[JBJA活動,イベント,コラム,新商品情報]2025.4.23

【データで読むビール②】1年分のビール記事をAIで分析してみた

70万1,527  これは昨年度、日本ビアジャーナリスト協会のサイトに掲載された全記事の単語数です。

いったい、どんな単語がよく使われたのか?
どういったトレンドがあったのか?

それを読み解くため、AIなどのツールで1年分の記事を分析しました。2024年を振り返ることで、新たな発見があるはずです!

【30秒で分かる】ビール記事の分析とは

最初に、何をどう分析したのかさらっと説明します。(早く分析結果が知りたい方はこちらへ

まず行ったのは記事の抽出です。Web Scraperというツールで、昨年度の記事338本の「タイトル」や「本文」を抜き出します。

そのデータをExcel上で整理。今回は国内のトレンドを捉えたいので、外国のビール事情や旅行記などは割愛しました。

そして、記事タイトルと本文を分析ツールに入力。すると下のような図が生成されます。

よく使われたビール用語は?

こちらが2024年度の記事で、多く使われた単語ほど大きく表示されるよう可視化したものです。

ユーザーローカル大容量テキストマイニングツールで分析

当然ながら『飲む』『クラフトビール』といった言葉が多いですね⋯

そこでビール記事としては一般的な用語を除くなど、絞り込みをします。すると、頻出ワードが浮き彫りになりました。

最もよく使われた単語は『ホップ』で792回でした。同じビールの原料である麦芽・モルト・大麦・小麦を合わせても334回なので、ホップが突出しています。

その理由は「原料」としてだけでなく、栽培・収穫する「農産物」「イベントのテーマ」としてもホップが注目されているためです。
具体例として、ビアジャーナリストたちの記事を紹介していきます。

これは「日本産ホップの祭典」と呼ばれるイベントのリポート。主催の日本産ホップ推進委員会は栽培や醸造に関するセミナーを行うだけでなく、日本産ホップを使ったビールを楽しむCraft Beer Japan Hop Festを開催しています。

イベントは2025年も9月から11月末に開かれる予定です。近くなったら告知記事を探してみてください!


続いて、頻出ワードの『ホップ』を最も多く使っている記事を調べると、私が書いたもの でした。

こちらは、九州の宮崎ひでじビールが育てているホップ苗の年間オーナーになった体験記。
ホップオーナーは、専用サイトで「栽培・収穫・醸造」の写真やライブ配信を見ることができます。また、自分がオーナーになったホップ入りのビールも送られくる「クラファン✕ エンタメ」のようなプログラムです。

2025年のオーナー募集は始まっていますので、気になる方は記事をご覧ください。


一方、商品紹介の記事でホップへの言及が多かったのは、岩手県・べアレン醸造所の「フレッシュホップラガー」についてのもの。

ベアレン醸造所は、ドイツから移設した100年以上前の設備でつくる伝統的なビールが有名ですが、地域のホップ栽培に協力し、フレッシュホップラガーを醸造しているのは知りませんでした。

同醸造所は、前出のCraft Beer Japan Hop Festに参加しているので、今年もイベント会場でフレッシュホップを使ったビールが飲めることと思います。

人気のビアスタイルをAIで分析

次に、2024年度の記事に出てくる単語のうち「ビアスタイル」をランキングにしてみました。
結果は…

1位  IPA    (266回)
2位  ヴァイツェン(81回)
3位  ペールエール(80回)
4位  ヘイジーIPA  (50回)
4位  ピルスナー    (50回)
6位  サワーエール(44回)
6位  セゾン            (44回)
8位  ポーター        (33回)
9位  ケルシュ        (22回)
10位  ボック          (17回)
※ペールエール=Pale Aleなど、全てアルファベット表記を含んだ数

実は、IPAの圧勝は予想通り。以前、Googleで最も検索されたビアスタイルを調べた際もIPAが一番人気でした。(詳しくはデータで読むビール①へ)

