ビアジャーナリストアカデミー２期生の川端ジェーンです。

「真面目に不真面目」という事にかけては私か怪傑ゾロリか、というほどにどうでもいい内容を追及したりもしています。

今回は…日本マクドナルド株式会社（以下、マックと略します）のクォーターパウンダー　ハバネロトマトはどんなビールと相性がいいのか？です。ハバネロトマトはビールに合う！というネット情報を目にし、これはキチンと検証せねばなるまい、と思ったのがきっかけです。

まずは「テキ」を知らねばなりません。ヤツの構成は上から順に…

ゴマ付きバンズ→オニオン→レタス→トマト→チェダーチーズ→ビーフパティ→バンズ

となっており、野菜には程よくハバネロソースがかけてある、といった具合です。チェダーチーズですらハバネロソースなのかと見紛うほどの鮮やかなオレンジ色です。ちなみに、マックの公式発表によるとカロリーは584kcal、塩分は2.3ｇとのことです。比較対象として成立するかどうかは微妙なところですが、かけそばは一般的にはおよそ80kcal、塩分6ｇと言われています。万が一、皆さんがペアリングを試される場合は御自身の健康診断の結果と照らし合わせたうえで、ご判断をお願いいたします。

そろそろ本題に戻りましょう。不真面目なだけでは高田順次さんと何ら変わりはないので、以下のように条件を付けてみました。

 1.ハバネロトマトは放射状に６つにカットし、すべての具が口に入る状態で検証する

2.ビールはベルギービールウィークエンド2012のグラスに1/3注ぐ

3.出来立てと冷めてからで味に変化が生じない様にハバネロトマトは冷蔵庫で1時間冷やしてから検証を開始する 

検証したビールは12種類です。それぞれのビールに簡単な説明も加えましたので合わせてご覧いただければ幸いです。

①ザ・プレミアムモルツ欧州産アロマホップを使用するなど原材料にこだわりを貫いたコクのあるビール。汗がだらだらと流れるような辛さを強く感じる。ビールの苦味とトマトの酸味がマッチしてたしかにビールをたくさん飲みたくなる。

②常夏気分２種類のフレーバーホップを使った白ブドウのような香りのするサッポロの発泡酒。アルコール度数は５％。ハバネロの辛味がゴーヤのような自然の持つ苦味に変化する。

③ヒューガルデンホワイトベルギーのホワイトビール。ヒューガルデン醸造所。オレンジピールとコリアンダーによるベルジャンホワイト特有の香りが特徴的。辛味が中和されるだけではなく、ビーフパティの旨味が感じられる。

④バルバール 蜂蜜の風味が特徴的なベルギーはルフェーブル醸造所のビール。和洋中と料理の種類を問わず合わせやすいバランスのとれたビールだが、逆に今回はビールの苦味やハバネロの辛味が別々に強調され、際立ってしまう。

⑤アクメIPAアメリカにあるノースコースト醸造所の苦味重視のビール。とは言っても角の丸い苦味と豊かなお花のような香りが特徴的。飲み込む直前に甘い香りが口の中を駆け抜けるが、その後にしっかりとした苦味が追いかけてくる。

⑥ミスティックライムベルギーにあるハーヒト醸造所のホワイトビールにライムジュースで香りづけしたもの。ハバネロ相手でも自己主張するライム。後から追い掛けてくるハバネロが一瞬、口の中で火を放つがライムの味わいが戻って来てくれる。

⑦メルツェン　ラオホドイツのシュレンケラー醸造所による燻製モルトを使ったスモーキーなビール。その豊かなスモーク香が鼻から抜けるのだが、口のなかはハバネロ一色なので頭が混乱する。

⑧シメイ　ブルーベルギーにあるスクールモン修道院で作られているトラピストビール。ハーブやフルーツなどの香りもする複雑で豊かな味わい。ハバネロがより強調され、汗が一気に噴き出す。

⑨ローデンバッハ　クラッシックベルギーの中でもフランス寄りのローデンバッハ醸造所で２年以上オーク樽に寝かせたビールと若いビールをブレンドした酸味のあるビール。アルコール度数は5.2％と飲みやすい。酸味と辛味の融合のお手本のような味わい。

⑩ブーン　グーズベルギーの自然発酵という製法で作られた酸味の強いビール。ブーン醸造所で作られていて、賞味期限は瓶詰後20年。酸味で辛味は中和されるが、ローデンバッハほどのペアリングの妙味は感じられない。

⑪グーデンバンドリーフマンス醸造所で６～８ヶ月熟成された後に瓶詰された酸味が美味しいベルギービール。アルコール度数は8％と少し高め。さわやかな味わいが美味しいビールなのだか、ハバネロで舌が半分麻痺しているような状態の口の中に流し込むのは勿体ないといったところか。

⑫ブーン　クリーク⑩と同じ醸造所。サワーチェリーを大量に漬け込んで作られる。本来持っている酸味とフルーツの酸味の融合が芸術的なのだが、飲むときにクリークの豊かな香りがハバネロとはあまり相性が良くない。

これは私自身があまりハバネロは得意ではない、ということもありますが、体調などによっても感じ方は違います。個人的な感想としてはハバネロトマトを２個いっぺんに食べるのはなかなか苦しかった、ということに尽きます。でも、そんなことを吹き飛ばすようなこともありました。実験終了後、開栓しちゃったからという理由で全部のビールを綺麗に飲み尽くすというパラダイスが私を待っていてくれたのでした。皆さんにはお好みのビール数本とハバネロ１個で程よい夏をお過ごしになることをお勧めいたします。