[コラム,テイスティング,ブルワー,新商品情報]2024.5.31

日本人ブルワーによる新たなベルギービール「 Yamato Beer（大和麦酒）」― 手掛けるのはミシュラン・ビブグルマン獲得シェフ ―

2024年4月、ベルギーにおいて、日本人ブルワー小原呂之氏が手掛ける新たなビアブランド「Yamoto Beer（大和麦酒）」が誕生しました。小原氏は普段、2024年版のミシュランガイドにおいてビブグルマンに選出されたブリュッセルの日本食レストラン「YOKA TOMO（よかとも）」のオーナーシェフとして活躍されています。本記事では、「Yamoto Beer」の概要や味わいの特徴、さらには繊細な日本料理とのペアリングについて紹介します。

写真提供 : 小原呂之氏

小原呂之氏のプロフィール

料理人。ブルワー。福岡県出身。学業を終えた後に海外へ渡り、ニュージーランド、オーストラリア、韓国、デンマークの日本食レストランに勤務し、料理人としての腕を磨きつつ、海外における日本食のトレンドや可能性について学ぶ。2017年にはベルギーへ渡り、後にオリジナルビアブランドの名前の由来となる現地の老舗ラーメン店「Yamato（やまと）」に勤務。その後独立し、2022年10月に自身がオーナーシェフを務める店「YOKA TOMO」をオープン。2024年版のミシュランガイドでは、ビブグルマンを獲得。料理人として日本食と酒類全般のペアリングを基礎理論から学ぶ中で、「国籍問わず、多くの人から広く愛されるオリジナルビールを造りたい」という夢を抱き、ブリュッセルにある職業訓練校の醸造学コースに入学。ベルギー国内トップブルワーのもとで、約2年間マイクロブルワリーに特化したビール醸造の技術を学ぶ。そして2024年4月、ビアブランド「Yamoto Beer」を立ち上げる。

写真提供 : 小原呂之氏

「Yamato Beer」とは？

「Yamato Beer」は、日本の辛口ビールとベルジャンブロンドの特徴を兼ね備えたビールで、今までにないハイブリッドなビールがコンセプトです。また、ホップは、シトラとサッポロビールが品種化したソラチエースを50%ずつ使用しています。

【商品概要】

商品名 : Yamato Beer（大和麦酒）

醸造所 : BeerSelect

スタイル : スペシャルビール（Karakuchi Blond）

アルコール度数 : 5%

容量 : 330ml、750ml

330mlボトル。オリジナルラベルの字は、小原氏の実父である書家の半山居氏の作品。

750mlボトル。こちらのラベルの字も同じく半山居氏の作品。

【Yamato Beerの味わい】

輝きのある黄金色をしたこのビールの泡立ちは豊かで、立ち上がり香からは、オレンジピールやグレープフルーツ、さらにはレモングラスのようなグリーン調の爽やかなニュアンス、クローブのようなスパイシーさを感じます。口に含むと、ドライでキレのある苦味と豊かな旨みが広がります。香りや風味には、シトラ由来のグレープフルーツ、レモン、パッションフルーツといったニュアンス。さらには、ソラチエース由来のレモングラスやディルのような清涼感、ヒノキのようなウッディな風味も感じられます。後味にはシャープな喉越しを感じつつも、2種類のホップの爽やかな香りが心地よく余韻として残ります。一流の料理人だからこそ表現できる絶妙な香りと味わいのバランスが素晴らしいビールです。

「YOKA TOMO」の洗練された料理とのペアリング

「YOKA TOMO」は、ブリュッセルで小原呂之氏がオーナーシェフを務める日本料理店。同店では、小原氏の故郷である九州地方の郷土料理や京都のおばんざいから着想を得た料理を提供しています。素材本来の味を存分に活かした繊細かつ奥深い味わいで、出汁の旨味が効いているのが特徴。このような洗練された日本食と、2種類のホップによる上品な香りとキレのある喉越し、さらには豊かな旨みが特徴的な「Yamato Beer」の相性はもちろん抜群。旨みの相乗効果を存分に堪能できる至福のペアリングです。

「Yamoto Beer」は現在市販されていませんが、「YOKA TOMO」のほか、ブリュッセルにある行列のできるラーメン店「RAMEN NOBU」および地元民に人気のバー「COPIN」でも提供されています。また、小原氏は今後の事業展開の展望として、自社醸造所の設立、「Yamato Beer」の新たなラベルのリリース、さらには日本への輸出を目指しています。

[YOKA TOMOの詳細]