Bois Céreste(ボアセレスト)のマスター山田正春さんへのロングインタビュー【JBJA Channel】
ビールに愛された皆様へ。
今回のJBJA Channelは、Bois Céreste(ボアセレスト)のマスター山田正春さんへのロングインタビューの動画となります。
目次
ベルギービールの先駆者
Bois Céreste(ボアセレスト)は、1988年に赤坂でオープンした、ベルギービールの名店であり、まさに大人の隠れ家のような場所です。ベルギービールの魅力を日本に紹介した先駆者である山田正春さんの情熱と努力によって、長年にわたって多くの人々に愛され続けてきました。
マスターの山田さんは、1970年代にベルギーで音楽活動をしていたという経歴があります。
ベルギーは今でこそ「ベルギービール」というジャンルのビールがあることが有名ですが、1970年代にThe Beer Hunterマイケル・ジャクソンがその著書を通して、初めて世界にベルギービールを紹介して、世の中に知られるようになりました。
山田さんとベルギービールの出会い
山田さんがベルギーに渡航したのは、まさにその頃です。日本ではまだベルギーの情報が極めて少なく、まっさらな状態でベルギーへ行った山田さんは、しばらくベルギービールについて気づかなかったと話します。
レストランやパブで見かける、色々な形のグラスに入った、液色も様々なお酒が、まさかビールと思わなかったのです。
ミュージシャン仲間が飲んでいるのを「それは何だ?」と尋ねると、「全部ビールだ」と答える。
それまでは、日本の大手メーカーが作るビールしか知りませんでしたから。ビールとはそういうものだと思っていました。
ベルギービールの味わいの豊富さ、そしておいしさに圧倒され、「それからは、ベルギービールについて熱心に勉強しました。毎晩、這って家に帰りました」というぐらいです!
帰国しBois Céresteを開店
1980年にベルギーから帰国して数年を経て、念願のベルギービールの店であるBois Céresteをめでたく開店。しかし、まだまだベルギービールの輸入は盛んではなく、ベルギーの料理のための食材もあまりありませんでした。
ベルギービールに至っては、シメイ、ステラ・アルトワとベカーズ・グーズ(現・ベルビュー)、の三銘柄だけを用意できたのですが、ステラ・アルトワは欠品することも珍しくなかったというのですから、開店当初はベルギービールのお店としては厳しかったことは想像に難くありません。
そんな中、赤坂のお客さまに人気があったのが、当時流行っていたウイスキーの数々。有名どころを揃えておけば、お客さまは満足して楽しみました。当時はまだバブル経済の只中、この繁栄に終わりがあることなど誰も考えていなかったことでしょう。
試練の時もありました
しかし、時代のかげりがBois Cérestに最初の試練を与えます。1988年9月、昭和天皇が体調を崩され、社会は自粛ムードに入ります。毎日のように天皇のご体調について発表があり、にぎやかで華やかなことは差し控える風潮が生まれます。歌舞音曲を伴う派手な行事・イベントが自粛(中止または規模縮小)されました。自粛の動きは商業的なイベントだけでなく、個人の生活(結婚式など)にも波及し、「自粛」はこの年の世相語となったのです。
年が明け、1989年の1月7日に昭和天皇が崩御され、それからしばらく自粛ムードは続きましたが、新しい平成の世となり、解放感のようなものもあり、世の中は少しずつ元通りになっていきます。
新しい時代がやってくる
バブル経済が終わり、その余韻が残る時代の移り変わりの中でも、赤坂の一流企業で働く商社マンなどは、大変よく働いていたそうです。
バブルのころは午前2時を過ぎてタクシーの空車が来るまで、Bois Céresteをタクシーステーション、飲みながら待つ場所として利用していたようです。新入社員であっても、いくらでもタクシーチケットが配布される時代でした。
時代と共に変わりゆく赤坂の風景を背にしながら、お店の空間そのものが、まるでベルギーのエスプリを体現しているかのようで、訪れるたびにその魅力を再確認できる場所です。
ベルギービールを輸入する商社やインポーターも増え、取り扱い銘柄も豊富になり、今では多くの店でベルギービールを楽しむことができるようになっています。そして、ベルギービールファンが愛するこのお店が持っている唯一無二の魅力は、今後も多くのファンにとって大切な場所であり続けることでしょう。
Bois Céresteのこれまでとこれから
Bois Céresteの36年の歴史は、まさに山田さんの情熱と、ベルギービールへの深い愛情が紡いできた物語です。時代の変化に流されることなく、常にベルギービールとその文化を大切にしてきたからこそ、多くのファンに支えられ、今日まで続いているのでしょう。
山田さん自身は70歳を超え、ゆったりとしたペースでお店の運営に関わっていきたい思いを持ちつつ、今も変わらぬ情熱でビール文化を守り続けています。
Bois Céresteは、ベルギーのエスプリがたっぷり詰まった、密やかな大人の隠れ家のような素敵な空間です。選び抜かれたベルギービールとベルギーのお料理を楽しみましょう。ベルギービールに対する深い知識と愛情を持つ山田さんのもとで、素晴らしいビールとともに素敵なひとときを過ごすことができるはずです。
山田さんの優しいお人柄が感じられる動画になりました。どうぞ、たっぷりとインタビューを楽しんでください。
ボアセレスト facebookページ
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。