[イベント]2025.3.23

Hokkaido Craft Beer Factory 2025レポート 〜HOCRABIが注目した北海道のクラフトビールシーンを振り返る〜

2025年2月22日(土)・23日(日)、札幌のサッポロファクトリーにて、北大ビールサークル『Be Are kids』が主催する「Hokkaido Craft Beer Factory 2025(以下、HCBF 2025)」が開催されました。サッポロファクトリーは、北海道札幌市中央区にある大型複合商業施設です。かつてのサッポロビール工場跡地を再開発して1993年にオープンしました。レンガ造りの建物が特徴的で、歴史的な雰囲気とモダンなショッピングエリアが融合しています。

北大ビールサークル『Be Are kids』は2023年創立の「ビールを飲んで、学んで、貢献する」を理念に、札幌市近郊の大学生が中心となって活動している学生サークルです。当日はテレビ北海道の取材もありましたが、代表の笹野瑚央さんと副代表/広報の小林優実さんをはじめとした学生たちは、とても生き生きとしながらも頼もしい姿が印象的でした。

今年は北海道各地から7つのブルワリーが集結し、もちろん学生ブースも。さらに、昨年に引き続き広島からビールスタンド重富も参加。雪が多い季節にもかかわらず、屋内で個性豊かなビールが楽しめるとあって、北海道在住のビールファンにとって最高のイベントとなりました。今回は、北海道クラフトビールファンクラブHOCRABI(ホクラビ) (以下、HOCRABI)」の会員も多数参加していましたので、2日間にわたるイベントの魅力をビールファンの目線でお届けします。

サッポロファクトリーに広がるクラフトビールの世界

会場は多くのビール愛好者が集まりました。HOCRABIとしても、道内のブルワリーが集まるこの機会に、普段味わえない限定ビールや新作ビールを堪能できることを楽しみにしていました。特に各ブルワリーのブースには多くの来場者が集まり、ビールを片手に会話を交わす姿が印象的で、このような交流の場があることがクラフトビール文化の発展にはとても重要だと思います。ビールの話で盛り上がる一方で、醸造家(ブルワー)との対話を通じて、ビールの奥深さや土地ごとの特色を学ぶことができる貴重な時間となりました。

HOCRABIが注目する北海道のクラフトビールの多様性

「HCBF 2025」は、北海道のクラフトビールシーンの多様性と成長を実感できる素晴らしいイベントでした。その中でも印象的だったのは学生のビールブースです。こうした若い世代のビールへの情熱が、北海道のクラフトビールシーンをさらに豊かにしていくことは間違いありません。それでは、ここから各ブースを紹介していきます。

北海道乙部追分ブリューイング

1.Pale Ale(ペールエール/発泡酒/ABV 5.0%/IBU-)

・北海道乙部町のミネラルウォーター「Gaivota」と乙部町産大麦麦芽を一部使用

・琥珀色が特徴的なビール

・カラメル⻨芽の香ばしさとコクのあるボディ、柑橘を思わせる華やかな香りのドリンカブルな(=飽きずに杯数を重ねられる)ビール

2.縄文MINORI(じょうもん みのり/発泡酒/ABV 5.5%/IBU-)

・副原料に栗を多く使用しているため、酒税法上、発泡酒に分類

・縄文人が食べていた北海道鹿部町内に自生する栗をクラフトビールの副原料に使用

・華やかなホップの香りと風味のまろやかさがひきたつ、口に含んだ最後にほのかに栗の香りが感じられる優しい味わい

3.Golden Ale(ゴールデンエール/ABV 5.0%/IBU-)

・乙部大麦麦芽100%使用のスッキリなビール

・フルーティーな香りと爽やかな味わいが特徴

・食事にも合わせやすく、幅広い層に人気

北海道の自然を感じられるクラフトビール、どれも気になりますね!

LUPICIA BREWERY

1.Paradis d’été(パラディ デテ/ABV 4.0%/IBU14.3)

・フランス語で「夏の楽園」という意味

・ニュージーランド産ホップの新品種「ネクタロン®」を贅沢に使用

・1 種類の麦芽のみで醸造した夏限定 IPA

・南半球の品種らしいトロピカルな風味が特徴

・パッションフルーツやピーチのような華やかな果実香に、軽快な飲み口が調和

・後味にもホップの余韻を楽しめます

2.白桃烏龍 極品(はくとうウーロン ごくひん/ABV 4.5%/IBU11.4)

・みずみずしく白桃が香る台湾烏龍茶を使用した季節限定ビール

・上品な茶葉の余韻が広がり、お食事はもちろんスイーツとの相性も抜群

・和食やスイーツとも相性が良さそう

3.北大林檎(ほくだいりんご/ABV 5.0%/IBU32.6)

・北海道大学・北方生物圏フィールド科学センター・生物生産研究農場・余市果樹園のりんご果汁を贅沢に使用

・リンゴの自然な甘みと爽やかな酸味が楽しめる

・フルーティーで飲みやすく、ビールが苦手な人にもおすすめ

どれも個性的で興味をそそられますね!

