[テイスティング]2014.5.16

ビアポエム(8)ブンマイエ 8wired

ビールの歴史が始まって以来、世界の中でビールの代表地域といえばヨーロッパでした。チェコ、ドイツ、イギリス、ベルギー。しかし最近になって、イタリアやデンマーク、フランスなどヨーロッパの中でもビール大国と思われていなかった国や、はたまた、ヨーロッパでない国(もちろん日本も含めて)のビールがだんだん進化してきているようです。

今回は、ニュージーランドのビールの紹介です。

BUMAYE

BUMAYE


ブンマイエ 8wired

8wiredは、ニュージーランド南島ブレナムに拠点を置くブルワリーです。とはいってもこの醸造所、自分自身の醸造施設を持っている訳ではありません。レシピや醸造作業は自身で行いますが、醸造設備は他の醸造所のものを借りてビールを造っています。こういったブルワリーはファントム・ブルワリーとも呼ばれています。有名なのは、デンマークのミッケラーですね。低コストで醸造を始められるので、近年はこういった造りかたをよく聞くようになりました。
8wiredは2011年にニュージーランドでNo.1ブルワリー(NEW ZEALAND CHAMPION BREWERY)となり、最近ではスコットランドのブルードッグとのコラボ(Dog Wired)など、目覚ましい活躍ぶりです。

さて、今回のビール、実はアルコールが16%もある超高アルコールビールです。
気合いを入れて、いざ飲んでみます。

・・・tasting
開栓し、グラスに注ぐそばから芳香が漂う。その香りはブランデーのよう。泡立ちは皆無。ビターチョコ、ブランデー、濃縮したブドウ、そんな香りに包まれながら飲む。舌触りこそさらりとしているが、味わいは濃厚。インペリアルスタウトらしい強いロースト感がおそってくる。それだけではない。ピノ・ノワールの樽で寝かせただけあって、ウッディでタンニンを感じさせる渋みがガツンとくる。もはやビールを飲んだときの余韻ではない。これはワインや蒸留酒を飲んだときの焼ける味、それが舌を刺激する。ニュージーランドからやってきた、強気な小瓶。

私はこの330mlを飲み終えるのに1時間以上かかりました。寝る前にちょっと1杯のつもりでいると寝られなくなってしまいます。ゆったりとした1日の終わりに映画でも鑑賞しながら飲むのはいかがでしょうか。ちなみに、ブンマイエという名称は、往年のボクサー、モハメド・アリとジョージ・フォアマンの試合の際、現地ザイール(当時)の人々がアリを応援する掛け声の、「アリ、ブンマイエ!」から名付けたそうです。穏やかな訳でいうと、「アリ、やっちまえ!」といったところでしょうか。どうぞ、危険なビールにノックアウトされないように。

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

ニシバヤシ タツマ

ビアジャーナリスト/びあけん1級(2013,2015)

大学時代に自転車旅行でビールのうまさを知る。ほどなくしてベルギービールにカルチャーショックを受け、 世界のビールの虜に。ビールは大人の趣味の1つ。その一期一会を記事やビアポエムとして伝えていきたい。

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