[テイスティング,ビアバー,ブルワー]2024.7.25

【東北で出会うビールの世界⑭】白いSNOW MONSTERに惹かれて蔵王ブルワリーへ

「蔵王」と聞いて、県としては宮城県が浮かんできますか? それとも山形県でしょうか?

「蔵王」とは…

蔵王連峰は山々の集まりの総称で、蔵王山という単独の山はありません。東北地方の中央を南北に連なる奥羽山脈の中にあって、宮城県と山形県の両県南部の県境に位置する連峰です。裾野には温泉やスキー場があり、どちらの県においても主要観光地のひとつになっています。

宮城県側

JR東北新幹線の白石蔵王駅があるのは、宮城県白石市です。また、蔵王連峰の遠景写真は宮城県側から映したものが多いそうです。
遠刈田、青根、峩々といった温泉も豊富にあります。
蔵王のシンボルのひとつ、太陽の光の具合で様々な色に変化する周囲1キロの火口湖の御釜は、宮城県蔵王町に位置しています。

山形県側

では山形県側はどうでしょうか。
蔵王連峰の西側の蔵王温泉や蔵王スキー場があるのは山形県側です。そして、雪と氷の芸術である樹氷が見られるのも山形県側です。蔵王の樹氷は、亜高山帯に生育する針葉樹のアオモリトドマツが雪と氷に覆われてでき「スノーモンスター(SNOW MONSTER)」とも呼ばれています。
そして、山形県には「SNOW MONSTER」という白いビールを造っている「蔵王ブルワリー」があります。

蔵王ブルワリー(ZAO BREWERY)

ZAO BREWERY&CrangDining

蔵王ブルワリーは、山形市初のクラフトビール醸造所として2022年にオープン。蔵王の大自然が育んだ湧水と⼭形の⾃然の恵みを贅沢に使⽤したビールを造っています。醸造所に併設するレストランCrangDiningでは、ビールと合わせて、自社や地元の農家が作る新鮮な野菜や地元のブランド肉を使ったオリジナルの料理を味わうことができます。
醸造所ができてすぐに瓶ビールは飲んだことがありましたが、先月、実際に現地に行ってみました。

実際に行ってみた…


到着したのは金曜日の正午ごろ。店内には先客がひと組いらっしゃいました。テーブルが5つほどとカウンターのこじんまりとしたレストランです。

まず注文したのは、定番のビールのテイスティングができるクラフトビール4種飲み比べ。通常は1,200円ですが、ランチタイムだと980円とお得になっています。
注文したときに車の運転をしてこなかったことを確認されました。これまでも車を使わないと行きにくいところは何か所か訪問してきましたが、しっかりと確認されたのは初めて。きちんとしている印象を持ちました。

左から、➀MATSUNOMORI ALE ~Re-fresh~ ➁SNOW MONSTER ➂YAMAGATAさくらんぼALE ➃ZAO CLASSIC IPA。飲む順番としては、➁→➂→➀→➃がお勧めという説明がありました。
MATSUNOMORI ALE ~Re-fresh~は蔵王の松と杜をイメージした、優しく芳醇で飲み飽きないペールエール、SNOW MONSTERは蔵王の樹氷をイメージした軽い味わいの白いビール、YAMAGATAさくらんぼALEは山形を代表するさくらんぼを使用し、苦みとのバランスが取れたフルーティな味わい、ZAO CLASSIC IPAは夜の蔵王温泉をイメージした芳醇な香りと苦味が味わえるIPAでした。
軽めのおつまみやビールとのペアリングを考えたおつまみ4種とのセットもありますが、ちゃんと食べたかったので、ランチメニューのピザ数種類の中から蔵王CrangPizzaを注文しました。

サラダを食べているかのように野菜たっぷりで、しかもその野菜が美味しい! 美味しい食べ物と一緒にビールを味わうのも、現地までビールを飲みに行く楽しみのひとつだと思います。

本当に白いSNOW MONSTER

4種飲み比べのあと、瓶で飲んだときに一番印象に残ったビールだったSNOW MONSTERを改めて単品(680円)で追加注文しました。

ヴィットやヴァイツェンのように小麦や小麦麦芽を使用したビールを白ビールと呼ぶことがありますが、実際の色は淡色です。ここまで本当に白いビールは他では見たことがありません。食品で白く色付けし、希少性を高めているそうです。
味はすっきりとしていて、乳酸菌飲料系のほんのりとした甘みがあります。それでいてビールの味わいも軽めにあり、バランスはちゃんと取れているという印象でした。
飲みごたえのあるビールが好きな方には物足りないかもしれませんが、さっと飲みたいときなどにはお勧めです。ビールが苦手な方にも飲んでみてもらいたいビールです。

《SNOW MONSTER》
スタイル:ホワイトエール
原料:麦芽、小麦、ホップ、乳酸菌飲料、ブドウ糖/着色料、香料
麦芽使用率:25%未満
アルコール分:4%

行き方

車で行くならJR山形駅から約25分、JRかみのやま温泉駅からならば12分ほどで着きます。どちらも山形新幹線で直接行くことができる駅です。でもせっかく現地に行くならば、飲むために車には乗って行かないことをお勧めします。
車を使わない場合、JR山形駅東口の1番乗り場から蔵王温泉行きのバスに乗るころになります。通常は1時間に1本出ています。

バスは途中から蔵王温泉に向けて県道の坂道を上りはじめます。山形駅から20分あまりで、蔵王ブルワリーの最寄りのバス停「蔵王二小前」に到着します。

バス停からは先ほどバスがくぐってきた大鳥居も見えます。その近くにあるのが蔵王ブルワリーです。

戻る形で下り坂を5分程度歩き、大鳥居をくぐるとZAO BREWERY&CrangDiningに到着します。

下り坂なので、帰りは山形駅よりのバス停「松尾山前」まで歩く方がお勧め。それほど距離も変わりません。
手前には、最上三十三観音第9番の松尾山へ向かう参道入口もあります。


自然豊かな場所にある蔵王ブルワリーですが、JR山形駅からは意外と行きやすいと感じました。
JR山形駅までは、首都圏からならば山形新幹線で2時間50分ほどかかりますが1本で行けます。仙台や新潟からはもちろん、首都圏からも高速バスも出ています。機会を作って、現地でSNOW MONSTERをはじめとする蔵王ブルワリーのビールを、美味しい料理とともに味わってみてはいかがでしょうか。

◎ZAO BREWERY&CrangDining
所在地:山形市蔵王上野南坂1096-18
営業時間:10:30〜17:00 (LUNCH MENUは平日の11:00〜14:00)
定休日:水曜
ホームページ:https://www.zao-brewery.jp/(瓶・缶のビールの取り寄せも可能)

SNOW MONSTERZAO BREWERY&CrangDining山形蔵王ブルワリー

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

アバター画像

この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

ストップ!20歳未満者の飲酒・飲酒運転。お酒は楽しく適量で。
妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。