)でした。

グラスが大きめなので、これぐらい注いで150mlでした。たっぷり注ぐと500mlぐらい入りそうです。

ビールの説明文は韓国語。ロゴではどこのブルワリーが造ったのかわかりにくいものもありましたが、少なくともスタイル、アルコール分、造られた国は明示されているので、候補を絞って試し飲みをすることはできます。好みでなければ他のを試せばいいし、気に入ったらたっぷり注げばいいのではないでしょうか。

ちなみに日本のビールでつながっていたのは、サッポロビールとオリオンビール。それぞれ10mlあたり270ウォン(約30円)、280円(約31円)となっていました。

料理の注文

Tap Publicは料理にも力をいれているとのこと。平日のランチタイムは、同じ料理でも、夜よりも値段が1000ウォン(約110円)程度安くなっているようです。
メニューはパッドで見るようになっており、ピザやパスタ、ハンバーガーなどが種類豊富に並んでいました。

ここから頼むのかと思って注文ボタンはどこだろうとあれこれ画面を探したけれど見つからず、周囲を見て注文は紙に書いて渡す方式なのだと気がつきました。意外なところがアナログでした…

この日頼んだのは2品。シーズナルドフライとステーキクリームリゾットを選びました。リゾットは牛肉がたっぷりで、とても美味しかったです。

会計はどうなったのか…

この日の会計は、合計で39300ウォン(約4320円)。内訳は、ビール5種類分が530mlで13380ウォン(約1460円)、料理がシーズナルドフライ(4000ウォン・約440円)とステーキクリームリゾット(22000ウォン・約2420円)で計26000ウォン(約2860円)で、総額のうち、ビールは1/3ほどでした。
料理はとても美味しいのですがほかのタップルームに比べても値段が若干高めなので、予算が足りない場合はビールだけ楽しむというのもありだと思います。
ランチメニューでも料理は18000ウォン(約1980円)以上のものがほとんどですが、それでも仕事の昼休みにランチを食べに来ているグループで店内は賑わっていました。もちろん毎日ではないのでしょうが、この値段のランチを食べにくる人が多いのに少し驚きました。
そしてもっと驚いたのは、そんな中で少しだけビールを飲んでいた方が何人かいたこと。日本だとオフィス仕事の昼休みにビールを飲むことは普通ないと思うのですが、韓国では少量で影響がほとんどなければOKなのかもしれません。ビール片手に、そんなオフィス街でのランチ光景を眺めるというのも初めての経験でした。

セルフでビールを注ぎ、量り売りでビールを飲めるお店は、日本でもほとんどありません。ゆったりとした明るい店内でいろいろビールを好きなだけ注ぐだけでも楽しいし、さらに料理も美味しいTap Public Yeouido。交通の便もよく、営業時間が長く昼飲みもできるので、ソウルに滞在したときに空き時間があったら訪問してみてはいかがでしょうか。

◎Tap Public Yeouido(탭퍼블릭 여의도)
所在地:83 Uisadang-daero, Yeongdeungpo-gu, Seoul
営業時間:月〜金 11:00~24:00・土 12:00~24:00・日 12:00~23:00

・TAP PUBLICは以前は梨泰院や光化門の近くにもありましたが、そちらは閉店になっているようです。

*100ウォンを約11円として換算しています

Tap Public汝矣島韓国クラフトビール

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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