月にまつわるベルギービール2選!【JBJAChannel】
秋といえば、お月見。そして、月と言えば幻想的な雰囲気が漂い、特別な時間を感じさせてくれます。今回は「月」にまつわるベルギービールを2本ご紹介します。ベルギービールには、味わいや香りだけでなく、歴史や文化、そしてストーリーが詰まっています。中秋の名月には間に合いませんでしたが、月をテーマにした2つの銘柄で、秋の夜長を楽しんでみませんか?
目次
メッヘレンのスペシャルエール「月を消す人、マーネブリュッセル」
メッヘレンの歴史と「月を消す人」
ブリュッセルの北東20㎞に位置するメッヘレンは、古くからの修道院の町であり、歴史的な建築が多く残る美しい場所です。その象徴のひとつが、世界遺産にも登録されている「聖ロウバウツ大聖堂」。この大聖堂は97メートルもの高さを誇る巨大な鐘楼を持ち、町のシンボルとして君臨しています。
そんなメッヘレンには、「月を消す人」と呼ばれるユニークな逸話が残っています。
ある夕方、大聖堂に赤い月がかかり、霞のような雲が周りを覆い尽くしました。その光景は、まるで大聖堂が炎に包まれているように見えたため、町の人々は大慌てで消火に向かいました。しかし、雲が晴れてみると、実際には何も起こっていなかったのです。この出来事から、メッヘレンの住民は「月を消す人(マーネブリュッセル)」と呼ばれるようになりました。
マーネブリュッセルの味わい
この伝説にちなんで生まれたのが、メッヘレンのスペシャルエール「マーネブリュッセル」です。ラベルには、消防士のようなキャラクターが描かれていますが、日本人から見ると、どこか「マリオブラザーズ」を思い起こさせる愛らしいデザインです。
ビール自体は、すっきりとした苦みが特徴的で、軽やかな飲み口が魅力。しかし、ベルギービールの愛好家の中には、このビールを「寝かせて」楽しむ文化もあります。賞味期限が過ぎると味わいが変化し、熟成されたふくよかでまろやかな味になることがあります。今回試飲したものは、賞味期限を半年ほど過ぎたもの。苦みがまろやかになり、落ち着いたコクのあるビールに変化していました。これはあくまで個人的な楽しみ方であり、公式に推奨されているものではありませんが、味わいの変化を楽しむ一つの方法です。
満月にだけ造られる「PAIX DIEU(ペ・デュー)」
厳律シトー会修道院のビール
2本目にご紹介するのは、日本では非常に入手困難な「PAIX DIEU(ペ・デュー)」。このビールは、もともとベルギーの厳律シトー会の修道院で修道女たちによって造られていました。このビールのユニークな点は、満月の夜にしか醸造されないという点です。古くから伝わる言い伝えによると、満月の引力がビールの発酵を促進し、特別な味わいを生み出すとされていました。
ブルームーンバージョンの誕生
今回試飲したのは、2023年8月に造られた特別な「ブルームーンバージョン」です。2023年の8月は、ひと月の間に2回満月が訪れるという珍しい現象がありました。この2回目の満月を「ブルームーン」と呼び、さらにその日はスーパームーンでもありました。地球に最も近い位置にあったため、月が大きく美しく見える夜だったのです。
この特別な夜に造られた「PAIX DIEU ブルームーンバージョン」は、その名にふさわしい非凡なビールです。フルーティーでスパイシーな香りが豊かに広がり、モルトのコクとほのかな苦みが絶妙に調和しています。一口飲むと、その繊細さと複雑さが感じられ、長く余韻を楽しむことができます。
日本未流通の逸品
残念ながら、この「PAIX DIEU」は日本では流通していません。現地で譲り受けてハンドキャリーで持ち込んだレアなビールです。しかし、ベルギーにはまだまだこのように特別で魅力的なビールがたくさんあります。世界中にはまだ知られていない素晴らしいビールが存在しており、まるでビール界の探検家であるマイケル・ジャクソンのような気分にさせてくれます。
動画では和菓子と共に楽しんでおります
今回は、月にまつわるベルギービール2本をご紹介しました。ひとつはメッヘレンの伝説から生まれた「マーネブリュッセル」、もうひとつは満月の夜にしか造られない「PAIX DIEU」。どちらも、ただの飲み物ではなく、それぞれの地域や文化に根ざしたストーリーが込められたビールです。
お月見ということで、お団子?とも思ったのですが、なんとGODOVAから発売されている羊羹と合わせてペアリングしています。
ビールを通じて、歴史や伝説、自然の神秘に思いを馳せるひとときは、格別なものです。ベルギービールの深みを味わいながら、秋の夜をぜひ楽しんでください。
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