麦芽でビールの魅力を伝えたい!【ビール誕生秘話20本目 ヱビス クリエイティブブリュー 燻編】
2024年9月10日、ヱビスブランド「CREATIVE BREW」より第5弾商品「ヱビス クリエイティブブリュー 燻(以下、燻)」が期間限定発売する。
この商品では、ブナ材で燻した麦芽を一部使用している。大手ビールメーカーからスモークビールが発売されるのは珍しい。
今回は、商品開発の経緯や思いを「YEBISU BREWERY TOKYO 」Chief Experience Brewerの有友亮太さんに話を聞く。
目次
「もっと麦芽の魅力を伝えたい」思いから生まれた
今回の燻は、「YEBISU BREWERY TOKYO」開業時に限定販売したスモークビール「煙々(えんえん)」から影響を受けたビールだ。スモークビールは大人気のビアスタイルではないが、なぜ有友さんは開業に合わせて「煙々」を開発しようと思ったのだろうか。
「きっかけが2つありました。1つは、最近のビールシーンを見るとホップのアロマやフレーバーが特長の商品が多いイメージがあります。ビールは麦芽でも個性を表現できることを伝えたいと思いました。もう1つは、私自身驚いた燻製麦芽の魅力を感じてほしい思いからです」
近年はIPAをはじめ、ホップのキャラクターを生かしたビールが人気だ。しかし、思いのほか主流とは言えない「煙々」の受け入れは良かったと言う。
「開業直後の注目される場面での提供でしたが、『いつものビールとは違うけどおいしい』と評価をいただきました」と、有友さん自ら話を聞くと、燻製した商品やウイスキーなど日常に溶け込んでいるおかげで抵抗感が少ないと感じたと話す。
予想以上の高評価で早々と売り切れることになった「煙々」に、有友さんは手応えをつかむ。
「開業時から『YEBISU BREWERY TOKYO』で造ったビールから全国発売できる展開を考えていました」と、想定していたよりも早くなったが、「煙々」をインスパイアした「燻」を発売することになった。
燻製とヱビスらしさの調和を目指した新しい味
「煙々」と同じく燻製麦芽を一部使用した「燻」。どんな特長のビールなのだろうか。
「今回は柔らかい感じを表現したくてブナ材を選びました。加えて、ヱビスらしさを出すためにヱビス酵母を使用して、豊かな華やかさのある香りとの調和を目指しています」と言う。
ブナ材を選択したのは、「やや甘めのフレーバーがあった方が受け入れやすいと思ったことと、秋から冬にかけての季節にゆったり飲むときにバランスが良いと考えたからです」と理由を話す。
「煙々」では、スモーキーなキャラクターをしっかり目に付けたが、「燻」ではトップに感じられるスモーキーな香りは控えめにして、フィニッシュでしっかり感じられる設計にしている。
ラガースタイルだが、「香りを楽しむために、エールビールを楽しむような液温(8〜13℃)をお勧めします」と有友さん。
グラスの形状は、チューリップグラスのような丸みのある形のグラスの方が特長をつかみやすいと言う。しかし、「決まりはないので、皆様が試してみたい飲み方で楽しんでください」と、思いのまま自由にスモーキーな香りとヱビス酵母が醸し出す香りとの調和を味わって欲しいと言う。
このような特長をもつ「燻」。お勧めのペアリングについても聞いてみた。
「同じ要素を合わせるペアリングの基本から燻製料理を合わせてみると良いと思います。あとは風味の幅を広げるということでお肉料理をお勧めしたいです」と話す。
さらに個人的に試してみたいことを聞いてみると「ジャーマンポテトと合わせてみたいですね。それとBBQやキャンプで火を眺めながら味わうのも良いと思います」と教えてくれた。
テイスティングレポート
色は濃いゴールド。薫製香は軽やかで、きれいにビールの爽やかな香りと重なり合っている。日が落ちる時間が長くなる秋から冬の季節にゆっくりした時間を過ごすのに合うバランスの取れた香り。口に含むとスモーキーなフレーバーがフワッと広がり、後からヱビスビールらしいコクとシャープな苦味が現れてくる。余韻には再びスモーキーなフレーバーが口腔内から鼻へ抜けて心地良さを演出してくれる。
ペアリングをするならおつまみ系は定番のベーコンやスモークナッツ、食事系ならジャーマンポテトや炭火で焼いたきのこ料理を合わせてみたくなった。
有友さんが言うように、液温は高めで薫製香やフレーバーを楽しみながら味わうのが良さそう。ウイスキーのストレートを味わう感覚で、あえて常温で味わってみるのも面白い。ビールの香りを楽しむならワイングラスのように丸みのある形を勧めたい。また、タンブラー型でシャープに味わうのも良いと思う。好みやシチュエーションに合わせて色々合わせられるビールだ。
麦芽の魅力を感じられて、秋冬の時期に合うビール
大手ビールメーカーでは珍しいスモークビール。初めて口にする人も多いと思う。IPA人気が高い中、ホップではなく麦芽で勝負に出たところに130年を超えるヱビスブランドの新しい挑戦を感じる。
「大麦が麦芽になる過程において、莫大な知識が生かされてきます。麦芽は奥深く、決してホップや酵母に負けない魅力があります。そういうところを『燻』から感じていただきたいです」と有友さん。
最後にメッセージをいただいた。
「『YEBISU BREWERY TOKYO』で生まれたビールが全国へ旅立つ第1号商品です。燻製麦芽による柔らかいスモーキーな香りが秋冬にゆっくり飲むのに合いますし、秋の味覚にも合うビールですので、ぜひ色々試しながら楽しんでください」
ヱビスブランドが魅せる新しい挑戦。ぜひ、味わってみてほしい。
インタビューの様子はPodcast番組「ビールに恋するRadio」で配信中!記事では掲載できなかった話もしています。
ヱビス クリエイティブブリュー 燻 商品概要
品目:ビール
アルコール度数:5.5%
純アルコール量:350ml缶 15.4g
パッケージ:350ml缶、500ml瓶、20L樽
※20L樽は「YEBISU BAR」、「TAPS BY YEBISU」、「サッポロビール九州日田工場ウェルカム館」で取り扱い
参考小売価格:350ml缶 258円(税抜)、500ml瓶 355円(税抜)
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