チョコレートビールはビール? それとも発泡酒?
先週、チョコレートビールについて書いたが、その続き。
なんてったって、本日がバレンタインデー当日ですからね。
さてさて、このチョコレートビール(チョコレートとビールの関係)だが、大きく分けて3つのパターンがあることを御存知だろうか?
それは、
①「麦芽の配合によってチョコレートのような風味に仕上げたビール」
②「材料にチョコレートやカカオを使っているビール」
③「チョコレートとペアリングする(一緒に食べる)と絶品のビール」
の3つである。
①つ目は「サンクトガーレン」のインペリアルチョコレートスタウト、②つ目は島根地ビール・ビアへるん の「ショコラNo.7」、③つ目はマルール・ダークブリュットなどがあげられる。
そして、この中で問題になってくるのが①と②の違いである。
実は、日本の酒税法では①は「ビール」で、②は「発泡酒」の扱いになるのだ。
それは、日本の酒税法では「認められる原料以外のものを使ったもの」は「発泡酒」となるからである。チョコレートやカカオは認められていないため、ほんのちょっとでも使えば「発泡酒」になってしまう。
しかし、多くのチョコレートビールは麦芽率が66.7%以上(チョコレートやカカオは微量なので著しく麦芽100%)なので税金はビールと同じく1リットルあたり222円を取られている。
これはフルーツビールやスパイスビールの場合も同じであり、チェリーを使ったランビック・クリーク、コリアンダーなどのスパイスを使ったホワイトエールも日本では「発泡酒」と表示されている。
すべての「発泡酒」が「麦芽率が低いため発泡酒になったもの(酒税が安い)」ではなく、「麦芽率が高いが副原料によって発泡酒になったもの(酒税が高い)」もあることを憶えておきたい。
ところで、この「認められている原料」とは何か?
それは、麦芽・ホップ・水・麦・米・とうもろこし・こうりゃん・ばれいしょ・でんぷん・糖類・カラメルである。
なぜこれらのものが認められていて、フルーツやスパイスやチョコレートが認められていないのか? その根拠はまったく不明であり、まったく馬鹿げた法律である。
長きにわたるビールの歴史を紐解くと、むしろ、スパイスやハーブやフルーツのほうが米やとうもろこしやじゃがいもよりも古くから使われている正統な原料だ。
そして、現在の世界的ビールシーンを眺めると、フルーツやハーブやチョコレートはもちろん、さまざまなフレーバーのビールが生まれてきている。
副原料に対して「認められる」とか「認められない」という発想自体がすでにナンセンスであり、それによってビールの領域を狭めたり表示を変えたりすることこそ、「日本の酒税法はビールに対して”無知”だ」という逆説的証明になっていると言っていい。
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