[イベント,ブルワー]2025.3.13

【東北で出会うビールの世界⑯】HOPDOG BREWING(秋田)の 月に一度のブルワリー開放デーに行ってきました!

月に一度ブルワリーが開放されそこでビールが飲める…ずっと気になっていました。
その場所は秋田市のHOPDOG BREWING。秋田駅までは、東京駅から新幹線で4時間弱、盛岡駅からでも1時間30分はかかります。しかも月に一度ではスケジュール調整もなかなか難しいというのが正直なところです。
気になりつつもなかなか行けなかったブルワリー開放デーでしたが、3月に開催されたブルワリー開放デーにようやく行ってきました。

改めて秋田市について…

秋田市は、秋田県のほぼ中央部に位置し、県庁所在地及び最大の都市で人口は約30万人。秋田県全体の人口は約92万人と東北のなかでは一番少なく(全国では39位)、唯一100万人を切っており、その中でも約1/3は秋田市に住んでいることになります。
県の政治、経済、交通の中心ですが、東には出羽山地、西には日本海が広がっている緑豊かな都市です。
気候は日本海側気候ですが、冬季の降水量が少なく風の強い海岸部にあることもあり、東北日本海側としては降雪量も少なめです。
高速交通網としては、東京駅へ直通する秋田新幹線「こまち」の終点秋田駅のほかに、中心部から南東約25Kmにある秋田空港、秋田自動車道・日本海東北自動車道が整備されています。
市街地を一望できる城跡公園の千秋公園、芸術に触れる秋田県立美術館、展望台からの絶景を楽しめる道の駅あきた港ポートタワー・セリオンなどが観光スポットとしてあげられます。また、きらびやかに夏の空を舞う東北三大祭のひとつ「竿燈まつり」もあり、見どころは盛りだくさんです。

HOPDOG BREWINGとは

HOPDOG BREWINGは、2021年に85年の歴史に幕を下ろした秋田市最後の銭湯「星の湯」をリノベーションして、2023年に誕生したクラフトビール・ハードサイダー醸造所です。 HOPDOGは、香りや苦味を作り出しビールの魂といわれる「ホップ(HOP)」と、世界中の人から愛される「秋田犬(DOG)」 を合わせた造語です。
秋田県の地域産業資源を原料にしたお酒造りを行っており、すべてのクラフトビールに横手産ホップ、ハードサイダーにはすべて秋田県産りんごが使用されています。
造られている缶ビールは秋田駅などでも購入できます。また直営の飲食店はありませんが、オフシーズンを中心に月に一度のブルワリー開放デーを実施しています。もちろんイベント等へも参加しています。

地ビールフェスティバルin一関での出店(2023年8月撮影)

旧銭湯を利用しているブルワリー

HOPDOG BREWINGは閉店した銭湯をリノベーションしています。参考までに同じように旧銭湯を利用している別のブルワリーの様子を先に紹介しておきます。

上方ビール(大阪)

2017年に閉館した銭湯「御幸温泉」をクラフトビールの醸造所としてリノベーションした上方ビール。阪急淡路駅から徒歩で約10分の住宅街にあり、2019年にオープンしました。
元男湯は醸造所として利用し、元女湯と脱衣所は直売所とtaproomとして土・日曜のみ開放しています。醸造所に改装した男湯以外は、ほぼ以前の銭湯の造りをそのまま生かしています。

上方ビール(2024年11月撮影)

Tongyeong Beer(韓国・統営)

1階でビールの醸造を行い、同じフロアにある元女湯をタップルームにして毎日営業しています。元男湯は2階にあり今は事務所として使われているそうです。

Tongyeong Beer(2024年7月撮影)

詳しくは、【ビールを通して感じる韓国㉜】~風光明媚な港町・統営でクラフトビール<後編>~ 銭湯をリニューアルしたTongyeong Beer(2024.10.31)をお読みください。

