飲食店で“発泡酒や第三のビール”を“生ビール”と表示。
先日、ある週刊誌からコメントの依頼があった。
詳しい文言をここで発表することはできないが
「巷で表示偽装が話題になっている。“発泡酒や第三のビール”を“生ビール”と称して提供している飲食店あるようだが、これに対してどう思うか?」
という内容である。
なるほどぉ。今っぽい企画である。
(食品表示偽装事件で詫びる関係者。※画像と本文は直接関係ありません。)
それに対して、私は
まず、「ウソはいけない」というのは大前提である。だから「正しく表示をするべきだ」と思う。
しかし、 表示が“生ビール”か“発泡酒や第三のビール(新ジャンル)”がそれほど大きな問題なのだろうか? 美味しければ飲むし、不味ければ飲まない。それでいいのではないか?
もちろん、価格の安いものを仕入れ、価格の高いものとして売ることは商売として咎められることである。
しかし、問題は
“発泡酒や第三のビール”=“安い酒”=“不味い酒”
“生ビール”=“高い酒”=“美味しい酒”
という刷り込みが、世にはびこっていることではないか?
“発泡酒や第三のビール(新ジャンル)”を提供しようとしても、“発泡酒や第三のビール”と表示することにより“客離れ”がおきるのではないかという懸念を飲食店にいだかせていることのほうが問題ではないか?
はたして “発泡酒や第三のビール”は本当に“不味い”のか?
たしかに
“発泡酒や第三のビール”=“安い酒”
“生ビール”=“高い酒”
は正解である。
しかし、その価格差は “酒税の差”に他ならない。
原料代からすると、「モルト」より価格の高い「米」の使用量が多い“発泡酒や第三のビール”のほうが“高い酒”となる場合もある。
それが逆転するのは酒税が全く違うからだ。
*1リットルあたりの酒税は以下の通りである。(ついでと言ってはなんだが他の醸造酒に関しても紹介しておく)
ビール 222円
発泡酒(麦芽比率25%未満) 134.25円
第三のビール 80円
日本酒(清酒) 120円
ワイン(果実酒) 80円
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/123.htm
ビールがいかに高い酒税をはらっているかよくわかる。
技術革新により、一部の“発泡酒や第三のビール”の味わいは向上している。
ブラインド・テイスティングすると多くの消費者がその違いを感じ取れない銘柄もある。
全ての“発泡酒や第三のビール”が“不味い”とは限らない。
たしかに“ウソ”はよくないが、“ビール”か“発泡酒や第三のビール”か? よりも“美味しい”と感じるか“自分の好みではない”と感じるか? といった”自分自身の味覚”を信じて飲めばいいのではないか?
“表示”を飲んでいるわけではないのだから。
表示に関して言えば、むしろ私が気になるのは、ビールの原料表示に“麦芽”“ホップ”としか書かれていない点である。
麦芽やホップの産地や品種の表示はなぜないのか?
食の安全性、食品トレーサビリティの観点からすると、そちらのほうが重要ではないか?
といった内容を語らせていただいた。
数日後、私のもとに週刊誌の編集者から
「構成ならびに誌面の都合のため、コメントをご紹介させて頂くことができませんでした」
とのメールが届いた。
私のコメントは御期待にそえず、適切ではなかったようだ。
ボツである。残念だ…。
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