[コラム,ブルワー]2024.7.18

【東北で出会うビールの世界⑬】本州最北端のビール醸造所「梅香山崇徳寺 バイコードリンクB・S」を訪ねてみた

青森県大間町にあるバイコードリンクB・Sは本州最北端のビール醸造所です。キャッチコピーの「お寺で地ビール」からもわかる通り、梅香山崇徳寺というお寺の中でビールが造られています。
今でこそいろいろ珍しい場所でもビールが造られていますが、ここでの醸造開始は2002年5月と比較的古く、20年を超える歴史があります。
ここのビールは、以前に青森市内での土産物店で見かけて購入したことはありましたが、実際にどんな場所で醸造されているのかを見てみたいと思い現地へ足を運んでみました。

本州最北端の青森県大間町


青森県大間町は、下北半島の先端にある本州最北端の自治体です。人口は約4300人。町の北端の大間崎は津軽海峡に面し、対岸の北海道函館市の汐首岬までは約17 km。天気の良い日には対岸の北海道が見えます。本州にありながら、実は北海道南端よりも北に位置しています。

漁業を中心とした町で、近年「大間のマグロ」の知名度が高まり、グルメのブランドとして人気が高くなっています。全体的には自然豊かで静かな町ですが、大間崎周辺にはマグロを提供する食堂が並んでいて人が集まっており、観光バスも見かけます。

バイコードリンクB・S

大間崎から向かう

大間崎からは国道339号線に出て、南下すること約4km。「卍直売所 お寺で地ビール」の案内看板に従い左折して少し進むと、梅香山崇徳寺の入口に着きます。私は橋手前のスペースに車を停めましたが、この橋を渡ったところに駐車スペースがありました。



正面にはお寺の建物。表示が出ていなければビールを造っているとは思えないような場所ですが、境内に太古の昔から昏々と湧き出る霊水を仕込み水にしたビール「麦雫」が造られているのはこの敷地内です。

右手の奥に進んで行くと、直売所のある小屋があります。

直売所の中に入る

直売所の入口を開けると、左手にはカウンターがありましたがこの日は無人。右手にビールの説明と自動販売機がありました。


ここで造られているビールは6種類紹介されていましたが、自動販売機にあったのは麦雫のピルスナー、ラガー、スタウト、アップルの4種類と山葡萄酒。そこで、4種類のビールを購入しました。アップルとスタウトは1本450円、ピルスナーとラガーは1本500円というのは、小規模な醸造所としては格安。住職が自分のお寺でおひとりで醸造されているそうなので、この価格での提供ができるのでしょう。

持ち帰って飲んでみると、全体的に苦みよりもモルトの甘みが感じられる素朴な味わい。スタウトは意外と爽やかな味わいで、私はこの中では一番気に入りました。アップルはフルーツビールというよりもややサイダー(シードル)に近いように感じました。

どうやって行けるのか?

基本は車利用

今回は交通の便がよくないことに加えて、タップルームはなく現地では飲めないので、迷うことなく車を利用しました。出発点の岩手県盛岡市でナビをセットすると、目的地まで約290キロ、所要時間は6時間弱と出ました。隣県とはいえ、かなり時間がかかる予想です。
実際に車で走ってみると、高速道路で走れた部分は距離のほぼ半分で所要時間は2時間ほど。残りの一般道で約3時間かかり、合計では5時間あまりで到着しました。高速を降りてからは海沿いの道も長く、景色や町並みを楽しむことができました。時間はかかりましたが、後半のほうが運転しながらワクワクしました。

車がない場合は…

車がなくても行くことは可能です。しかも、理論上は東京からの日帰りも可能です。
2024年7月のダイヤで旅程を組んでみると…

<往路>
①はやぶさ1号(東京駅6:32発・盛岡駅8:50発⇒八戸駅9:21着)
②青い森鉄道快速しもきた・JR大湊線(八戸駅9:33発⇒下北駅11:07着)
③下北交通バス佐井線(下北駅バス停11:15発⇒奥戸バス停13:16着)
奥戸バス停からは徒歩数分で、バイコードリンクB・Sに到着します。
<復路>
①下北交通バス佐井線(奥戸バス停15:57発⇒下北駅バス停17:55着)
②JR大湊線・青い森鉄道快速しもきた(下北駅18:17発⇒八戸駅19:59着)
③はやぶさ48号(八戸駅21:13発⇒盛岡駅20:45着・東京駅23:04着)

実際には現地での待ち時間も長くなり、車なしでこのスケジュールで行くのはお勧めできません。もしどうしても車に乗らず訪問するならば、恐山など他の下北半島や他の地域の青森の観光と合わせて、本州最北端の駅でもある下北駅か八戸駅周辺のホテルなどで一泊はしたほうがよいと思います。

別の場所での購入

県庁所在地の青森市でも見かけたことはありますが、より確実で大間よりは行きやすいと思われるのは、下北半島の中間部にあり陸奥湾に面している横浜町にある道の駅「よこはま菜の花プラザ」です。JR大湊線陸奥横浜駅からでも徒歩10分程度の場所にあります。
ここには3種類が揃っていました。

大間崎で、観光のついでに購入することも可能なようです。

「お寺で地ビール」のキャッチコピーの通り、お寺の中で造られて20年以上になるビール。機会があればぜひ、青森・下北半島のスケールや自然を感じたうえで飲んでみてはいかがでしょうか。

◎梅香山崇徳寺 バイコードリンクB・S
所在地:〒039-4602 青森県下北郡大間町字奥戸93

◎道の駅よこはま菜の花プラザ
所在地:〒039-4134 青森県上北郡横浜町林ノ脇79-12
休館日:年末年始・1~3月の火曜日

バイコードリンクB・S大間崎大間町崇徳寺青森県

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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