HOPDOG BREWINGのブルワリー開放デー

ブルワリー開放デーへ行く

秋田駅から徒歩約20分ほどで着きます。銭湯だった頃の看板がそのまま残っていました。ブルワリーの表札よりも目立っていて、ここでビールやサイダーを造っているとは知っていないと気がつかないと思います。


チラシが貼られた建物に向かって左側の扉を開けると元女湯です。

入ってすぐ靴を脱ぐスペースがあり、スリッパが準備されていました。きれいに改装された元脱衣場の飲むスペースはこじんまりとしており、8人ぐらいまで立ち飲みが可能なテーブルが2つと壁際に少し椅子がありました。20人も入れば満員になりそうです。
この日のビールとサイダーは4種類。1杯だと600円、80分の飲み放題だと2300円ということで迷って飲み放題にしましたが、来る方ほとんどが飲み放題利用のようでした。

せっかくなので、YOKOTE HOPS WHITE ALE→ハードサイダー→DDH IPA→日本酒酵母のIPAとひととおり飲んだあと、一番最初に飲んだYOKOTE HOPS WHITE ALEをお代わり。
YOKOTE HOPS WHITE ALEは穏やかな味わいながら香りがよく、ハードサイダーは甘さ控えめでスッキリした味わい。DDH IPAからはホップの香りと味わいをしっかり感じ、日本酒酵母のIPAは半分日本酒を飲んでいるようでしたがビールの味わいもあり、そのバランスがとてもよく取れていました。

YOKOTE HOPS WHITE ALE(左上)、ハードサイダー(右上)、DDH IPA(左下)、日本酒酵母のIPA(右下)
飲むスペースの奥には醸造タンク並んでいるのが見えます。

ブルワリー開放デーで感じたこと

今まで訪問した旧銭湯のブルワリーは、内部には銭湯の名残りをかなり残したまま、つまみなどを持ち込み個々でビールを楽しむスタイルでした。
今回訪問したHOPDOG BREWINGは外観は銭湯の名残りがあったものの、飲むスパースはきれいに改装されていました。内部は出入口の靴入れや奥の醸造タンクが並ぶあたりに少し面影がある程度です。つまみなどを持ち込める点は同じでした。

私はこんなものを持ち込みました…

内部の見かけは銭湯の名残はわずかでしたが、それでいてとても居心地がよかったのは気を配りながら終始笑顔で応対してくださったブルワーさんのおかげ。そして一緒にテーブルを囲んだ初対面の方々と会話が弾み、楽しい時間を共有できたためだと思います。気が合った個別のグループで飲むのも楽しいですが、ここで広がっていた美味しいビールを飲みながら新たに人と触れ合う時間もとても心地よかったです。
もしかしたら、以前の銭湯もこんなコミュニケーションの場だったのかも…そう感じて満喫できたブルワリー開放デーでした。

次回は4月5日(土)の予定です。ご都合が合えば、ぜひビールとこの空間の雰囲気を味わいに出かけてみませんか?

*日付の記載がない写真は、全て2025年3月に撮影しています

HOPDOG BREWINGブルワリー開放デー秋田

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

きただ ともこ

ビアジャーナリスト

ビールと旅と野球観戦が大好きです。
主に、ビールがどんな土地で造られてどんな感じで飲まれているかに関心があり、気になるビールが出来るとその地元を訪ねたくなります。日本全国たまには海外にも足を運び、特に国内は岩手、海外は韓国のクラフトビールに注目してきました。
ビール好きがきっかけで岩手にどっぷりはまり、2019年4月から岩手沿岸の仮設住宅に住みながらの仕事を経験。現在も岩手に拠点を置き、得た情報を実際にこの目で確かめながら、岩手中心に東北地方のビール事情を発信してきました。最近は、日本語での情報が少ない韓国のビールについても、現地に足を運んで手に入れた情報をもとに記事にしています。

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