[コラム,ビアバー,ブルワー]2024.9.12

【ビールを通して感じる韓国㉙】~本格的なドイツのビールが味わえる~ 釜山のブルワリー(8) Turmbräu@オシリア

「釜山に本格的なドイツのビールを造っているブルワリーがあるのを知っている?」…カンヌンブルワリーのオーナーが、私が把握していなかったそんな情報をくれたのが今年の春。

*カンヌンブルワリー(Gangneung Brewery)については、こちら(【ビールを通じて感じる韓国㉕】東海岸の江陵でクラフトビール<後編> カンヌンブルワリー(Gangneung Brewery)での濃い時間)(2024.6.27)から…

それ以来気になって仕方がなかったそのブルワリーTurmbräu(툼브로이・トゥームブロイ)を、7月に訪問してきました。

Turmbräu(툼브로이)

Turmbräuとは

Turmbräuは、17世紀にドイツのバイエルン州ミュールドルフ・アム・イン(Muihdorf am Inn)に創設されたブルワリーです。1907年からTurmbräuでビール醸造を行っている一家のひとりが、2020年にできた釜山のTurmbräuのドイツ人オーナーです。ちなみにロゴマークからもわかるように、”Turm”とはドイツ語で「塔」をいう意味です。

すべてのビールは、「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」というドイツのビール純粋令を基本とし先代から伝えられたレシピに基づいて造られ、提供される料理も一家のレシピに従った手作りです。

実際に行ってみた

釜山の郊外にあるTurmbräuの最寄り駅は、KORAIL東海線のオシリア(오시리아・OSIRIA)駅です。大通りに面しているので場所はわかりやすく、徒歩7~8分で到着します。


1階は醸造設備とテイクアウトの缶の販売。飲食をしたいと言うと2階に案内されました。外階段から上がるようになっています。

2階はカウンターとテーブルが5席ほどのこじんまりとしたスペース。カウンターからは醸造設備も見えます。幼児用の椅子や塗り絵なども用意されていて、家庭的な温かみを感じます。

定番のビールと料理

ビールの定番は、へレス、ヴァイセ、ロッゲンの3種類。ほかに、限定のビールが3種類ありました。
まずはへレスを頼みました。アルコール分4.8%、IBU20で8000ウォン(約880円)。爽やかですがコクもあり、苦みはほどよく軽めで、バランスの取れたビールでした。

料理は6種類で、カレーブルストやシュニッツェルなどドイツ料理。私はウィンナーシュニッツェル(16000ウォン・約1760円)を注文しました。
料理が届く前に持ってきてくれたのは水。猛暑の時期に訪問したので、それだけ汗だくだったということだったのでしょう。ありがたい心遣いでした。


続いて頼んだビールはロッゲン。アルコール分4.4%、IBU17で8000ウォン(約880円)でした。ライ麦麦芽を使ったロッゲンは韓国ではほとんど飲める機会がなく、日本でも少ないと思います。フルーティーな香り、かすかな酸味がありながら意外とすっきりした味わいでした。

3杯目はヴァイスで、アルコール分4.6%、IBU16で、8500ウォン(約940円)。苦みが少なく、フルーティーな味わい。バナナのような香りもしっかりとありました。

私はしっかりと飲んでみたかったので1杯ずつ頼みましたが、12000ウォン(約1320円)で200ML×3杯のサンプラーも用意されていました。
2階はビールや料理を運んでくるとき以外は無人。壁にある普通は店員さんが扱いそうなパネルからのセルフ注文でした。間違えてほかのお客さんに迷惑をかけても…と、私は店員さんがビールや料理を運んでくるタイミングでお願いしていましたが。

ビールの説明などは韓国語でしたが、定番のビールは3種類とも本格的なドイツビールの味わい。ビールだけでなく、料理もお店の内装もドイツ風。釜山にいることを忘れてしまいそうでした。

◎Turmbräu(툼브로이)
所在地:1244 Haeun-daero, Haeundae-gu, Busan
営業時間:木・金曜 16:00~22:00 土・日曜 14:00~22:00
定休日:月~水曜

オシリア(오시리아・OSIRIA)駅

釜山の市街地からの行き方

Turmbräuの最寄り駅のオシリア駅には、釜山の西面に近い釜田駅が始発のKORAIL東海線に乗り30分ほどで着きます。

電車は20~30分に1本程度ですが、乗り換えの必要がないので行きやすいと思います。

オシリアとは…

オシリア駅は、東海線の広域電鉄化によって新設された2016年に開業した駅です。

近辺は「東釜山観光団地」の名で開発が進められてきましたが、こちらも2016年に「オシリア観光団地」と名称を変更しています。
リゾートホテルやアウトレットショップ、海岸の散策路が整備されたほか、2022年はテーマパーク「ロッテワールド・アドベンチャー釜山」がオープンし。韓国国内で最も注目されるリゾートの一つとなっています。ただし、開発されているのは駅の片側で、Turmbräuは反対側にあります。
日本人にはちょっと戸惑いも感じてしまう「オシリア」という駅名、いろいろな意味が込められている造語です。観光団地内の絶景を誇る「五郎台(オランデ)」という地名と、釜山の有名な物語に登場する「シランデ」という場所に、場所を表す接尾辞「イア(~ia)」を合成した名称。さらに「釜山にいらっしゃい」=부산에 오시라(プサネ オシラ)という意味も込められています。

近隣の見どころ

せっかく郊外のオシリアまで足をのばすとしたら、ビールだけでなく観光もしたいところです。

海東龍宮寺(ヘドンヨングンサ・해동용궁사)

オシリア周辺で古くから知られる一番の観光名所は海東龍宮寺です。山の中にあるほとんどの韓国の寺院とは異なり海東龍宮寺は海岸線沿いに位置するのが珍しく、「熱心に祈るとひとつの願い事が必ず叶う」という評判もあり、多くの人々が訪れます。


オシリア駅から歩くと30分ぐらい。周囲の開発状況などを見ながら歩くとそれほど長くは感じませんが、歩くのが嫌な場合はバスやタクシーも利用できます。

アウトレットなど

オシリア駅周辺にはロッテマートやロッテプレミアムアウトレット、ロッテワールド・アドベンチャー釜山などが整備されています。

観光団地はまだ一部開発中。時期を変えて訪問すると、また別の景色を見ることができそうです。

釜山を訪問する機会があれば少し足をのばして、近隣の観光も兼ねて本格的なドイツビールを味わってはいかがですか?

*100ウォンを約11円として換算しています
*写真はすべて2024年7月に撮影しています

Turmbrauオシリア海東龍宮寺釜山韓国クラフトビール

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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