 Black Fox Beer

1.冷狐(れいこ)IPA (Cold Fox IPA/ABV 7.0%/IBU77)

・モルトや酵母のキャラクターを可能な限り抑えつつ、ひたすらホップに特化させたビール

・瓶ビールのデザインは「テイファニーブルー」の色ラベルでお馴染み

・25年verファースト冷狐の醸造では主役のホップに「サブロー」を起用したココナッツやマンゴー、木のアロマを持つホップ

・いつもよりキレのある香りで、いわゆるグレフル感ブースト仕様

2.ニセコスノーIPA (NISEKO SNOW IPA/ABV 5.0%/IBU41)

・多種多様なお客様を想い醸造するビール(発泡酒)

・通常よりも数多くのホップ種類をブレンドし多様な人で賑わうこの町を表現

・アルコール度数を5%に抑え、スポーツシーン、特にアフタースノーで疲れた体にスッと溶け込む、グビグビと飲み易い仕上がりに

・幾重にも重なるホップのアロマ、小麦から生まれるほのかな甘み

・疲れた体に染み渡る極上の一杯

3.コーヒーブレイクIPA (COFFEE BREAK IPA/ABV 6.0%/IBU61)

・ビールの苦味とコーヒーのお互いの苦味を丁度良く、ビールに落とし込むことで、見事に調和した自然な味わいに

・コーヒー豆由来のフルーティーさを華やかなホップで優しく包んだ「自信作」

・コーヒー豆は地元倶知安の焙煎場付きのコーヒー店「SPROUT」さんの物を使用

・のんびりした休日のティータイムにも良し。このビールでゆっくりと時を感じてほしい

個性的なIPAがそろっていて、飲み比べも楽しそうですね!

京極麦酒

1.ゆずゴーゼ(ABV 3.5%/IBU5.8)

・ゴーゼ(Gose)はドイツ発祥の塩を使ったビールスタイル

・生柚子の果汁と果皮を使用し、スパイスの爽やかさ、酸味が印象的

・苦みはほぼなく、まるでスポーツドリンクのよう

・ビールが苦手な方にもぜひお試しいただきたい

2.スレッショルド山椒IPA(ABV .0%/IBU45.4)

・「スレッショルド(Threshold)」は「閾値(いきち)、敷居、物事の入り口、出発点や開始点」という意味

・ふんわりと香る山椒とブナをミントが包み込むIPAで爽やかな飲み口

3.ペールエール(ABV 5.5%/IBU25)

・ホップのアロマによる柑橘感

・モルトによるわずかなカラメル感が生み出すオレンジマーマレードのような味わい

・爽やかな香り、じんわりとした苦み

4.ベルゴスタイルエール(ABV 4.5%/IBU30)

・ベルジャン酵母の華やかさに、アメリカンホップのフルーティーでシトラシーなアロマを融合させたエール

・トロピカルフルーツやベリーの香りに期待が高まり、ドライな飲み口にわずかな酸味が相まって、スッキリ飲みやすい仕上がりに

日本の食材を生かしたユニークなビールがそろい、どれも試してみたくなりますね!

 NAKAFURANO BREWERY

1.Nostalgia(ノスタルジア)Lemon & Lavender Ale(ABV 5.0%/IBU23)

・口にした瞬間にほのかにラベンダーが香る

・レモンピールのほろ苦さが爽やかな味わいのベルジャンスタイルのエール

・中富良野町の「ななかの花畑」さんの無農薬栽培のラベンダーを使用

2.Reflect(リフレクト)Honey Pale Ale(ABV 4.5%/IBU35)

・富良野産のはちみつを使用。後味に優しいはちみつの風味が広がる

・ラベルのイラストは田植え前の田んぼの水鏡をモチーフに

3.Hazy Horizon(ヘイジーホライズン)酒粕 Hazy IPA(ABV 6.0%/IBU19)

・ホップをふんだんに使用した、フルーティーで飲みやすいHazy IPA

・中富良野町の地酒「法螺吹」の酒粕を隠し味に使い、まろやかな飲み口に仕上がりに

4.NAKAFURANO BROWN ALE(ABV 5.0%/IBU28)

・中富良野産ホップ100%で仕込んだイングリッシュスタイル

・豊かなコクが感じられつつ、重すぎず、苦すぎず、ドリンカブルな味わいに仕上がり

フルーティーなものからコクのあるものまで、バリエーション豊かで魅力的ですね!

