[イベント]2011.3.12

私達は今、何をするべきなのだろうか?

 金曜日に起きた東北・太平洋沿岸地震。
 その規模は観測史上最大とのことだ。被害は広範囲に広がり、復旧には相当の時間がかかるもようだ。

 ビール関係でも、多くの被害が出ているようである。
 MNSニュースによるとキリン仙台工場でのタンク倒壊などの被害が出ているとのことだ。

 MNSニュースには残念ながらクラフトビール関連の情報は載っていなかったので、ビアジャーナリスト協会として被害状況を調査してみようと、各社のサイトやミクシィやツイッターやメールを使って調べ始めた。
 しかし、いわて蔵ビールさんのミクシーに書かれた
「私たちは怪我なく無事です。建物、工場等はやはり崩れて復旧に時間がかかりそうです。ただ電気がなく、念のために携帯の電池を保存します。メールをいただいてもかえせません、大変失礼ですが何とぞご了承下さい。」といった文面を読み、検索をやめた。
 現場にコンタクトを求めてもその対応に追われ、復旧の妨げになることもあるだろう。回線が混み合って、緊急の連絡が繋がらないこともあるだろう。

 また、あるビール好きのツイッターに書き込まれていた「取材ヘリがうるさくて生存者確認の声が聞こえない」といった話も身につまされた。
 某局の女性TVキャスターはヘリからの映像を見ながら、まるで映画解説者がパニック映画のストーリーを語るかのように興奮して喋り続けている。
 たしかに、「現場はどーなっているのか?」「生存者はいるのか?」ということは多くの視聴者の興味をひくだろう。
 しかし、それが救助の妨げになるとしたら…。

 今、現地の情報をいち早く知ろうとすることが被害地域の人達のためになっているのだろうか?

 贔屓の醸造所の情況やビール仲間の安否が気になる気持ちはわかる。しかし、それを今すぐ知ってどうなる? 今すぐなにができる? 

 さらには、ツイッター上で不安をあおるチェーンメールや「救済チャリティ。**ゲームソフトをお買い上げいただければ売り上げの××%を被災者に寄付します」といった便乗商法まがいの書き込みも出てきている。

 私達は今、何をするべきなのだろうか?
 まず「被害地で被害者は何を求めているのか?」ということを考えなければならない。
 今いたずらに速報を求めることや「あらまぁ、大変大変」と使えもしない古着を送ることがチャリティーなのか? 
 所詮は野次馬、火事場泥棒と誹られても文句は言えまい。
 
 まずひとまず落ち着いて、現地からの声を待とうではないか。今、静観し沈黙することは冷たさではない。
 どの醸造所が、どの飲食店が、どの酒販店が、そしてビールを愛する誰が、どのような被害にあって、どのような救済を求めているのか? それを知ってから、それに則したチャリティーを展開する。それで遅くない。いや、そのほうが現実的ではないだろうか?
 
 被害をこうむった醸造所、飲食店、酒販店、ビールを愛する皆さん、なにが必要ですか?それを私達に伝えてください。御遠慮なくバシバシと。
 私達はその声に答えていきたいと思っています。
 ビールを愛する仲間はビールを愛する皆さんの味方です。

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

藤原 ヒロユキ

ビール評論家・イラストレーター

ビアジャーナリスト・ビール評論家・イラストレーター

1958年、大阪生まれ。大阪教育大学卒業後、中学教員を経てフリーのイラストレーターに。ビールを中心とした食文化に造詣が深く、一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会代表として各種メディアで活躍中。ビールに関する各種資格を取得、国際ビアジャッジとしてワールドビアカップ、グレートアメリカンビアフェスティバル、チェコ・ターボルビアフェスなどの審査員も務める。ビアジャーナリストアカデミー学長。著書「知識ゼロからのビール入門」(幻冬舎刊)は台湾でも翻訳・出版されたベストセラー。近著「BEER HAND BOOK」(ステレオサウンド刊)、「ビールはゆっくり飲みなさい」(日経出版社)が大好評発売中。

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