ビアジャッジの舞台裏 ビアワングランプリの審査員を務めた体験談
2024年6月9日、東京錦糸町にて「ビアワングランプリ」が開催されました。
今回、こちらのイベントで審査員を務め、多くの学びを得ることが出来ましたので、
どのようなイベントだったのか、ビールの審査とはどのように進行するのかをレポートします!
目次
ビアワングランプリとは
ビアワングランプリは、2009年から開催されている日本のクラフトビールシーンを牽引するイベントの一つです。
(HP:https://beer1grandprix.craftbeersupport.org/)
全国各地のブルワリーが造り上げたクラフトビールの魅力を広く発信し、クラフトビール文化のさらなる発展に貢献することを目的としています。
出品されたクラフトビールを全種樽生サービングで飲み放題という、日本でも珍しい飲み放題のイベントです。
今年は約40社70銘柄のビールが出品されました。
エントリーされたノミネート・ビールを対象に、ビール専門家によるビアジャッジ(審査会)が開催され、来場者の投票と合わせて『ビアワングランプリ』を決定します。
今回、ご縁あってこちらのイベントでビアジャッジを務めさせていただきました。
ジャッジ(審査会)の審査方法
ジャッジはビールのカテゴリーごとに行われます。
IPA部門、ライトカラーラガー部門などスタイル毎に分類され、各カテゴリーごとに金・銀・銅賞を決定します。
ジャッジ(審査会)は大まかに下記の流れで進行します
班分け
ビアジャッジはジャッジ資格を持つ方、出品したブルワーの方など計30名が、出品されたビールの部門ごとに班に分かれます。今回は6名ずつ5つの班に分かれました。
ブルワーの方に関しては、自分が所属するブルワリーが出したビールのジャッジには携わることはできません。
練習フライト
班ごとに同じ銘柄のビールをテイスティングし、そのビールにはどの程度の点数が付くか、班別に協議を行います。
この練習フライトで、班のメンバー同士でどの程度の点数をつけるかを擦り合わせます。
1st フライト
ここから順々にエントリーされたビールをテイスティングし、点数をつけていきます。
エントリーされたビールを「外観」「アロマ」「フレーバー」「マウスフィール」「オーバーオール」の各項目別で、合計で最大50点になるように採点していきます。
そのビールが美味しい、好みであるかどうかではなく、そのビアスタイルを的確に表現していて、クリーンな味わいか(オフフレーバーに無いか)により採点をしていきます。
たとえ自分にとって好ましい味であったとしても、IPAであるのにホップの香りがほとんどしなかったり、金属臭(Metallic)や薬品臭(Medicinal)がした場合、高い点数はつかないことになります。
集計
班毎に採点が完了したら、ジャッジシートを回収して集計に入ります。
集計方法はコンペティションにより異なりますが、
ビアワングランプリでは班の中の最上位と最下位の点数を除き、残り4名の平均点で順位を決定しています。
これにより、出来る限り異常値を排除し、公平性を保てるよう進行していました。
2nd フライト
1st フライトの終了後、各班のリーダーが集まって、ビアワングランプリ全体の金賞について協議されます。
ここでの協議内容と、一般参加者の投票によって、JCBS Award 2024が決定します。
こうして、スタイル毎の金賞・銀賞・銅賞と、JCBS Award 2024が決定されていくのです。
イベントの流れ
ビアワングランプリでは、1stフライト終了後に一般参加者の入場が開始となります。
国内のビールイベントとしては珍しい、飲み放題のイベントであるということに加え、
コロナ禍により中断していたため4年ぶりの開催となった今年のビアワングランプリは多くの人が訪れていました。
アーティストのライブや、講師によるビールセミナーが実施されたほか、令和6年能登半島地震災害義援金を集めるためのチャリティーオークションも開催され、多くの方がビールの味だけでなく、会場の空気感を大いに楽しむことが出来たのではないでしょうか?
グランプリ
JCBS Award 2024に選ばれたのは、カマドブリュワリーのベルフォンセバーレーワインでした。
グランプリ発表の瞬間、ファンの方やカマドスタッフの方が嬉し涙を流す様子も見られました。
レーズンを使用し、10ヶ月熟成させたベルフォンセバーレーワインは、その名の通り「Belle Foncé」=美しく濃いビールでした。
終わりに
日本では多くのビアフェスが開催されていますが、しかしその裏側でどのようにジャッジが進行しているか、どのようにグランプリが決定されるのか直接目にする機会は中々少ないかと思います。
これからビアフェスに参加する際は、どのようにグランプリが決定しているのか、想像しながら飲むと、新たな楽しさを感じることができるのではないでしょうか?
夏が始まり、これからも多く開催されるビールイベントをより一層楽しんでしまいましょう!
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。