 しもかわ森のブルワリー

1.晴天のプロキシオン PROCYON(ピルスナー/ABV 4.5%/IBU 21)

・チェコ発祥の元祖ピルスナーの味わいを目指したラガー(下面発酵)タイプのビール

・一般的なピルスナーよりも、モルトの風味を強調

・チェコ産ホップによるキレのある苦味と余韻が特徴

・暑い日にたくさん身体を動かしたあと、グイッと飲みたいビール

2.星空のシリウス SIRIUS(ペールエール/ABV 5%/IBU 23)

・アメリカンホップによる柑橘の香りとトドマツ由来のグリーンな香りが特徴

・エール(上面発酵)タイプのビール

・森に囲まれた下川町の風を感じられるようなビールを

・誰かと「お疲れさま」を交わしながら、じっくり味わう一杯

3.春灯のポルックス POLLUX(ダークウィート/ABV 4.5%/IBU 13)

・京都丹波産の黒豆を使用し、まろやかでソフトな味わいが特徴

・ローストモルトのコクとほのかな甘みが楽しめる

・優しい飲み心地で、食事にも合わせやすいビール

4. 夕日のべテルギウス BETELGEUSE(ヴァイツェン/ABV 5%/IBU 10)

・苦味が少なくフルーティなヴァイツェン

・南ドイツの伝統的なスタイルを目指した、小麦麦芽50%以上のエール(上面発酵)タイプのビール

・ほのかな酸味と、バナナやクローブのような香りがあり、フルーティさが特徴

・ビールの苦味が苦手な方にもおすすめ

・例えば、友だちとのピクニックやおしゃべりにもピッタリ

・ぜひ、このビールを連れて行ってあげてください

星の名前が付いた個性的なラインナップで、自然の恵みを感じられるビールですね!

美深白樺ブルワリー

1.トイタピウカ(Farmhouse Ale/ABV 5%/IBU -)

・「トイタピウカ」はアイヌ語で「美深の農作業」の意味

・酵母由来のキレがあり、すっきり飲み干せる

・仕事の疲れを癒す、最初の一杯にぴったりなビール

2.はちみつゆずエール(Honey Ale/ABV 5.5%/IBU -)

・北海道美深町産のはちみつと、姉妹町である福岡県添田町産の柚子を使用

・はちみつのコクと柚子の華やかな香りが絶妙に調和

・甘みと爽やかさが楽しめる、フルーティーなエール

3.Some What Hop(Pale Ale/ABV 5%/IBU -)

・2024 年に収穫された道北・和寒町産ホップ 100%で仕込まれたペールエール

・道内産ホップのフレッシュな香りと心地よい苦みが特徴

・シンプルながらもホップの風味をしっかり楽しめるビール

4.雪明り(Schwarz/ABV 4.5%/IBU -)

・美深白樺ブルワリーとしては初めてのドイツ発祥のシュバルツ(黑ビール)スタイル

・ローストモルトの香ばしさとまろやかな口当たりが魅力

・寒い冬の夜にゆっくり楽しみたくなる、深みのある味わい

地元の素材を生かした個性的なビールがそろっていて、どれも試してみたくなりますね!

学生ブース

1.澄川麦酒 × 北大ビールサークル Be Are Kids × いいとこみっけ。IPA/MILK STOUT

・札幌のクラフトブルワリー「澄川麦酒」と、北大ビールサークル「Be Are Kids」、そして「いいとこみっけ。」のコラボビール

・IPA(ABV 7%/IBU60):大量のホップと酵母由来のトロピカルな香り。どんな料理にも合う豊かな口さわりが特徴

・MILK STOUT(ABV 6%/IBU20):大量の麦芽を使用して実現、しっかりとした飲みごたえと乳糖由来のまろやかな甘味と口さわりが特徴

2.Club PASA(Fruit Ale/ABV 3%/IBU2.9)