そこで今回は、もっと深掘り!
IPAと「セットで使われた単語」をAIに相関図にしてもらいました。

ユーザーローカルAIテキストマイニングツールで分析(加工色は筆者)

の大きさは、記事に出てきた頻度。単語を結ぶは、太いほど同じ文(センテンス)の中に書かれたことを示します。
ということで、2024年度の頻出ワード IPAとセットで使われたのは『香り』『ホップ』。私はIPAの「苦味」が好きなので、想定外な結果でした…

この「IPA・香り・ホップ」の組合せが最も多かった記事は、関西で開かれている“酒と酒肴が楽しめる会”について。

この会合は、料理家で唎酒師の先生が季節の酒と酒肴を振る舞い、それにまつわる話をしてくれる講座。そのHAZY IPA編なので「IPA・香り・ホップ」というワードが頻出したのです。

この記事はシリーズで、ビールと料理のペアリングの勉強にもなります。オススメは第1回のIPA編です。

個性的ビールの“感想”を検証

最後に、「ブルワリー名」と「ビールのシリーズ名」の合計で上位にランクインしたのはこちら。

山梨県の『Far Yeast Brewing』が展開している『Off Trail』シリーズです。

このシリーズのビールは、ワイン・日本酒・ウイスキーに使われた樽で熟成。野生酵母や微生物を活かすことで「リッチで複雑な香りを生成することにチャレンジしている」とのことです。

Off Trailシリーズの記事一覧はこちら

ビアジャーナリスト協会では昨年度、Off Trailシリーズを6回取り上げています。
記事では、ビールの感想を「酸味が心地よい」「爽やか」などと書いていますが、「変わったビールだけど本当に美味しいの?」という人もいるのでは?

そこで、一般の方の感想と比べてみます。

Off Trailシリーズに関するX(旧Twitter)の投稿

比較の対象は、昨年度にXに投稿されたOff Trailの感想21件。そこから「形容詞」を抽出し、AIに以下の4つに分類させました。

・ビアジャーナリスト記事にだけ出る

・ビアジャーナリスト記事によく出る

両方によく出る

・X投稿によく出る

・X投稿にだけ出る

その結果です ↓ ↓ 

ユーザーローカルAIテキストマイニングツールで分析(文字色・サイズ変更は筆者)

注目は、真ん中の「両方によく出る」の列。ビアジャーナリストとXユーザーの両方が、酸味を感じつつも高い評価をしています。また、一番右の「Xにだけ出現」にも多くのポジティブな形容詞が並んでいます。

実は私、Off Trailシリーズは飲んだことがなかったんですが、この分析結果を見て買ってみようと思いました笑


ビール記事のデータ分析、いかがでしたか?

ここで、先だって公開した「データで読むビール①」の紹介です。

こちらの記事は、過去20年程のGoogle検索データを元に、トレンドの移り変わりを分析しています。

ぜひご覧ください!
↓ ↓ ↓ ↓

【データで読むビール】ビアスタイル・季節・地域別のトレンドを分析してみた

Craft Beer Japan Hop FestFar Yeast BrewingHazy IPAIPAOff Trailイベントクラフトビール ジャパンホップフェストデータで読むビールフレッシュホップヘイジーIPAベアレン醸造所ホップホップオーナー宮崎ひでじビール日本産ホップ

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

Joe Beerski (ジョー•ビアスキー)

ビアジャーナリスト/ビアスタグラマー

年間1000銘柄を超えるビールを飲んでInstagramとXに投稿。より広くコンテンツを発信しようとビアジャーナリストになりました。

いま人気のクラフトビールが「ブーム」ではなく「文化」として定着してほしい!そんな願いを込めて、国内外のビール・醸造所・ビアバー・イベント etc. の記事を書いていきます。

◆ビア検1級合格 / 2級満点 /3級満点 (2年連続)
◆ベルギービールアドバイザー
◆東京ビアカレッジ修了(マスタービアアフィショナード)

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