「THE PERFECT 黒ラベル AWARD 2024」表彰式初開催から学ぶ、「うまい」ビールの効果とは?
サッポロビールは、高品質な樽生ビールを提供する飲食店を表彰する「THE PERFECT 黒ラベル AWARD 2024」表彰式を2024年10月22日に初開催した。
これは、2014年より実施している”パーフェクト樽生協力店制度”の認定店を対象にしたもので、パーフェクト樽生協力店制度とは審査の上認定された飲食店が、専用器具「パーフェクトチェンジャー」などを使い、高品質な「ザ・パーフェクト黒ラベル」を店舗で販売する制度だ。認定店は全国に約6,000店舗まで広がっており、その中から特に優秀となる50店舗をTOP50として選出し、サッポロビール本社内で表彰を行った。
TOP50の認証店に選ばれる理由
選定は、まず、サッポロビールが定める3つのC(Creamy、Clear、Cold)の基準を満たしているかの審査を第三者機関に依頼してサーバー管理スコアで満点を取得された店舗を対象にの覆面調査を実施する。その中で一定の基準を満たした約900店舗を「THE PERFECT 黒ラベル AWARD 2024 STAR FAMILY」として選出。さらにその中から特に優れたTOP50が選定された。それは認定店の中のほんの一握り、0.8%という頂点となる。
今回初開催に至った経緯を、サッポロビールのマーケティング本部ビール&RTD事業部サッポロブランドグループの黒柳さんに伺った。
「認定店での飲用体験はいわばブランドへのエントリーとなります。そこでお客様に感動体験をしていただき、そしてファンになっていただける大変重要な機会となります。この活動によってビール市場の拡大を図りたいという思い、そして、それを日頃から実施してくださる店舗様への感謝の気持ちを表したいと、今回初めて表彰式を実施いたしました」
さらに、今回のTOP50に選ばれた店舗は認定店全体を牽引していただく存在になっていただき、また、この開催によって一般の方々に広く認知されるきっかけにしたいとも話す。
<目指せTOP50!ポイント紹介>
❶サッポロビールが定める、3つのC(Creamy、Clear、Cold)を遵守し、また専用の薄づくりグラスを使用しその他限定広告品を使用する
→ザ・パーフェクト黒ラベルで実施される3つのCについて
❷サーバーが常に綺麗に保たれている
→数値による判定となるとのことだが、全体の6000店舗のうち、ここまでの管理スコアが満点だった店舗は約4000店舗
❸営業後に毎日サーバーの水通しを行う
→店それぞれのオペレーションにより毎日行うことが難しい状況も多い作業
❹部材の分解洗浄を行う
→さらに手間のかかる作業でオペレーション上大変であるが、❸❹の作業は完璧なザ・パーフェクト黒ラベルにとって重要な作業となる
❺気温の変化に応じて、ビールの提供温度やガス圧を調整する
→季節はもちろん日々の気温の変化に合わせた調整が鍵
❻販促グッズの使用状況など
❼上記をすべて満たした上にその店独自の提供方法を実施している
以上、基準は明言はされていないが、❶〜❻まで満たした店舗はSTAR FAMILYレベル、そして全てを実施している店舗がTOP50のレベルとなるとみられる。
今回TOP50に選ばれた店舗は今後「TOP STAR FAMILY」として登録され、次回以降、新たなTOP50とSTAR FAMILYを選出していく予定だ。
TOP50受賞店「養老乃瀧 池袋南口店」インタビュー
今回の頂点に選ばれた店舗の一つ「養老乃瀧 池袋南口店」の養老乃瀧株式会社の富田氏、高庭氏に話を伺った。
★養老乃瀧グループ公式HP https://www.yoronotaki.co.jp/
ーTHE PERFECT黒ラベル導入のきっかけは?
若者のアルコール離れが言われて久しく、当社でもビールの出庫が少なくなって来ていました。レモンサワーやハイボールを拘り、お客様に選んで頂けるラインナップを充実させていった結果、ビールの出庫比率が下がっていく傾向が加速していきました。
そんな状況だからこそ、居酒屋でしか飲めない生ビールを提供し、ビールファンに満足して頂ける、取り組みを続けていく必要性を感じるようになったことがきっかけです。
ー導入する前と後ではどんな変化がありましたか?
