[テイスティング]2014.7.11

★ビアレビュー★ベルジャンセゾンを通してストーンの世界を展開、「ストーン・セゾン」

梅雨、台風、30度を超える気温…「夏」ですね。雨は好きではない私ですが、雨上がりのこもった湿気の匂いは好きです。地下室のドアを開けたときに漂う部屋の湿った匂い、土の匂いが好きなんです。このような匂いに似ていながらも、芳しく華やかな香りを発するセゾン酵母に惹かれて、セゾンが好きになりました。

「セゾン」の起原は、かつてベルギーのワロン地方の農家で、農閑期の冬に醸造し、夏の農作業中に飲んでいたビール。Saisonという言葉そのものが「季節」の意味です。今は、ベルギービールのスタイルの一つとして、ベルギー以外の国でも造られています。特に近年、アメリカでも数多くのセゾンが造られており、「Farmhouse Ale」という名前でもよく見かけます。

そして、このStone Saison(以下、ストーン・セゾン)に出合いました。しかもこのセゾン、ストーンではシーズン限定ビールの中でも傑作だと大絶賛!ストーンのビールといえば、ホップのパンチに打たれたような強烈なキャラクターをイメージしがちではないでしょうか?しかし、ストーン・セゾンは違うと宣言しています!

ストーンのホームページに書いている説明を引用すると、
「「ものすごくホッピーな従来のビールとは違い、ベルジャンスタイルのビールに抑えたように見えるが、我々がストーンだということを確実(100% Stone!)に具現化した。それは難しいことだったが、なぜ私たちが大成功したと思っているか、一口ですべてを見せてくれる」
ストーンのプライドが強く伝わってきます。

stone-saison

百聞は一見にしかず、自分の目で、鼻で、口で体感してみましょう。

色は透き通った明るいオレンジ色、薄すら雲がかかったかのような白い泡がその上にあります 。

缶詰のみかんのような甘い香りに誘われ、はじけるレモンの清涼感の中からすーっと入ってくるラベンダー、ほんのりとバジルのような香り。香りを嗅いで息を吐くと、湿った土のようなイースト香が通りぬけます。

味わいを吟味する時間。まろやかな口当たりからゆっくりと進むと、口の中では完熟レモンの絶妙なバランスの酸味と甘味、ハーブの清々しさ、華やかで芳しい花束などの饗宴が広がります。饗宴の半ばに出てくるのは、雨上がりにしっとりと水気を含んだ大地を思い浮かぶ味わい。これがまたしつこくないので、スパイシーな味と混ざり、心地よく伝わります。このように味に特徴を持ちながらも、ドライですっきりしたフィニッシュ。飲みやすいです。

…朝靄に囲まれた農園。農園までの狭い道の周りは名前も知らない野花と草が小さい草原を作っている。朝露を含んだ農園の果物は、今日も太陽を待ち、太陽と共に成熟していく…
といった光景を、飲む間に描きました。

フルーティーかつ爽やかでスパイシーな風味も出す秘訣は、レモン皮(Lemon Zest)、グレインズオブパラダイス(Grains of Paradise)、そしてStone専用の農場で直接育てたレモンタイムとラベンダーを入れたことにありました。

今までアメリカのセゾンに対して、偏見を持っていました。ベルギーのセゾンに比べ、フルーティーで爽やか、軽やかで飲みやすいビールだと。反省します!
「これぞ、ストーン流のベルジャン・セゾン!」と、存分に見せてくれた作品でした。

今回は数量限定のビールとして出荷されましたが、今後は毎年春に販売する見込みだとストーンは言っています。春~夏にかけて、定番ビールとしてお店で見かけることを期待してみます。

ストーンのブログでは、テイスティング他に「料理とのペアリング」についても紹介しています。興味のある方は、一度読んでみてください。

◆THE STONE BLOG◆(クリック)

 

◎生産地:アメリカ、カリフォルニア州、エスコンディード
◎醸造所:Stone Brewing Company
◎品名:STONE SAISON
◎ABV:6%

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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