麹×ビールの可能性を探る「麹勉強会」を飯田商事が主催
国内外で、麹を使用したビールが増えつつあります。麹の使い方やその機能、醸造の実例を伝えることで、「和素材」を使ったビールの可能性を広げたいと、飯田商事株式会社主催で麹勉強会が行われました。
麹勉強会 概要
日時: 2024年5月9日(木)
場所: CHORYO Brew Park(奈良県北葛城郡広陵町)セミナールーム
内容:
【第一部】麹のビール醸造への利用
【第二部】麹を使用したビール醸造の方法
【第三部】Q&A 事前質問への回答
参加方法:現地、もしくはzoom参加
講師:
【第一部】株式会社樋口松之助商店 取締役 研究室長 山下秀行さん
【第二部】長龍酒造株式会社 ヘッドブルワー 樋代卓矢さん
主催:飯田商事株式会社
酒類関連企業の商品・技術・機能を活用し、酒蔵の酒造りを包括的にサポート。酒造米や米穀加工品、糖化製品、醗酵調味料の販売、加工調味料製造販売、酒粕加工販売、貿易業などを行っている。大阪・八尾に本社。
飯田商事による麹勉強会の主催は2回め。北は北海道、南は九州から、計54人(オンライン参加含む)が参加しました。
麹のビール醸造への利用
そもそも麹は、ビールの主原料「麦芽、ホップ、水(、酵母)」に含まれていません。麹で思い浮かぶお酒といえば、日本酒と焼酎。これは製造の過程で、米や麦、芋のでんぷんを糖に分解するためで、ビールの場合、麦芽がこの役割を担っています。
それでもビールに麹を使用する目的は、日本独自のビール造りとして、日本の素材(和素材)を利用することに価値を見出しているから。また、麦芽では得られない効果があるからのようです。
大阪・阿倍野にある種麹(※1)メーカー、樋口松之助商店の山下さんからの講義では、麹菌と、麹菌を生やす穀物(※2)の組み合わせで、様々な風味や酵素を生む可能性があることや、醸造工程で生成する白麹のクエン酸を利用し、酸味を付与できることなどが麹使用の可能性として挙げられました。
※1 種麹と麹を作るための麹菌を供給するために、麹菌の胞子を培養して集めたもの。酒造業界では「種もやし」ともいう
※2 講義内では粟、稗、ソバ米、大豆などの穀物の利用について解説
麹を利用したビール醸造の方法
長龍酒造の樋代さんからは、講座内限定で、CHORYO Craft Beerで醸造している4液種についてレシピが公開され、仕込みでのポイントや、麹を使用することで得られる特徴が解説されました。さらに、現地参加者は4種のビールを試飲して理解を深めました。
1.ライスラガー …麹不使用、米麹の比較対象として米を使用している(基準ビール)
2.白麹セゾン-Yuzu- …白麹を一旦甘酒にしてから、糖化で使用。主原料の21%が白麹
3.白麹セゾン …白麹の甘酒を発酵タンクにも添加。発酵タンクで麹の糖化酵素でドライな仕上がり
4.糀ラガー …白麹と黄麹を使用したラガー。白ワインの様な香味を有する
麹×ビールの今後
今回の講座には、麹の使用を検討しているブルワリーはもちろん、すでに使用したことがあり、今後の可能性を探っているブルワリーも参加していました。事前質問には、麹の具体的な糖化方法、醸造の際の注意点など具体的な質問もあり、参加後のアンケートでは、使い方が難しいという意見もありつつも、参加者の88%が麹の使用を前向きに検討する結果となりました。
2024年7月20日(土)、21日(日)は、奈良県のCHORYO BREW PARKにて、今回の勉強会に参加したブルワリーが麹を使って醸造したビールを持ち寄るイベントが開催されます。最新の麹ビールを体験できるイベントは、一般客も入場可能。
麹×ビールの可能性を、ぜひ出来立てのビールを通して感じてください。
【イベント情報】
和ノ麦酒祭(わのばくしゅまつり)
2024年7月20日(土)、21日(日) 12:00~19:00
会場:CHORYO BREW PARK
奈良県北葛城郡広陵町南7-1
詳細は公式アカウントにて公開します。
公式アカウント:Instagram @wanomugi_brewpark
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。