[テイスティング,ブルワー,新商品情報]2024.9.9

【ビールのある風景in岩手㉟】龍泉洞でクラフトビールが誕生! 第一弾は龍泉洞ヴィベール(雑穀ヴァイツェン)

日本全国の鍾乳洞の中でも特別な存在だといわれる「日本三大鍾乳洞」はどこにあるかご存じでしょうか?

いろいろな分野で「日本三大○○」があり中には意見の分かれているものもありますが、日本三大鍾乳洞には異説はなく、岩手県の龍泉洞、山口県の秋芳洞、高知県の龍河洞と認識されています。この3つの鍾乳洞は、いずれも国の天然記念物に選ばれています。
日本三大鍾乳洞のひとつで地底湖が美しい龍泉洞は岩手県岩泉町にあります。その龍泉洞のすぐ近くで、先月から新たにクラフトビールの提供が始まっています。

岩泉町と龍泉洞

岩泉町

岩手県の岩泉町は岩手県の中央部から東部に位置し、盛岡市など3市1町3村に隣接し、東部は太平洋に面しています。広さが992.36㎢と本州で最も面積の広い町で、人口は約7,800人。
町の大半は北上山とそれに囲まれた盆地や谷で、豊かな自然と清らかな水に恵まれた町です。

龍泉洞

岩泉町にある龍泉洞は、わかっている部分だけで総延長が4キロほどある鍾乳洞。現在はそのうち700メートルが一般公開されています。未踏部分の調査は今も続いていて、謎も多く残っている神秘的な洞窟です。

入口からは神秘的な洞窟空間が伸び、最大の見どころである透明度の高い水を豊富にたたえ「ドラゴンブルー」の輝きを持つ深い地底湖へと続きます。

龍泉洞に多くの観光客が訪れるだけでなく、豊富に湧き出る水は天然のミネラル成分をバランスよく含み、ミネラルウォーターなどとしても販売されています。

新たなビールの誕生

龍泉洞わっか

龍泉洞の近くにあり閉店してしまったレストハウスをリニューアルし、2023年4月にオープンしたのが「龍泉洞わっか」。町の特産品や野菜や酒など地場産品を取りそろえ、龍泉洞の新たな観光施設になっています。


この建物内にクラフトビール醸造所もあります。

龍泉洞ヴィベール(雑穀ヴァイツェン)

龍泉洞わっかでは、龍泉洞の水と地産食材を使ったクラフトビールの提供が8月5日から始まりました。
現在提供されているのは、第1弾の雑穀ヴァイツェン。硬度が発酵に適しているとされる龍泉洞の水をベースに、ドイツ産の大麦と小麦に加え、県産のヒエやアワなどの雑穀が使用されています。ラテン語で「飲む」を意味する「ヴィベール」と名付けられました。
1杯(350ml)で800円。アルコール度数は4%とやや軽めです。
ヴァイツェンらしく柔らかな口当たり。爽やかな味わいでドリンカブル。一杯だけと決めていたのにお代わりしたくなりました。

しゅうまいやソーセージなど簡単なおつまみのほか、ノンアルコールのドリンクやソフトクリームも提供されていました。

タップルームは広々としていて、木を活かしたテーブルが並びゆったりと過ごすことができます。

今後も地域の自然の恵みを生かして、岩泉町の山葡萄や隣接する宮古市の紫蘇を使ったビールの醸造などを考えているとのことでした。新たなビールが提供されるようになったら、また改めて訪問しようと思います。

10月のイベント「岩手クラフトビールフェス in Morioka 2024」にも出店予定とのことで、龍泉洞ヴィベールを盛岡でも飲むことはできそうですが、可能ならば龍泉洞を訪問したあと現地で味わってほしいと思います。ただし、洞内には長く急な階段もあり酔って歩くのは危険ですので、決して先にビールを飲まないでくださいね。

*「岩手クラフトビールフェス in Morioka 2024」については、こちら(「岩手クラフトビールフェス in Morioka 2024」10月5日~6日に初開催!)の記事もご覧ください

泉金酒造株式会社

龍泉洞わっかを運営しているのは、地元岩泉町にある泉金酒造株式会社。龍泉洞地底湖の水を日本酒の仕込み水として使用し、代表銘柄である「八重桜」をはじめとした日本酒造りを行ってきました。龍泉洞内でお酒の貯蔵も行っています。

龍泉洞わっかで岩泉町を中心とした地域の特産品販売を行うのと合わせて、日本酒造りで培ってきた技術を活かして龍泉洞の水を生かしたクラフトビールの製造にも着手。出来立てのビールを提供することで、龍泉洞の新たな観光の魅力になることを目指しています。

龍泉洞への行き方

・電車・バス
JR盛岡駅東口1番バス停より、JRバス東北「盛岡ー岩泉・龍泉洞(早坂高原線)」乗車 所要時間2時間10分(1日4往復)
三陸鉄道岩泉小本駅より、岩泉町民バス小本線乗車 所要時間 約20分(1日4往復)
・車
盛岡から国道455号 所要時間約2時間

*注意事項(2024.9.8現在→9.11情報更新)
盛岡市から岩泉町へ通じる国道455号線において、8月27日に発生した大雨の影響で一部区間が通行止めとなっています。迂回路はありますが、幅員狭小のため大型車は通行できません。その影響でJRバス東北の早坂高原線は、残念ながら当面の間全便運休となっています。
9月11日から全面通行止めは解除され片側交互通行できるようになり、バスの運行は再開されています。状況によっては再び全面通行止めになる可能性もあるので、バスの運行状況や道路状況を確認の上、お出かけになることをお勧めします。
普通車は迂回路を使えますし、宮古盛岡横断道路から三陸沿岸道路経由で向かうこともできます。距離は長くなりますが私もこのルートを使って訪問し、盛岡から2時間あまりで到着することができました。

◎龍泉洞わっか
所在地:岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字小屋敷4-8
Tel:0194-22-8718
営業時間:9:30~17:00
定休日:水曜日(ただし予約があった場合は臨時営業する場合あり)
https://ryusendo-wakka.com/

◎龍泉洞
所在地:岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字神成1-1
公開時間:5月~9月 8:30~18:00・10月~4月 8:30~17:00
年中無休(大雨等で臨時休業する場合あり)
http://www.iwate-ryusendo.jp/

ヴィベール岩泉泉金酒造雑穀ヴァイツェン龍泉洞龍泉洞わっか

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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