KraftZap2013に行ってきました!
11月8日、アメリカンクラフトビールの祭典「KraftZap2013」が新宿の風林会館という場所であった。日本ビアジャーナリスト協会として参加したのはビアジャーナリストアカデミー1期生の向後さんと2期生の宮原さんと私、川端。向後さんの書いたイベントの詳細なレポートについてはこちら。https://www.jbja.jp/archives/7314
そもそも、アメリカのビールをあまり飲まないので、出品されているビールのほとんどが飲んだことの無いものばかり。実はRED HOOKやWIDMER BROTHERSというブランドの醸造師、ベン・ダブラーさんがいらっしゃることを聞いていたため、ちょっと野次馬根性丸出しで参加した、という感じ。
高度経済成長期の香りがする会場にアメリカが突如現れた。なんでも、もとはキャバレーだったのだとか。確かにステージから一本、花道が伸びている。「人生初キャバレー(跡)だ! 」とビールとは関係のない所でテンションが上がっていく自分に危機感を軽く抱いたとき、気が付いてしまった。目にも鮮やかでクリスマスのようなこの飾りつけはビールの箱!
常陸野ネストさんなど、おなじみのビールのサーバーもあるし、見たことの無いビールのボトルがいい具合に冷えているのが見える。気持ちは新商品のオモチャを目の前に必死で我慢している3歳児。座って待ってなんていられない。会場内を思わず歩き回る。フードもターキーなどアメリカンなものが沢山。オープン直前ということでポップコーンの良い香りが鼻をくすぐる。どのビールに何を合わせようか、とワクワク。写真担当の宮原さんが冷静に各ブースの写真を撮っているというのに、私の頭の中はどの順番でビールを飲むか、しか考えていない。もう完全に雰囲気に飲まれている。
その時、私の視界の端にすでに飲み始めている人の姿が。ビールを真剣に選んでいるうちに時間になっていたみたい。写真を撮っていた宮原さんを急き立て、二人でレッドフックを。レッドフックはESB、Pilsner、Long Hammer IPA、Audible Ale の4種類。
オーディブルエールって何? と気になり、入場の際に頂いたフライヤーにある解説を見てみる。「Audible Ale:ダン・パトリックと一緒に、スポーツ観戦にぴったりな究極のクラフトビール。香りと味わいが豊かで、飲めば飲むほどさらに飲みたくなる飽きのこない逸品。喉が乾いたら、オーディブルで潤いを! 」とある。いやいや、そもそもオーディブルも分からなければダン・パトリックも知らない。ビールの味は、というと豊かな香りは飲む前から想像を掻きたてる。口に含むと想像に違わぬボディのしっかりとした味わい。なのにするりと口の中から喉に滑り落ちていく。「素晴らしさ」とも言い換えられるような美味しさがある。でも、オーディブルの意味がわからない…。この喉に刺さった小骨のような疑問、どうしてくれようか。
悶々と悩むのも時間の無駄。何せビールはあと20種類もあるというのに終電まであと6時間を切っている。ブースの人に聞いてみよう! と思い立ち、突撃。しかし、よくわからない、とのこと。肩をがっくりと落とした瞬間、ブースの中の人から衝撃的なお言葉が。「作った人に聞いてみればいいよ。」後ろを振り返るとビール片手に陽気そうな髭のお兄ちゃんが。醸造師のベン・ダブラーさんご本人だ!
「ね、あなたがこれを作った人?」という失礼極まりない質問にもニコニコと頷くベンさん。美味しいビールをありがとう!と思わず握手。聞けばオーディブルというのはアメフト用語で試合の流れを変えるようなプレイのことで、ダン・パトリックというのはスポーツキャスターだとか。そのダンとコラボして作ったビールがこれなんだよ、とちょっと得意げなベンさん。ついつい、「上原を始めとして多くの日本人がアメリカ野球で活躍しているけど、野球用のビールはないの? 」と質問。「オーディブルエールはすべてのスポーツ観戦にぴったりなんだよ。アルコール度数も高くないから何杯飲んでも大丈夫だし。大きな声で応援してもこれで喉を潤せばいい。でも、僕はあんまり野球を見ないかな。」ベンさん、ちょっと困った感じ。じゃあ、と一番好きなスポーツを聞いてみる。「一番好きなスポーツはサッカー。アメリカのものだけじゃなく、セリエAやブンデスリーガ、日本のだって見てるよ。日本のチームでお気に入りがあるんだけど、名前は忘れちゃった。」そこから3分ぐらいは真剣にJリーグのチーム名を思い出そうと頑張ってくれたベンさん。こんな風に誠実にビールも作っているんだろうな、とついついベンさんを見ながらニコニコ。あとでまた質問させてねぇ、とその時はそれでおしまい。(実際のインタビューした内容などは冒頭に挙げた向後さんの記事に掲載済み)そして、ウィドマーブラザーズのネルソン・インペリアルIPAなどしっかりとした苦味はあるものの、舌がしびれたりはしないIPAをいくつか飲んでいるうちに、周りにはステージの歌に合わせて踊っている人、多数。フットルースのような青春映画に出てきそうな音楽やダンスで会場はもろアメリカ。
耳元に口を寄せるようにして会話するのも楽しく、知らない人にもつい話しかけては乾杯。夜が更けてくるにつれて参加者がどんどん増えていき、盛り上がりは冷めることなく続いていく。
アメリカのビールもいいな、このイベントにまた参加したいな。後ろ髪を引かれる思いで会場を後にした。終電なんてなくなればいいのに、と呟かずにはいられなかった。
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