・北海学園大学経営学部経営学科の中村ゼミと学生が行ったTRANSBREWINGの企画醸造

・仁木町の村田果樹園のプルーンを使用したフルーツエールで飲みやすくて軽い味わい

・酵母は同大学の工学部生命工学科新沼ゼミが単離、選抜した酵母株を使用

3.未来開拓倶楽部ビール(ABV 4.5%/IBU25)

・花のようなフルーティーな香りとすっきりとした苦み

・芝生の上で寝転がっているような、まさに夢心地

4.雪国PORTER(ABV 8%/IBU22)

・「味わい深い麦の甘み」「爽やかな苦みとフルーティーな香り」

・黒ビールならではの焙煎した大麦麦芽を使うことで、コーヒーのような香ばしい香りをほのかに感じながら、大麦の甘みも楽しめる

・​​後味の甘ったるさをなくすために、フルーティーで上品な香りのするホップを使い、爽やかな苦みと華やかな香りに仕上げ

・使用したホップは、青りんごや柑橘類、メロンなどのフローラルな香りを感じる

学生たちの個性や情熱が詰まったビールばかりで、とても興味深いですね!

販売ブース

今年もBEER CELLAR SAPPOROの松井広行店長が担当する販売ブースでは、出展ブルワリーのビールを販売。当日は、お土産や自宅でじっくりと飲むために多くの方が購入していました。

特別な体験 ビールスタンド重富の注(つ)ぎ分け

今年のHCBF 2025では、昨年に引き続き広島から「ビールスタンド重富」が特別参加。重富 寛(しげとみ ゆたか)氏による注ぎ方の技術は、まさにビールの奥深さを実感させてくれるもので、実際に会場ではその技を体験し、ビールの味が注ぎ方でこれほどまでに変わることに驚く人が多かったのも印象に残りました。喉を駆け抜けていくゴクゴク爽快感を味合うために「一度つ注ぎ」から飲むのがオススメです。また、どの注ぎ方で飲んでもきめ細かな泡が口当たりをクリーミーにし、まろやかな味わいを引き出しており、参加者全員がその違いを楽しんでいました。

終わりに

HCBF 2025は非常に充実した2日間で、北海道のクラフトビールの多様性を実感できると共に、ビール文化のさらなる発展を感じることができました。学生だけでなくボランティアの皆さんも本当にお疲れ様でした。

参加したHOCRABI会員の感想

HOCRABI会員No. S-00001

遠藤 諭(エンドウ サトシ) 北海道札幌市出身

道内でも小規模ブルワリーに焦点を当てたイベントはユニークですね ブルワリーのある地域でしか飲めないビールや、オープンしたてのブルワリーのビールもあり、ワクワクしながら楽しめました。もう一度飲みたいビール、数量限定で飲めなかったビールもあるので、実際にブルワリーやタップルームを訪れて現地で飲んでみたいです。次回は出店ブルワリーをお客さんに決めてもらうような企画があるとより面白いのではと感じました。

謝辞

今回もHOCRABIが取材をさせていただきましたが、代表の笹野さんの計らいによってブースもお借りすることができました。この場を借りてお礼申し上げます。HOCRABI会員一同、来年のHCBFにも参加する予定ですので、次回もさらに多くのクラフトビールを味わい、北海道のビール文化を支える一員として活動していきたいと考えています。

HOCRABI(ホクラビ)

北海道クラフトビールファンクラブ

2024年1月創設(4月〜活動開始)

HP: https://www.hocrabi.com/

主な活動内容

・会報誌2冊(2024年:VOL.01、VOL.02)

・試飲セミナー(2024年10月5日NORTH ISLAND BEER、2025年1月25日Streetlight Brewing)

申込受付中!

北海道のクラフトビール試飲ワークショップ〜ビールに込められた造り手の想いと魂を知る〜

【第3回】SUMIKAWA BREWERY・月と太陽BREWING

(試飲セミナーより名称変更)

日時:4月19日(土)15:00〜17:00

申込はこちら

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

HOCRABI

北海道クラフトビールファンクラブHOCRABI

「HOCRABI(ホクラビ)」は、北海道のクラフトビールの発展と道内外への普及に寄与することを目的としたファンクラブです。2024年1月9日に創設。4月1日からスタンダードとプレミアムの2種類のコースを設定したサポーター会員を募集開始。会員になると年2回発行の「HOCRABI Magazine」のほか、さまざまな特典が受けられます。また、今後はイベントなどの開催を計画しており、詳細はSNSやホームページを随時ご参照ください。

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