[コラム,テイスティング,新商品情報]2024.8.15

【ビールを通じて感じる韓国㉖】釜山・海雲台ビーチで見つけたTERRAの新製品「TERRA Light」

韓国の大手のビールメーカー2社と言えば「OBビール」と「ハイト真露(旧ハイトビール)」。現在はOBビールは30年の歴史を持つCASS、ハイト真露は5年前に発売されたTERRAが主力ブランドになっています。
先月、TERRAにTERRA Lightという新製品が発売されたので、現地での販売プロモーションの様子とその味わいについて紹介したいと思います。

CASSとTERRA

韓国の大手のビールは、2014年にロッテグループのロッテチルソン飲料がシェア争いに参入してきましたが、長年OBビールとハイトビール(現在のハイト真露)の大手2大メーカーが独占状態の中でシェアを競ってきました。
かつては韓国の食堂で飲めるビールは、OBビールかハイトビールのどちらか取引のある会社の1銘柄のみで選べないとも言われていましたが、最近はビールを頼むと「CASS? TERRA?」となどと銘柄を確認されることも増えてきました。
冗談のような話ですが、この「CASS? TERRA?」という店員さんの問いを、韓国の銘柄を知らない日本人旅行者がお菓子のカステラと勘違いをして、話がかみ合っていないという場面に遭遇したこともあります。
韓国に旅行して食事の時にビールを飲みたい方は、まずCASSとTERRAだけは押さえていたほうが良いと思います。

CASS

最初の発売は1994年と歴史がある「CASS」は、OBビールの看板ブランドであると同時に、韓国国内市場シェアNo.1のビールブランドでもあります。定番のCASS Freshはアルコール分4.5%。ピリッとした爽快感が感じられる軽めのラガータイプのビールで、飲みやすさに定評があります。

定番のCASS FRESHのほかにも、炭水化物成分を除去したCASS LIGHT、イタリア産レモン果汁を5%加えたCASS LEMON、やや高アルコールで濃厚なCASS REDなど、様々な商品が売り出されてきました。最近では2022年に小麦を使ったCASS WHITE、昨年(2023年)には、夏限定のCASS LEMON SQUEEZEが発売されています。

TERRA

「TERRA」はハイト真露が2019年に発売されたビールブランドで、発売からわずか100日で出荷本数が1億本を突破するほどの勢いでヒット。その後も大手航空会社の機内ビールに採用されたり、ドラマで話題を集めたりと、発売からわずか数年で韓国の定番ビールブランドに成長しました。
アルコール分は4.5%。原料の麦芽はオーストラリア産のものだけを使用し、のど越しがスッキリとしつつ、旨味と苦味のバランスがとれていて美味しく飲み続けられるビールです。

*TERRAについては、【ビールを通して感じる韓国】3年前に登場したビール「TERRA」が大人気!(2022.12.20)でも、その浸透ぶりを紹介しています。

2023年春からは正規輸入が始まり、日本のコンビニやスーパーなどでも緑色の缶を見かけるようになりました。

TERRA Light

今まで多くの種類のCASSが販売されていたのに対し、TERRAはTERRA一本でしたが、2024年7月、新製品のTERRA Lightが発売されました。
私がこの製品を初めて意識したのは、韓国で一番有名な海水浴場の海雲台ビーチ(해운대해수욕장・Haeundae Beach)近くにあった販売プロモーションのセットででした。

海雲台ビーチとは…


韓国・釜山にある韓国を代表するビーチ。夏の休暇シーズンには全国から多くの観光客が訪れ、約1.8kmの砂浜に並ぶパラソルの数は、ギネスブックにも掲載されました。

周辺にはリゾートホテルや飲食店も多く、水族館(シーライフ釜山アクアリウム・씨라이프 부산아쿠아리움)などのレジャー施設もあります。

販売プロモーション@海雲台

海雲台駅からビーチへ向かう大通りには、TERRA Lightの巨大な広告が出来ていました。実際にここで試飲か販売も行いそうでしたが、残念ながら通ったのが平日の午前中だったためか、イベントなどは特に行われてはいませんでした。
ちなみに、韓国の場合、焼酎の広告には女性が使われることが多いのに対し、ビールの広告に起用されるのは男性。TERRA Lightでも広告モデルとして起用されているのは、男性俳優のイ・ドンウク(이동욱)さんという方です。

周辺のコンビニの外の様子からも、大々的に売り出していることが感じられました。

Healthy Pleasure文化

韓国では今、健康も楽しく管理しようとするHealthy Pleasureブームです。健康と楽しさを同時に追求するため、糖分を抑えたお菓子や糖分ゼロ飲料が人気を呼び、その市場を拡大しています。
TERRA Lイghtも、そのような消費者ニーズを反映して「ゼロシュガー」という点をマーケティングポイントとしています。瓶・缶のデザインにもしっかりとZERO SUGARの文字が入っています。
レギュラービールに比べてカロリーが1/3低く、満腹感を感じることなく気軽に楽しめるように造られているとのことです。

TERRA Lightを飲んでみた

韓国滞在中に、実際に購入して飲んでみました。

アルコール分は4%のTERRA Light。ひとくち目は思わず「軽い」という言葉が出ました。苦みはかなり控えめで、炭酸も軽め。でも味わいは紛れもなくビールで、どんどん飲み進めていくことができます。
私自身は買ってきたビールを冷房のきいた部屋で飲みましたが、これは暑い日に外で飲むことでさらに美味しいと感じられるビールのような気がしました。まさに販売プロモーションを見つけた海雲台ビーチで飲むのにはピッタリだと思います。、
個人的に少し残念だったのは、緑色がTERRAのシンボルカラーで瓶でも缶でも使われていたのに、TERRA Lightのデザインでは緑色は使われていないことです。他のブランドと区別するためにも、薄めの緑を使って欲しかった…TERRA Lightを扱っていないスーパーで間違えて似たような色合いのCASS LIGHTを買いそうになってしまった私はそう思います。

韓国では今回のTERRA Light発売で、ビールでも低カロリー市場での競争がさらに激しくなるという見通しもあります。今後の大手ビールメーカーの動向に注目していきたいと思います。

CASSHealthy PleasureTERRATERRA LIGHT海雲台韓国ビール

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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