導入前は、ハイボールやレモンサワーが生ビールの出庫を脅かすこともありました。
そこで、まずは改めてビール研修会を行うことから始めました。全従業員への教育は本当に時間を要し、何度も何度も行いました。
質の高い洗浄、目視チェック、専用のジョッキ洗剤の導入や店によっては洗浄機器を導入し、その運用の講習会など繰り返し行っていきました。
社内でビール提供へのこだわり、品質への想いを高めるべく、継続して啓蒙活動も続けました。
最初の取り組みから5年、毎年全体のレベルが上がってきている実感はあるもののスタッフが入れ替わるたびに、継続した教育は今でも欠かせず、一進一退を繰り返しているのが現状です。
この取組みを根気強く継続した結果、従業員の意識も変化し、そしてクオリティの高いビールの提供が定着してきたことで、ビールの出庫が回復し、出庫比率が伸びております。
ーより良い品質で届けるためには導入前とは違うサーバーメンテナンスなどが必要だと思いますが、導入したことでどんな変化がありましたか?
前述の取組みを継続したこと、また何よりお客様の喜ぶ姿を見ることで、ジョッキに油分を残してはいけないなど、その作業することへの従業員の意識が高まって、その結果、より良いものがお届け出来るようになりました。
そして、今回の表彰で、グランドメニューのトップに美味しいビール品質についてうたい、その提供をすべく、退路を断って取り組んできた事が評価されたことで、一定の成果が出たのではと喜んでいます。
今はグランドメニューで美味しい飲み方を推奨していくなど更なる取り組みも行っています。お客様に満足してもらえるビール提供には今後も一層力を入れていきたいと考えています。
養老乃瀧グループでは「みんなで飲もう美味しい生ビール!生ビールにこだわる養老乃瀧が美味しい飲み方をご提案します!」として『ビールの美味しい飲み方5箇条』の分かりやすい紹介なども実施。大衆居酒屋で味わえる高品質の「うまい」体験は、消費者にとっても気軽で嬉しい機会と考えられる。
★TOP50受賞店紹介ページ https://www.sapporobeer.jp/beer/perfect/award/
「うまい」ビールがもたらす効果とは?
サッポロビールが実施した調査(※1)で、「生ビールならではの「うまさ」の店による違いはあるか?」の問いに対し、61.0%の人が「非常に違う」「やや違う」と回答している。
せっかくおいしく造られたビールも、飲み手の口に届くまでに適切な管理などが行われないと品質やおいしさがを損なわれる。お店に入って「とりあえずビール」なんてオーダーであっても、お客様は無意識ながらもその品質を感じ取り、また味わいたいかどうかを判断しているといえる。
コロナ禍以降、売り上げは回復傾向と言われつつも2023年の飲食店の倒産件数は前年の7割増となり、特に居酒屋・カフェは過去最多であったとの調査結果がある(※2)。また、実際の数字は把握できていないが、徐々に戻りつつあるものの、以前の終電の猛烈な混雑も緩和されているようにも感じ、また、相次ぐ値上がりラッシュで家計の厳しさは続いていて、外飲みする機会も圧迫される。
様々な要因がこの先のビール市場の靄となって立ちはだかる今だからこそ、まずはおいしいビールが造られて、それを適正な形でお客様に届けられることで「うまい」がきちんと伝わり、満足へと繋がる。適切な管理の実施は時間と手間がかかるが、お客様の反応によってサービスする側も意識の向上という好循環が生まれている。
高品質の生ビールは、ビールや飲食店の明るい未来へ導く効果が大いに期待できると言えるだろう。
改めて、たくさんの努力が詰まった「うまい」生ビールを、飲みにいきたくなった。
※1 2024年 サッポロビール株式会社調べ (n=1252)
※2 「飲食店」倒産動向調査(2023年)株式会社帝国データバンク
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。