日本産ホップを使用したビールの考察(後半)
はじめに
日本産ホップを使用したビールの考察のまとめを行います。
付加価値の重要性
ある研修で講師の方から「160㎖のコーラが普通だとミニ缶で約60円。大きなペットボトルだと160㎖だとさらにコストが下がると思いますが、このコーラを1700円で買う人がいるでしょうか?」と問われ一時会場がざわつき少し呼吸を置いてから「実はかなり売れています。」。続けて「東京で一番有名なホテルで出されるコーラです。もちろん、缶やペットボトルでは出さずグラスに氷を入れ飲みやすい適正な温度で更にレモン等の柑橘系を添えグラスもどこか有名なものを使用しています。まあ、それは当然の事ですが、それよりも付加価値として東京と言うか日本で一番有名なホテルでコーラを飲んだと言う価値が付くと思います。逆に言いますと、このコーラを喫茶店並みの300円前後で売るならば、売れなくなる。せっかく高級ホテルで飲むのに安いのなら近くのコンビニでもっと安いコーラを買うと言う付加価値的心理が働くと思います。」と話されました。
この研修は介護サービスをテーマにした研修の1コマです。つまり、介護サービスを良くし、付加価値をつけることで介護収入の増加に繋がるたとえ話です。
田舎からみたクラフトビールの現状
10月に隣町にある生協余市店がリニューアルされ新たに余市町及び仁木町等のクラフトビール専用コーナーが設けられました。しかし、大手のビールの2倍以上の価格の為毎日観察して売れ行きが良くないのが解ります。
もちろんクラフトビールですから材料費や人権費や宣伝費等を考えると大手よリ高くなるのは十分理解できます。
しかし、大手ビールも余市の居酒屋等に行けば、スーパーの2~3倍の価格で提供されています。最も札幌の薄野あたりで飲めば余市の居酒屋以上の値段はするでしょう。それは、見えない付加価値だと考えます。余市町や仁木町でスーパー等で販売されている缶ビールも札幌のビアバー等でケグで販売される方が売り上げが多いと思われます。
先のコーラの話ではありませんがビールに付加価値が付けば売り上げが伸びると思われます。
日本産ホップを使用したビールの考察
さて、日本産ホップを使用したビールの考察ですが、個人的には日本産ホップの使用の他、日本産の麦芽と水そして場合によって副原料も日本産とし、ビール全てを日本産にすべきと考えています。全ての材料が安心安全であるべきだと。それだけでも付加価値が付くと思いますが、特別篇でも申し上げましたが、ビール造りに協力して頂ける農家を支援するためにはコストがかかってしまいます。それを解消するための1つの構想を私なり考えました。
“オールジャパニーズビア企画”
まず、中心になるのが日本産の麦芽と同じくホップそれに加えて副原料です。
スタートが鳥と卵の関係で難しいのですが、とりあえず、スタートをビール造り(以下ブルワリーと記載します。)とします。
ブルワリーで使用した麦芽やホップや副原料の廃棄物を畜産農家に無償で提供します。その廃棄物を畜産農家が動物等の餌として与え、動物の排せつ物を農家に無償で麦やホップを造っている農家に肥料として与え、肥料のコストがかからない分の値段でブルワリーに提供します。これにより、産廃の削減と環境にやさしいビールになると思います。
次にビール瓶の規格統一化です。
この企画に参加するブルワリーのビール瓶の規格統一する事。
昭和時代、大瓶の空き瓶とケースは地元の酒屋で回収して瓶代とケース代が戻ってきました。現在は殆ど見かけません。現在は各自治体が資源ごみとして回収していますが、ビール瓶に関しては規格統一された瓶を使用することで、ブルワリーも瓶の購入をすることなく、回収瓶を使用することでコストを下げることが出来ますし、ビールを消費する方も瓶代が戻ると言う利点も出ます。
さて、日本産ホップを使用したビールの考察の前半と中間で日本産ホップの使用量についての表記やIPAの表記につて記載しましたが、全て日本産でビールを造りをして、付加価値をつけるためとしての表記方法(マーク)や外国の名前を使用しないで日本独自の名前を付けようと提言させて頂きました。
私は、“オールジャパニーズビア企画”が出来れば自身が環境に優しいビール造りに参加しているという付加価値が付きビールが少々高くてもヒットすると思います。
もちろん、ハードルは極めて高く、絵にかいた餅に極めて近いと思われるかもしれません。
例えば、賛同される農家やブルワリーがどれだけいるか。ビール造りに関わる企業(流通・広告・販売店等)の理解。誰がその取りまとめをするのか。酒税は。等。難題が山積すると思います。
ただ、希望を持って諦めなければ実現できるのではと心の底で思います。
さいごに
日本産ホップを使用したビールの考察として4回に分けて記載させて頂きましたが、先ほど述べたように、ホップの自給率の問題、日本産ホップを使用したという宣伝やそれに伴う付加価値の問題もあり、全てのクラフトビールのブルワリーが達成するためにはかなり難しいと思います。
しかし、夢と希望を失わなければ実現は可能だと思います。それは、余市町で活躍した竹鶴氏がジャパニーズウィスキーを造るとの情熱や努力と研鑽により世界5大ウィスキーとして認めらた様にビールも世界のビール大国の仲間入りをする日がくるかもしれません。
日本産のホップを使用したビールの考察(前半)
日本産のホップを使用したビールの考察(中間)
日本産のホップを使用したビールの考察(特別編)
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。