【東北で出会うビールの世界⑱】 ~東日本大震災伝承施設とビール~ 沿岸を車で走る(宮城県東松島市編)
今回の話は
【東北で出会うビールの世界⑰】 ~東日本大震災伝承施設とビール~ 沿岸を車で走る(福島県いわき市編)(2025.3.25)
の続きになります。
宮城県に入り高速道路を走り続けると、常磐道から仙台東部道路、三陸沿岸道路(以下「三陸道」)と、道路名が変わっていきました。
もちろん、宮城県の県庁所在地である仙台市やその周辺にもブルワリーやビールが飲めるところは多くありますが、運転の途中で飲めないので、今回は立ち寄りはせず先を急ぎます。
この日の午前中の目的地は、宮城県東松島市でした。
東松島市とは…
宮城県の東部に位置し、日本三景で有名な松島町の東隣にあり、日本三景の松島の東端「奥松島」を抱えており、南側は太平洋に面しています。人口は約3万7000人。
大分県の耶馬渓、岩手県の猊鼻渓と並ぶ日本三大渓の一つ嵯峨渓など美しい景色、された6機の機体が、白い煙で線を描きながら大空を舞います。市内にある航空自衛隊松島基地は航空祭や国民的な行事などで華麗なアクロバット飛行を披露する第4航空団第11飛行隊「ブルーインパルス」の本拠地となっています。
3月11日の東日本大震災では、津波の襲来で浸水域は市街地の約65%に達し、市内全住宅の3分の2を超える約11,000棟が全半壊。死者1,000人以上が出ました。航空自衛隊松島基地も冠水し、多くの航空機が破損しています。
東日本大震災復興祈念公園
まず向かったのは、被災したJR仙石線旧野蒜駅周辺に整えられた東日本大震災復興祈念公園です。
東松島市震災復興伝承館
東日本大震災復興祈念公園にある東松島市震災復興伝承館では、未来の災害に備えるために、震災前の東松島の姿、震災が残した爪痕や復興の過程を通して、後世に震災の記憶を伝えています。建物は当時の野蒜駅舎(および東松島市奥松島観光センター)が活用されています。
コンパクトで見やすい展示になっていました。
ちなみに被災したJR仙石線は一部が海岸線から内陸に移設され、それに伴い現在の野蒜駅も従来よりも約500メートル内陸部の高台に新設されています。
◎東松島市震災復興伝承館
住所:宮城県東松島市野蒜北余景56-36
開館時間:9:00~17:00
休館日:第三水曜、年末年始
入館料:無料
アクセス:三陸道鳴瀬奥松島ICから車で約10分
JR仙石線野蒜駅から徒歩約15分
震災遺構と復興モニュメント
東日本大震災復興祈念公園には、震災遺構として旧野蒜駅のホームがそのまま残されています。もし震災復興伝承館が休館日に当たっても、ここは見学することができます。倒れたポールやガタガタになったホームなどがそのまま残されています。
復興モニュメントも建っているので、ゆっくりと公園を回ってみることをお勧めします。人により違ったとしても、それぞれで何か感じるものはあると思います。
道の駅東松島でビール購入
次に向かったのは、東日本大震災復興祈念公園から10キロ弱の道の駅東松島。車で20分ほどで到着します。
道の駅東松島は2024年11月にオープンしたまだ新しい施設で、市内の地場産品を中心に石巻圏域の特産品やここ限定のオリジナルグッズなどを販売しています。
三陸道の矢本パーキングエリア(上り線)から直接利用ができるのに加え、一般道からも乗り入れできる利便性の高い道の駅です。高台の立地を活かし、2階にある展望デッキからはブルーインパルスの飛行訓練や市内を一望することができます。施設自体もブルーインパルスの格納庫をイメージしたデザインで、ブルーインパルスを身近に感じることができる場所となっています。
また防災機能も兼ね備え、一時避難場所としても活用できるよう整備されています。
2階のフードコートでは、ブルーインパルスにちなんだソフトクリームが人気です。
ブルーインパレスの1週間の飛行訓練の予定も出ています。訪問したのは10日で、残念ながら飛行のない日でした。
さて、ここに立ち寄った一番の目的は、1階の特産品販売エリアです。ここで販売されているクラフトビールはかなり充実していると聞いていました。
実際に見てみると、20近いブルワリーのビールがずらっと並んでいて想像以上。宮城のブルワリーのビールが揃っているだけでなく、岩手のクラフトビールもかなり豊富。さらに、埼玉のCOEDOも並んでいました。
行くまでは現状を見るだけのつもりでしたが、買いたいビールがたくさん! さんざん迷って、結局6本だけは購入することにしました。
購入したのは、アメリカ・ウィスコンシン州で1994年に創業し、2024年1月に宮城県仙台市の秋保地区に新たな醸造所を造ったグレートデーンブリューイングのビール4種類とブルーインパレスエール、希望の大麦GRAND HOPEです。
ブルーインパルスエールはブルーインパルスの青をモチーフに岩手・世嬉の一酒造で造られた発泡酒で、アルコール分は3%と軽めです。アクセントにレモン汁が使用されており、一般的なビールに比べコクや苦味は控えめ。お祝いの席で最初の乾杯酒としてふさわしいです。ラベルも3種類ありました。
GRAND HOPEは東松島みらいとし機構HOPEとアサヒグループが被災土地の有効活用を目指す「希望の大麦プロジェクト」によって収穫された東松島産大麦を使用して、宮城・やくらいビールで醸造したスッキリしたラガービールです。
クラフトビールが充実している東北の道の駅としては秋田県横手市の道の駅十文字があります。道の駅十文字では、地元秋田のクラフトビールと海外のビールが豊富でした。
道の駅十文字については、5年近く前ですが下記の記事にしています。
【東北で出会うビールの世界③】豊富なクラフトビールの品揃え! 道の駅十文字 まめでらか~(秋田県横手市)へ行ってきました。(2021.6.24)
今回行った道の駅東松島には海外のビールはなく、地元宮城のクラフトビールを中心に東北のビールが豊富で地元密着という印象。宮城を中心とした東北のクラフトビールをいろいろ買いたいけれどあちこち回れない方にとっては、わざわざ行く価値がある道の駅でした。もちろんブルーインパルスに興味がある方にとっても。
◎道の駅東松島
住所:宮城県東松島市小松字上二間堀112-5
営業時間:観光案内エリア 9:00~17:00
特産品販売エリア 9:00~19:00
フードコート 11:00~19:00
*トイレ、道路交通情報は24時間開放
アクセス:三陸道上り線矢本パーキングエリアからすぐ
JR仙石線矢本駅から車で約15分
駐車場:133台
午後はさらに国道45号線を北上し、石巻市に入ります。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。